第三話「ファンタジー世界におけるファッション業界の最新流行 その2 ~プロジェクトX(バッテン)~」
【最弱武装をスタイリッシュに着こなすブランド品の開発】をコンセプトに、貧乏勇者から小金を巻き上げようとした貧困ビジネスが破綻し、大量の不良在庫を抱えて負債処理に追われる投資家ケルナー。
しかし、ピンチをビジネスチャンスに変えるべく、ケルナーは販売戦略の抜本的な見直しを図った。
チャンスをモノにするには先ずは冷静な分析と、発想の転換が必要である。
1.ブランド品と言うには、いささか無名ではなかったか?
2.貧乏人とブランド品の両立という戦略に若干無理がなかったか?
3.戦闘とファッションの両立(血飛沫の舞う戦場でのオシャレの必要性)は、少々強引ではなかったか?
このように分析していくと、ビジネス・プランの失敗が見えてくる。
そう。
単純にビジネス・プランの根幹が、間違っていただけなのだ。
敵をぶち殺す為に、わざわざオシャレに気を使う酔狂な奴は居ない。
ファッションと殺し合いを両立させようとした事に、無理があったのだ。
では、この大量の不良資産である《棍棒》と《皮の盾》を、どう売り捌けば良いのか?
元々が最安値・最弱武装につき、鬼特価セールを敢行したところで ほとんど売上げは見込めないだろう。
ならば、武器として売るのではなく、流行のアイテムやアクセサリーとして売るしか方法は無い。
が、《棍棒》や《皮の盾》を流行のアクセサリーと呼ぶには、少しばかり無理がある。
なら、どうすれば良いのか?
ケルナーが熟考して出した結論は、ターゲット顧客の見直しであった。
貧乏勇者に最弱武装を売りつけようとするから商売にならないだけであって、最新の流行に敏感な顧客層を取り込めば良いのである。
「クックックッ、敵を殴り倒す武装だけが武器ではない。 意中の異性を悩殺する武器として売り捌けば良い訳だ。」
発想の転換により、ケルナーの武器ビジネスは全く異なる方向に展開していった。
投資家ケルナーの冴え渡るビジネス計画が、ここに炸裂する!