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13.花火。

いつもお読み頂きありがとうございます。

今後も遅筆な作者にお付き合い頂ければ幸いです。

今日は 神様の1人がいいモノを見せてくれるそうで、陽が落ちたら外のテーブルの所にいる様にとの事でした。


この森はいつでも春の様な穏やかな気候であったが、何故かここ数日で少しずつ暑くなってきている気がする。

夕食後、娘のリクエストでかき氷(イチゴ味)を食べながら外のテーブルで待っていると、ドドォンッという爆発音とともに

夜空に黄金色に輝く大輪の花々が咲いた。


「花火だぁ…。」

連続して上がる色とりどりの花火を

ポカンと見上げていると、

大きく張り出した巨木の枝から魔王さんが飛び降りて来た。

私達親子のすぐ側に音もなく着地すると、鋭い視線で周囲を見回す。

「さくら・シショー、何事だ!?」


帰ったはずの魔王さんが巨木の上から現れた事に驚いていると、うちの子が魔王さんの脚に抱きついた。

「花火なの~!」

満面の笑みのうちの子を魔王さんは片手で抱き上げた。

すっかりパパの手つきである。

「花火?…コレは、花火というのか…危険は、ないのだな?」

眩しそうに紫闇の瞳を細めて花火を見上げる。


神様が見せてくれたのは、季節外れの花火だった。

この数日で気温が上がってきたのは、夏っぽくする為の演出だったのだろうか。

そういえば、こちらに転生する前に娘と花火をする約束をしていた事を思い出した。あの時は、夏だったから…。

気付けば涙が頬を伝っていた。


不意に少しだけ硬くて温かい手が私の頬を撫で、涙が拭われる。

「泣くな、さくら。…泣かないでくれ。

私には、どうしたらいいか……判らない。」

私よりも余程辛そうな顔の魔王さん。

「マ~マ~…。」

魔王さんに抱っこされたまま、私の首に抱きついて頬をスリスリしてくる娘。

自然と3人の体が寄り添う形になる。

魔王さんは体が大きいから、私と娘はすっぽりとその腕に囲い込まれてしまう。


生きている…。

娘は、ここでちゃんと生きている。

私達親子が生きて行く場所は、ここなのだと、

今やっと、はっきりと自覚することが出来た。

前世で色々な事があり、凍りついていた心。

止まっていた色々なモノが、再び動き出したような気がする。


私は、いつの間にか自分にしがみついている温かい娘の体をギュッと抱きしめながら、

そんな私達を守るように包み込み、娘の頭を撫で私の背中を抱いてくれている魔王さんの温かさに胸が熱くなって、同時にとても苦しくもなった。

恐らく、少し前から私の中に生まれていた 想いに気付いてしまったから。


いいの?

私は、

また恋をしても

いいのだろうか…。


お読み頂きましてありがとうございます!

魔王さんと一緒に暮らすまで、後少しのはずです。

もう少しお待ちくださいませ。

頑張って書いていきたいと思います!

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