桃太郎は何処からやってきた?
今にも崩れそうな、古ぼけた藁葺き屋根の一軒家。
その中に見えるは、三人の人影。
横に並んで座るのは、齡い六十を超えるといった感じの腰の曲がった白髪のお爺さんと、お婆さん。
その向かいには、たくましい身体つきの青年が座っていました。
質素ではありますが、幸せそうに三人は囲炉裏を囲んでの夕餉を楽しんでいました。
その最中、お爺さんがわざとらしく咳払いをコホンと一つすると、箸と茶碗を置いて青年に向かって話し始めました。
「鬼ヶ島の鬼を退治に行ってはくれまいか!」
そのサプライズ発言に、当然の如く青年は動揺しました。
「どうして、おらが鬼ヶ島に行って鬼を退治なきゃならねぇんだ?」
確かに青年は、人並み外れた腕力と体力を持っていましたが、今まで喧嘩どころか、野良仕事しかやったことがないのです、
それがいきなり、鬼を退治してこいと言われては、面食らうのも当然です。
「どうしてもなにも、お主は桃から生まれた桃太郎、鬼を退治しに行くのは宿命なのじゃ!」
お爺さんは、まるでどこぞの歌舞伎役者のように、大見得を切ってポーズをきめようとしましたが、寄る年波には勝てずに、足元がふらついてしまい、隣のお婆さんに支えられるといった始末でした。
まさか、宿命と書いて、宿命と、言ってくるとは、桃太郎はお爺さんの中二病っぷりに辟易しました。
確かに、桃太郎は桃から生まれました。ゆえに普通の人間とは違っています。けれど、何故に桃から生まれたということだけで、鬼ヶ島に鬼を退治に行かなければならないのでしょうか?
もし、お爺さんとお婆さんが、鬼ヶ島の鬼に殺されたとしたならば、復讐という名目で鬼退治に行くのはむしろ当然と言えます。
しかし、桃太郎たちの住む村は、山間にあって鬼ヶ島からはかなりの距離が離れています。鬼がターゲットにするのは、湾岸部の村々だけ。つまりは、桃太郎たちにとっては、当面鬼は問題視するべきことではないのです。
さらに桃太郎は、物心つく頃から抱えている悩みがありました。
『おらは桃から生まれたのだから、桃と関わりある事をするのが正しいんじゃねえか……』
名は体を表すという言葉があります、ならば桃から生まれた桃太郎は、新たに畑を開拓して、見事な桃畑を作る事こそが、この世に生を受けた宿命ではないのかと常々考えていたのです。
目の前に広がる広大で瑞々しい桃畑……。その光景を頭の中に描いては、桃太郎はいつも恍惚とした表情を浮かべていました。
実際、桃太郎には人の数十人分の労力を叩き出せる頬のマンパワーがあります。それを活かせば、この桃畑計画は、鬼ヶ島に鬼を退治に行くという荒唐無稽な話に比べて、より現実的な話しだと言えるのです。
「よし、明日の朝になったら、鬼退治の話は断ろう。そして桃畑計画を提案するんじゃ」
そう決意をして、桃太郎は眠りにつきました。
※※※※
朝、桃太郎が目が覚ますと、お爺さんが手招きして呼んでいます。
なんだろうと、眠い目をこすりながら、お爺さんの元へ行くと……。お爺さんは鎧兜と刀の手入れしているではありませんか。こんな鎧兜は昨晩まではありませんでした。一体どうやって手に入れてきたのか?
その答えは、その鎧兜が教えてくれました。
鎧兜、そして刀は、血糊でべっとりだったのです……。
桃太郎の頭から、サーッと血の気が引いていきました。
「これを着て、お前さんは鬼退治にいくんじゃぞ」
嬉しそうに笑いながら鎧兜の手入れをしているお爺さんの表情が、狂気を含んでいるように見えるのは気のせいでしょうか?
