文化祭ではっちゃけましょう! 中
優弥は生徒会室に戻ると、早速要望書の箱を開けてみる。
確かに最近の写真部への不信感が紙になって上がっていた。
優弥「はぁ…」
白亜「戻ってくるなり、なんですの?」
生徒会室で仕事をしていた白亜が、突然優弥が開いた要望書を覗き込む。
白亜「…まあ…。……そういえば最近、更衣室のロッカーで物の場所が移動している事があるという話を聞きますわ」
優弥「って事は、捜査するには十分って事か…」
白亜「今日から文化祭ですもの、事実確認は早い方がいいですわね」
優弥「そうだな。…よし、写真部の部室を見てくる。神央郷たちが戻ってきたら伝えておいてくれ」
白亜「ええ、分かりましたわ」
少し面倒だとは思ったが、写真部の部室がある部活棟三階へ向かった。
その途中、今度は露姫と梅松を見かけた。
梅松「よ、優弥」
露姫「おっはー」
優弥「よう。…そっか、もうお前らが来る時間か」
いつも通りに登校してきたバカップルと挨拶を交わす。
という事は那音も、来ているはずだろう。
クラスは同じなのだ、もしかしたら…とつい二人の辺りを見回す。
梅松「…そういや那音は? 一緒に来たんだろ?」
優弥「あ…いや……途中で猫拾ったからって、一度家に帰ってた。…まだ来てないのか?」
露姫「猫ぉ? …あー、でも那音っぽいわね。…あいつ犬っぽいけど」
梅松(…また犬っぽい猫っぽいの話か…)
優弥「………」
梅松「…ま、まあ…那音の事だ、お前と文化祭を楽しみたいに決まってる。絶対来るって」
優弥「…いや…ちょっと面倒な仕事が出来たから、今日回る時間はねぇ」
梅松「え…そうなのか?」
露姫「なんか手伝えるなら手伝うわよ?」
ありがたい申し出だが、ちょっとばかり二人には頼めそうにない。
かと言って、協力してもらえるならその方がいいのだが…。
いや、写真部の件、露姫ならなにか情報を掴んでいるかもしれない。
優弥「なあ、露姫」
露姫「なに? なんかある?」
優弥「いや、最近写真部が女子のプロマイドを無断販売してたり、女子更衣室で妙な事があるって聞いて調べてんだが…なんか関連性は?」
露姫「え? ああ…そういえば最近体育館脇のテニス部とかバレー部の女子更衣室でロッカーの中身が移動してるって噂あったわね。…写真部の連中が、アイドル顔の女子を盗み撮りして女子柔道部の子にぶん投げられたって話は聞いたわよ? 確か…ほら、生徒会に居たじゃん? あの乳でかい金髪女!」
優弥「…………黒崎か…」
確かに黒崎文芳は美少女な上スタイルも抜群だ。
ただし腐女子。
…漫画アニメ研究部なのに、中身の情報は出回っていないのだろうか、まさか?
梅松「…写真部か…、俺も妙な話は聞いたな…他校に神楽や那音の写真売ってるって」
優弥「はあ?」
梅松「…優弥、お前はカメラとか向けられるとすぐ分かるだろ? けど神楽は気にしないし、那音は気付かない…だから二人の写真を他校の女子に売って、部費の一部にしてる…とかなんとか…」
露姫「確かにあんたたちの写真、結構いい値で売れるもんね!」
優弥「………ん?」
梅松「ん?」
露姫「! な、なんでもないわよ!?」
今なんかよからぬ事が聞こえたような…。
露姫「と、とにかく、もう少し具体的になに調べてるか教えなさよ!」
優弥「……ああ…」
とりあえず、要望書の中身を二人に説明する。
露姫のみならず梅松も妙な噂を耳にしている、となればこれはかなり信憑性が高いと判断できる。
露姫「……成る程ね…。…OK、あたしに任せなさい! 野郎の写真はともかく、女子の写真を無断で撮影した挙げ句金儲けに使おうっつーんなら話は別よ! 縛り上げて売上金巻き上げてやるわ!」
優弥「いや、売上金は生徒会で没収するから」
露姫「ええー!? いーじゃん、協力料!」
優弥「ダメだ」
露姫「ゆーやのケチぃ! 執事喫茶でこき使ってやるんだから!」
優弥「……………」
……ちょっと思い出したくなかったクラスの出し物に、少しだけ意識が遠くなる優弥。
本当…執事喫茶…那音の奴めが言い出さなければ…!
