14.告白。
大変長らくお待たせして、
申し訳ありませんでした!
遅筆な作者をお許し下さいませ。
庭のテーブルの席に着き、3人で花火を見上げる。
現在 娘は、私の膝の上に座り
私は、魔王さんの膝の上に座るという
なんとも珍妙な格好で花火を観賞中である。
少ししたら私の涙は止まったのだが、
魔王さんは 私と娘を腕の中から出してはくれなかった。
娘ごと私を抱き締めて離さず、花火を観ている今も、時々私の頭頂部や耳、頰にキスを落として来る。
居た堪れない…はっきり言って先程とは違う種類の涙や、別の何か(!?)が出てしまいそうである…。
魔王さんへの自分の気持ちを自覚してしまった今、この状態は非常にヤバイ。
心臓が早鐘を打つように鳴っていて、息まで苦しくなって来た。
そんな私の様子に、魔王さんが気遣わしげに声をかけてくれる。
「大丈夫か?呼吸が乱れているが…
それに、身体も熱い様だが?」
それは、貴方のせいです!
とは、もちろん言える訳もなく…花火を観ながら ウトウトし始めた娘を横抱きの姿勢にして再び夜空を見上げる。
綺麗だった。
特に此れといった会話もせずに、ただ無心で花火を観続けた。
悟りだ…悟りの境地に至るのよ!さくら!!
大丈夫、私は出来る子!
魔王さんの温もりを背中に感じながら、
必死に平常心を保つ努力をする。
そんなこんなで、
花火が始まって1時間くらいたった頃
すっかり熟睡してしまった娘を家へと運び、ベッドに寝かせると 精霊さんが沸かしてくれていたお湯でお茶をいれ、
外で待ってくれている魔王さんのもとへと向かう。
(無闇に家へと入ってこようとはしない紳士な対応の魔王である。)
精霊さん達は、色々な事を手伝ってくれてとても助かる…けれど 私が洗濯物を持って庭に出ると、我先にと集まってきて、奪い合うようにして洗濯物を干したり、畑で収穫作業をしていれば、競い合うようにして作物を収穫したりする。
若干それらの争奪戦が激しくなり過ぎて、時々 洗濯物や野菜達が残念な事になる時もあるのだが…。
そんな時のしょんぼりとうな垂れた様子も可愛いので、まぁ いいかなぁと思って強く怒れずにいる。
花火が終わり、静寂を取り戻した森の中、空にはたくさんの星が瞬いていた。
カップを手渡すと、魔王さんは 優しい菫色の瞳を細め、フワリと微笑んで「有難う。」と言ってくれる。
この優しくて温かい人は、何故、こんなにも私に真っ直ぐに気持ちを向けてくれるのだろうか。
(*注 魔王様は、無自覚です。)
ふと、花火が始まった時に疑問に思っていた事を聞いてみた。
「何故、帰られたはずの魔王さんが
木の上から突然現れたのですか?」
すると、サラリと魔王さんは とんでもない事を告白した!
なんと!自分は、あの巨木の上で寝泊まりしているのだという事を!!!
…、
……、
………、
なんですって?
…思わず右の手のひらを耳にあて、
「ぱーどん?」と聞き返してしまった私は、悪くないと思う。
木の上で寝泊まりしていらっしゃる?
…つまり、野宿なりか??
……今までずっと???
魔王さんが私達の事を助けてくれた日から、すでにかなりの日数が経過しているのでござるが………。
、、、、マジか!?
あまりの衝撃に人格が崩壊しかけるが、
なんとか気を取り直すと、今度は凄まじいまでの自責の念に駆られてしまった!
魔王さんがそんな状況にある事に全く気付かず、ただのんびりと過ごしていた自分が許せなかった。
思わず自分のカップを放り投げ、
座っていたイスの上で 文字通り飛び上がる程に驚いた私は、そのままの勢いでジャンピング土下座をしてしまっていた。
お読みいただきありがとうございます。
楽しんでいただければ幸いです。
一緒に暮らせるまで、あと少しです!
頑張れ魔王様。
頑張れ私!表現力の無さが恨めしいです。