臭います、犯罪の臭いがプンプンと臭ってきます。
けれど、あえて桃太郎はその件について尋ねることをやめておきました。真実を知るのが怖かったからです……。
桃太郎が、お爺さんを全力でスルーして台所に向かうと、そこではお婆さんが嬉しそうに鼻歌を歌いながら、何やら作っていました。
「おはよう桃太郎。お前の鬼ヶ島への旅には、とびっきり美味しいきび団子を持たせてやるからのぉ」
お婆さんが作っていたのは、きび団子でした。
ここで、桃太郎の眉間に青筋が浮かび上がりました。
犯罪臭のするお爺さん以上に、看過できないことをこのお婆さんはやってのけているからです。
桃太郎には、唯一譲れないものがありました。
そう、桃から生まれた桃太郎としてのプライドがあるのです。
それなのに……きび団子?
ちゃんちゃらおかしいのです!
――桃から生まれたんだから、持っていくとしたら、桃に決まってるだろ!
桃太郎は心の中で何度となく叫びました。
桃から産まれた桃太郎にとって、桃はアイデンティティなのです。事故を形成するにおいて中核を占めているものなのです。
そんな桃を差し置いて、きび団子ぉぉ? ありえない! ありえるはずがありません!
楽しそうにきび団子を作るお婆さんの後ろ姿を見ていると、桃太郎の心の中には強烈無比な殺意が沸き上がってきました。心の中の悪魔を自分でコントロール出来ないのです……。
「鎮まれ……。鎮まるんだ、おらの左手……」
今まさに、お婆さんの背後から首に手をかけようとしている左手を、右手で必死に抑えこむ桃太郎なのでした。
親の心子知らずと言う言葉がありますが、今は逆です。桃太郎の心のうちを、お爺さんとお婆さんは、まるで理解してくれていないのです。
『そうか、だっておら……血が繋がっていないから……』
桃太郎が生まれたのは、川の上流からドンブラコドンブラコと流れてきた桃からです。つまり、お爺さんお婆さんとは血の繋がりなど微塵もありはしないのです。
もし、これが本当の血のつながりのある肉親だったならば……。考えてはいけないことはわかっていても、ついついそんな事を考えてしまいます。
「そうだ! おらが桃から生まれたのならば、他にも桃からも生まれた人がいるかもしれない。それがおらの兄妹かもしれない!」
桃太郎の心ははやりました。が、その前に知っておかなければならないことがあります。
そう、自分が生まれた桃がどんなものだったか、姿形を聞いておかなければ、川の上流で同じものを見つけることは出来ません。
「お婆さん、おらが産まれた桃はどんな桃だったんだい?」
桃太郎は、殺意を押し殺して、きび団子を作っているお婆さんに尋ねました。
すると、お婆さんは……。
「ああ、それなら納屋にしまってあるよ」
と答えたではありませんか。
「え? おらが産まれた桃だよね? それがまだ納屋にあるのか?」
「ああ、そうだとも。あまりに硬い桃でね、わしら爺、婆の弱った歯では食べられんかったんよ」
桃太郎は頭を捻りました。
いくら硬くとも、桃は桃なのですから、いずれは腐ってしまうはずです。なのに、それがまだ納屋に?