ともかく、露姫の妙な情報網なら少し経てばなにか引っかかるだろう。
優弥は一路写真部の部室へと向かった。
部活棟三階一室…写真展となっている狭い部室…。
優弥「邪魔する」
写真部A「うわあ!? せ…生徒会の……な、なんの用ですか!?」
まずもって第一声からして…怪しい。
そして展示の中身を見て…絶句した。
優弥「な…なんだこれ…」
女子だ。
とりあえずピースしてたり、ポーズを取っているものばかりだが…全部部活中らしい…女子ばかり。
テニスウエアの女子、柔道着の女子、袴姿の女子、ジャージ、ユニフォーム…全て運動部の女子の写真……。
優弥(ヤバい、ガチで気持ち悪いこいつら…!!)
優弥は心の底からそう思った。
写真部B「な、なにって、我々写真部の作品ですよ! 題して青春活動女子…青女[アオジョ]です!」
優弥「キモ…」
写真部C「失礼な! 部活動に青春を捧げ、汗臭い女子の魅力、引き締まった身体、努力する女子の素晴らしい笑顔! それを表現しているんですよ!? 君も運動部なら彼女たちの芸術的な姿は分かるでしょう!?」
いや、キモいのはそういう着眼点を恥もしないお前らである。
優弥「………」
部室内の作品は全て運動部の女子…。
室内を見回すが、さすがに証拠になるようなものは見当たらない。
…まあ、あったらあったで嫌すぎるが…。
優弥「現像室も見せてもらう」
写真部A「な! か、勝手な…! 我々の芸術品を汚すような真似はやめてもらいたい!」
写真部B「そうです! 現像室は我々の仕事場! 未完成品を見られるなんて屈辱です!」
写真部C「関係者以外立ち入り禁止ですー!」
優弥「ほう…?」
怪しい。
怪しすぎる。
都村「小野口」
しかし無理にでも立ち入ろうとした優弥に、後ろから声がかかった。
都村だ。
優弥「…なんだよ」
都村「…ちょっと来てくれ…漫研がヤバい」
優弥「漫研?」
同じ階の漫画アニメ研究部…少し顔色の悪い都村…。
そして神央郷が「わおーん!」と吠えながら走ってきた。
優弥「神央郷! 廊下は走るな!」
神央郷「それどころではないのだな優弥! ヤバいのだな! 吾が輩は、吾が輩はおぞましい世界を垣間見てしまったのだな! あんなの駄目なのだな! 活動停止にすべきなのだなー!」
優弥「はあ? おいちょっと落ち着け…! なんだよ一体…」
二人の様子がおかしい。
仕方なく写真部を後回しにする事にして、漫研の展示室へと足を踏み入れる。
長机に並べられた冊子の山。
300円から800円程度の値がつけられたそれらの冊子は、同時にそのほとんどに『R18』という表記がなされていた。
………ちなみにここ高校である。
優弥「…………………」
そして、納得した。
都村と神央郷が怯えた理由…。
黒崎文芳のご満悦な顔…。
冊子はほとんど、優弥と那音と神楽がモデル…つーかガチで優弥たちがホモ的な絡み方をしている所謂同人誌だった。
優弥「……黒崎よ」
文芳「あらあら、見つかってしまいましたわ。でもご安心して? この同人誌は本日限定でしてよ! 明日からは普通のソフトなホモ本販売致しますから!」
優弥「……俺たちの机にそういう本を突っ込んでやがったのは……てめぇらか…?」
文芳「ご満足いただけて!?」
キラキラ期待満々笑顔。
優弥「…………」
どこからともなく取り出された優弥の妖刀。
漫画アニメ研究部の出し物は、五秒で紙切れと化したのは言うまでもない。
~それゆけ露姫~
露姫「さぁさぁがわぁー!!」
笹川「ぎゃあああ!?」
露姫「いーまーいぃー!!」
今井「わぎゃああ!?」
露姫「あんたたちぃ、あたし以外から写真買ったりしてない? ねぇ? 素直に話せば優弥と那音にあんたたちが那音のやらしー写真をあたしにねだってたって黙っててやるわよ?」
笹川「な、なっ、なっ!」
露姫「おらおらゲロりなさい!」
今井「買いました! 写真部から買いましたぁぁ!」
宇都宮「……ま…松竹は眞田のどこがいいんだ…!?」
梅松「あ…ああいう強引なところかな…」照
さいですか。




