表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

第5話 謎の扉


風が辺りを吹き渡る。

四人は神社の前に立ち尽くしていた。


木造の建物はどこか薄暗く、空気が重い。

崩れかけた屋根、苔むした石段。

人の気配はない。


「……近づくの、怖い。」

恭子が小声で呟き、足元の石段を見下ろす。


「進むしかないな。」

善は周囲を鋭く見渡した。


琉生は深く息を吸う。

胸の奥がざわつく。


神社の奥に――青く揺れる光。

それだけが、はっきりと見えていた。


「……やっぱり、光が俺を……」


声がかすれる。


「琉生、ちょっと待って」

恭子が腕を掴む。

「危険かもしれないから、勝手に行かないで。」


琉生は頷いた。

だが、足は止まらない。


引き寄せられる。

呼ばれているような感覚。


石段を一段、また一段と上がるたび、空気が冷えていく。

肌に触れる風が、異様に冷たい。


「……寒い。」

あいらが腕をさすり、小さく身を縮める。


善は何も言わず、ただ周囲を警戒している。


石段を上りきると、目の前に古びた扉が現れた。


茶色くくすみ、埃をかぶった木の扉。

だが、その隙間から――微かに青い光が漏れている。


琉生は手をかざす。


触れた瞬間、ぞくりとした。

冷たいはずなのに、どこかぬるい。


四人は無言で視線を交わす。

恐怖と好奇心が、同時に胸を締めつける。


「……行きます。」

琉生はそう言って、扉を押した。


ギィ……と軋む音。

次の瞬間――


青い光が、溢れ出した。


「うわっ!」

恭子が思わず声を上げる。


視界が青に染まる。

空気が震えているようだった。


「なんだ、これ……」

善の声がわずかに低くなる。


「これ……光……?」

あいらの声が震える。


光は、ただそこにあるだけではなかった。


柱を這い、床へと滴る。

まるで意思を持つように、ゆっくりと空間を満たしていく。

そして――


「……っ」

琉生の呼吸が止まる。


光の中心。

そこに、“何か”がいた。


人の形。


ぼやけている。

だが確かに、立っている。


「誰だ……?」

思わず呟く。


胸の奥が強く脈打つ。

見覚えがある気がするのに、思い出せない。


近づけば分かる――

そう思った瞬間、


背筋に冷たいものが走る。


(近づいちゃいけない)


本能が、そう告げている。


なのに――


目を逸らせない。


「……何か見える……」

琉生の声は震えていた。


「琉生?」

恭子が不安そうに顔を覗き込む。


「……光の中に、人が……」


言葉が途切れる。


そのとき――


青い光が、わずかに脈打った。


空気が揺れる。


そして、低く、かすれた声が

直接、頭の奥に響いた。


「――ぱぷりあ……」


「……またそれかよ……」

琉生は歯を食いしばる。


その声を聞いた瞬間、


ほんの一瞬だけ――

不思議な安心感が胸をよぎった。


すべてから解放されるような、そんな感覚。


同時に、

どこかへ“消えてしまいたくなる”衝動。


「……っ、なんだよこれ……」

琉生は頭を押さえる。


善が一歩前に出る。

「落ち着け。」


あいらは震える手で端末を握りしめる。

「……こんな現象、ありえない……」


恭子は光を見つめたまま、小さく呟いた。

「……この光、綺麗すぎない……?」


青い光は、あまりにも静かで――

あまりにも美しかった。


光はさらに濃く、深く揺れている。


善が低く言った。

「……中に入るぞ。」


三人は小さく頷く。


琉生はもう一度、光の中の“それ”を見る。

だが、そこにはもう何もいなかった。


気のせいだったのか――

それとも。


答えを出せないまま、

青い光の中へと足を踏み入れた。


その瞬間――


空間が、わずかに歪んだ。


青い光が揺れ、

まるで歓迎するように、四人を包み込む。



この先で、何かが明かされようとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