納屋だけに、悩んでいても仕方がありません。
桃太郎は、すかさず納屋へと赴きました。
「なんと、たまげたなぁ……」
お婆さんの入った通り、大きな桃はそっくりそのまま形の変えずに残っているではありませんか。
ただ近寄ってよく見てみると、桃は赤錆びた色をしていて、金属のように見えました。
桃太郎は、恐る恐るその桃を叩いてみました。
キィーン
と、甲高い音が納屋に響き渡りました。
「これは、桃なんかじゃねぇぞ……」
巨大な桃の中は、空洞になっており、確かに赤ん坊が一人はいれるくらいのスペースが空いていました。
「なにがなんだかわからねぇが、これは桃なんかじゃねぇことは確かだ……」
今まで自分の存在意義だと思ってきた桃が、そうではなかったと知った桃太郎は、納屋の中で膝をついて落胆にくれました。
どうやら、お爺さんとお婆さんは、目がとても悪かったせいで、形が似ていたという理由でこれを桃だと思い込んでしまったのでしょう。
ひとしきり落胆すると、桃太郎は自分の頬を叩いて落ち込んだ心を奮い立たせました。
過ぎたことを悔やんでいてもしかたがないのです。
今得た情報を元に、今度はこれが流れてきたという川の上流を探索してみようと、桃太郎は決意するのでした。
こうして、桃太郎は納屋を後にしたのですが、あのずっしりとした金属の塊を、家まで運んだお婆さんの筋力は……。
桃太郎はそれについては考えないようにしました。
そして、背後から襲うこともやめて、素直にきび団子をもらっておこうと心に決めたのでした。
※※※※
翌日。
お爺さんは、昨日の夜からずっと血まみれの鎧兜を磨き上げ続けていたようで、全身が血まみれになっていました。さらに刀身を舌先で舐めては『フヒヒヒ』を不気味に笑い出す始末。
さらにお婆さんは、お婆さんで、不眠不休でいつ終わるともしれぬきび団子の制作にとりかかっていました。すでに台所は大量のきび団子であふれかえっていましたが、エンドルフィンを大量に分泌させながら、鬼神の如き表情できび団子を作り続けるお婆さんに、言葉を掛けるほどの勇気は、桃太郎にはありませんでした。
そんな二人をそっとしておいて、桃太郎は川の上流へと向かったのです。
※※※※
桃太郎は川沿いにそって、ドンドン上流へと向かって行きました。
途中特出すべきことは何もなく、大きな桃の手がかりになるものは何一つとして見つかりませんでした。
そうこうしているうちに、桃太郎は山のてっぺんまで登ってしまいました。すでに川は小川レベルになっており、大きな桃が流れようもありません。
骨折り損のくたびれ儲けかかと、桃太郎が疲れた身体を地面に寝転がらせた時……気がついたのです。
草木が茂っているはずの場所の中に、地面がえぐられ岩肌が露出している場所があることに……。
「なんじゃこりゃ……」
まるで天から星でも降ってきて、地面に墜落したかのようです。
桃太郎は、他にもなにかないかと探し始めました。
そして遂に、同じように地面がえぐられクレーター状になった中心地点に、例の大きな桃を発見したのです。
桃太郎は喜び勇んで、そのお大きな桃に駆け寄ります。
クレーターを滑り落ちるときに、擦れて着物が破けて、お尻が丸出しになったことも気になりません。
「同じじゃ、おらの産まれた桃と瓜二つじゃ」
そして、この桃も割れて中が露出しておりました。
「この中にいた、赤子は何処に行ってしもうたんじゃ……」
桃太郎は四方八方を日が暮れるまで探しましたが、誰も見つかりはしません。
「そうじゃろうなぁ……。おらが川を流れて拾われたのが、数年前なんじゃから……この場所にそのままとどまっておるわけがない……」
とは言え、自分と同族が居ることがわかったのです。桃太郎は大満足で家に帰りました。
家に帰ると、家の半分がきび団子で埋まっていました。
一心不乱にきび団子を作り続けるお婆さんのスピードは、いまやマッハに届こうとしていたのです。
ソニックブームが吹き荒れる家の中、お爺さんはそんなことを意にも介さずに、よだれとドバドバを垂らしながら鎧兜の手入れを続けています。
