第4話「ギルドでの評価、そして“加護持ち”の噂」
──神様の手違いで最強になった俺、異世界でも社畜気質が抜けない件──
翌朝。
鳥の鳴き声と筋肉痛で目が覚めた。
「……体バキバキ。チートなのに疲労は残るんだな。」
昨日、ドラゴンと戦った影響で全身ズタボロ。
寝返り打つたびに骨が鳴る。
だが街は大騒ぎだった。
ギルドの前には人だかり、新聞の号外には大きな見出しが踊る。
『一人でドラゴン討伐!? 謎の加護持ち現る!』
「……あー、やっちゃったなこれ」
完全に目立った。社畜は“縁の下”が落ち着くのに。
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◆ギルド受付にて
赤髪の受付嬢・レナが書類を抱えながら笑顔で近づく。
「黒川さん、おめでとうございます。あなたの討伐報告、ギルドマスターが直々に確認しました!」
「え、そんな大ごとに……」
「当然です! ドラゴン級を単独で討伐なんて、前代未聞ですから!」
周囲の冒険者たちがざわざわと囁く。
「こいつが噂の“加護持ち”か」
「神の寵愛を受けた男だってよ」
「でもあの見た目……普通のサラリーマンじゃね?」
……外見偏差値で判断するな。
レナが俺の木製カードを差し出す。
「あなたのランク、今日から“C”に昇格です!」
「……一気に二段階アップ!?」
「はい、異例中の異例です!」
「いや、異例じゃなくて“手違い”なんだけどな……」
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◆新キャラ登場
その時、背後から明るい声が飛んできた。
「あなたがドラゴン倒したって噂の新人?!」
振り向くと、長い銀髪に青い瞳の少女が立っていた。
年は十代後半、腰には細身の剣。
軽装鎧を身に着けているが、立ち姿に無駄がない。
「私はリリア・アルフェン。剣士です!」
「えっと、黒川です。職業は……多分、総務です。」
「そうむ?」
説明が面倒なのでスルーした。
リリアはにこっと笑い、ぐっと近づく。
「昨日のドラゴン戦、私も現場にいたの。あなたが光の中で立ってたの、ちゃんと見たよ。」
「え、見られてたの……!?」
「うん!すっごくかっこよかった!」
ドキッ。
この世界来て初めて言われた、そのセリフ。
「え、あ、いや……社畜なので、見た目より残業の方が得意で……」
「なにその謙遜!?かっこいいこと否定しないでよ!」
周囲の冒険者が「おお〜」と冷やかす声。
赤面してるリリアと、動揺してる俺。
完全にコント。
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◆ギルドマスター登場
扉がバン!と開き、ひげ面の大男が現れた。
「黒川真一はいるかぁ!」
「はいっ、勤務中です!」
「勤務って言うな!」
彼は笑いながら近づく。
「お前、昨日のドラゴン、よくやったな。助かったぜ。街一つ救ったようなもんだ。」
「いえ、ただの事故対応で……」
「控えめか!まぁいい。だがな……加護持ちってのは、目立つ。狙われるぞ。」
その言葉に、空気が一気に引き締まる。
「狙われる?」
「ああ。加護持ちは希少だ。国家レベルで争奪戦になる。」
マジか……。
「だからしばらくは、仲間を組め。単独行動は危険だ。」
「仲間、ですか。」
「俺から紹介する。そこのリリア、腕も信頼もある。」
「えっ、私!?」
リリアが慌てて立ち上がる。
マスターがにやっと笑う。
「お前、興味あるんだろ? こいつに。」
「ち、ちがっ……! いや違わないけど!」
顔を真っ赤にして否定しきれないリリア。
横でレナが小声で「お似合いですよ」とか言ってる。
もう勘弁してくれ。
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◆夕暮れの帰り道
ギルドを出ると、夕日が街を染めていた。
隣を歩くリリアがぽつりとつぶやく。
「ねぇ、加護持ちって……怖くないの?」
「うん、怖いよ。でも放っておけないんだ。誰か困ってたら、動いちゃう性格なんだと思う。」
「……そっか。なんか、あなたらしいね。」
風が吹く。
ふたりの間に、少しだけ柔らかい空気が流れた。
「じゃ、明日から一緒に行動しよう。
あなた、ひとりで残業ばっかしてそうだし。」
「ぐっ……図星。」
リリアは笑った。
どこか神様に似た、無邪気な笑顔だった。
こうして俺は――
異世界で初めて、“仲間”を得た。
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✅次回予告
第5話「はじめてのパーティー、そして“闇ギルド”の影」
新たな仲間・リリアと共に動き出した真一。
だが、その裏で“加護持ち”を狙う闇ギルドの影が──!?