「なぁ、俺が小さい頃ってどんなんだったんじゃ?」
桃太郎の問に、お爺さんとお婆さんの手が止まります。
「ああ、お前の小さい頃はのぉ、今と違って暴れん坊で手がつけられん程じゃった」
「そうそう、ほんに悪い子じゃった。それが、ある日谷に落ちて頭を打ってからというもの、良い子になってなぁ。ほんと、あれは天の神様のおかげなのかのぉ」
「爺ちゃん、婆ちゃん、その落ちた谷ってのはどこなんじゃ!」
桃太郎は胸騒ぎが止まらないのを感じました。
何か嫌な予感がしてならないのです。
「お前は落ちたのは、ほれ、その田吾作どんの家をず~っと行った谷で……」
「わかった!」
それだけ答えると、夜も更けているというのに、桃太郎は家から飛び出して行きました。
「どうしたんじゃ……」
「まぁまぁ、お爺さん、あの年頃は色々あるもんじゃって……」
こうして、お爺さんは鎧兜磨きに、お婆さんはマッハの速さでのきび団子作りに戻るのでした。
※※※※
桃太郎は、お爺さんに言われた谷を、すぐに見つけることが出来ました。
そして、自分が落ちた場所を必死で探し始めました。
嫌な予感が、桃太郎の胸の内を張り裂けんばかりに高鳴らせます。
桃太郎は、小さい頃からいつも頭の天辺に違和感を感じていたのです。
何かが、そこにあったような気がしてならなかったのです……。
谷をになって走り回る桃太郎は、遂にその場所を見つけ出すことに成功しました。
地面がえぐれています。
きっと、桃太郎が落ちた衝撃でこうなったに違いありません。
その周囲を四つん這いになって這いずりまわって探し回ります。
「あ、あった……。やっぱりそうだったんかぁ……」
桃太郎は地面の上で、ある物を見つけると、指で摘み取りました。
それは、小指ほどの大きさで、とても硬くて尖っているもの……。
角です。角だったのです。
桃太郎が、頭の天辺に感じていた違和感。それはあるはずの角が無くなっていたからだったのです。
桃太郎は、谷に落下した時に角が頭からとれてしまった。そして、それからはおとなしい良い子に……。
ならば、頭から角が取れずに成長したならばどうなる……。
それは、鬼と呼ばれて凶暴に暴れまわるに違いありません……。
「なるほど、そういうことだったんかぁ……。お爺が、宿命と言うのもわかる気がするわい」
※※※※※
翌日。
「お爺、お婆、おら鬼が島に鬼退治に行くわ!」
桃太郎はスッキリとした良い表情で言いました。
「うむ、それでこそ桃から産まれた桃太郎じゃ! ほれ、これを持っていけ」
お爺さんは、手塩にかけて手入れをした鎧兜と刀を桃太郎に手渡します。
「ほれ、道中腹が空いたら食べるんじゃぞ」
お婆さんは、家が八分ほど埋もれてしまったところで、ようやくきび団子作りをやめたようで、その出来上がったきび団子の中から、究極のきび団子をいくつか桃太郎に差し出しました。
「それじゃ、おら行ってくわ!」
こうして、桃太郎は鬼ヶ島に旅だったのです。
※※※※
鬼ヶ島までの道中、犬、猿、キジを仲間にした桃太郎は、鬼ヶ島へと上陸します。
トントン拍子です。
そして、桃太郎は遂に相まみえる事となったのです。
おのれの唯一の同族、そしてこの世を荒らす鬼に……。
出来ることならば、共に仲良く手に手を取り合って生きていきたい。
しかし鬼を目にした時、桃太郎はそんな儚い願いを捨て去りました。
何故ならば、鬼の足元には無残にも切り刻まれた人間の死体が大量に転がっていたのです。そして、それらを足蹴にして鬼は下卑た笑いを浮かべていました。
「同族である、おらが倒してやるのが、せめてもの情けじゃ……」
桃太郎は雄叫びを上げながら、鬼に向かって駈け出しました。
犬、猿、キジもそれに続きました。
鬼は大きな金棒を振り回して、桃太郎たちを圧倒します。
怪力自慢の桃太郎といえども、角を持つ鬼の凶暴な戦いっぷりには太刀打ちできません。
強烈な金棒の一撃を、桃太郎は刀で受けて見せました……しかし、刀身は金棒の威力を受けきることが出来ずに、見るも無残に砕け散ってしまいます。
「もう、おらはこいつに勝つことはできんのか……」
疲労と落胆が桃太郎の身体に重く伸し掛かって、遂には膝を地に付けさせてしまいます。
その隙を逃す鬼ではありません。情け容赦のない鬼の金棒の一撃が、桃太郎に向け襲いかかったのです。
桃太郎は金棒に吹き飛ばされ、見るも無残な姿に……。と思いきや、その一撃を身代わりとなって猿が食らっていたのです。
猿は遥か彼方に吹き飛ばされてしまい、身体をひくひくとさせたまま気を失ってしまいました。
「はははははっ、次は貴様の番だぞ」
鬼は再び金棒を振りかぶりました。
「よくも、よくも猿を……許さん! 許さんぞぉォォォォ!」
温厚だった桃太郎は初めて怒りという感情を知りました。
そして怒りの感情に身を委ねたのです。
身体の毛穴という毛穴が開いて、身体の奥から熱いものがこみあげます。
それは闘気となって桃太郎の身体全身を包みこんだのでした。
圧倒的な闘気のオーラに圧されて、鬼は思わず後ずさってしまいます。
そして、この時ようやく鬼も気がつくのです。
「まさか、貴様は俺と同じ……。どうして角がない!?」
「俺は角を捨て、かわりに優しさを手に入れた。お前は殺しすぎた……。今まで無碍に踏みにじってきたこの星のみんなに懺悔しろ!」
「や、やめろ! 俺とお前が組めば、この世界を手に入れることだって容易いんだぞ。なぁ、俺たちはこの世界でたった二人だけの同種族じゃないか。仲良くしようぜ」
鬼が桃太郎に手を差し伸べました。
「俺は桃から産まれた桃太郎だ! そして、桃太郎は鬼を成敗すると宿命られているんだっ!」
闘気のオーラを纏った拳が、鬼の金棒を一撃で粉砕するだけでなく、そのまま顔面へと叩きつけられました。
苦痛に顔を歪める鬼に対して、休む間もなく二撃三撃と連続で打撃を叩き込んでいく桃太郎の顔には、優しかった面影は何処にも見当たりません。
まさに、鬼を倒すために、鬼へと化してしまったのです。
鬼がサンドバックのように身動きできようになっても、桃太郎は攻撃の手をゆるめはしません。
そして、ハンマーの如く振り下ろした桃太郎の両拳が、鬼の身体を地面へとめり込まして動きを封じ込めました。
虫の息となった鬼が、唯一動かせるのは口ぐらいのものでした。
「は、はははは……。鏡を見てみるがいい。今のお前の顔は人ではない、完全に鬼だ。俺以上に鬼そのものだ。そんなお前が人の世界で生きていけるものか……」
「……」
桃太郎は何も答えずに、渾身の一撃を打ち込むと、鬼は絶命しました……。
こうして、桃太郎は鬼ヶ島の鬼を退治したのです。
瀕死の猿は……。
「ほら、このきび団子を食うんじゃ」
桃太郎は、きび団子を猿の口の中に放り込みます。
するとどうでしょう。
先ほどっまで瀕死だったはずの猿は、ウキーウキーと叫びながら元気に走り回りだしたのです。
どうやら、お婆さんがエンドルフィンを垂れ流しながら作った究極のきび団子には、特殊な回復能力が備わっていたのです。
こうして、鬼を退治した桃太郎は、鬼の貯めこんだ金銀財宝を大量に持って、お爺さんとお婆さんの待つ村へと帰ったのです。
人として、生きていくために……。
しかし、家に戻ってみれば、お爺さんの姿はすでになく……。
村人に聞いてみたところ。
「わしの虎徹が血を求めておるわ……」
等と呟きながら、合戦場へと赴いていったとかどうとか……。
お婆さんはといえば、あれからも休むことなくさらにきび団子作りを続け、その速度は加速に加速を加え、ついには物理限界を突破して光速へと至っていたのでした。
光速を超えたお婆さんは……時間の壁を突き破り……。なにがどうなったのか、十六歳の見目麗しい少女へと変貌を遂げていたのです。
こうして、お爺さんが居なくなったのと良いことに、桃太郎はお婆さんと結ばれて、末永く平和に暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし!?




