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神様の手違いで最強になった俺、異世界でも社畜気質が抜けない件  作者: こかにゃん


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第1話 「死んだはずが、手違いでした」

──神様の手違いで最強になった俺、異世界でも社畜気質が抜けない件──


朝の雑踏を、俺はいつものように肩を落として歩いていた。


黒川真一くろかわ しんいち、三十四歳。

独身。社畜。寝ぐせ芸人。

希望より、クマの方が濃い男だ。


「はぁ……今日も地獄の会議だよ」


電柱の時計は、始業ギリギリ。

スマホには上司からの無慈悲な通知が並ぶ。


『会議10分前に必ず来い』

『昨日の資料、まだ?』

『あとコーヒー買ってきて』


いやそれ業務外だろ。

でも“はい”としか返せないのが社畜の悲しい性だ。


俺は心の中で嘆息する。


(異世界とか……行けたらいいのにな)


そんな逃避をしながら横断歩道に差しかかった、その時だった。


「きゃっ!」


小さな悲鳴。

ランドセルを背負った子どもが転び、その前方──トラックが猛スピードで迫っていた。


視界が揺れ、思考が真っ白になる。

気づけば、俺の体は飛び出していた。


「危ない!!」


子どもを抱えて横へ飛び退き、俺の目に映ったのはトラックのヘッドライト。

クラクションが、世界を切り裂くように響いた。


──白い閃光。



「……ここ、どこだ?」


目を開けると、真っ白な空間。

雲みたいな床。視界いっぱいの光。

現実感が希薄すぎる。


そして、目の前にいたのは……


「よっ。起きた?」


爽やか系イケメン。

白い服、金の輪っか、コーヒー片手。

……こいつ、どう見ても神様だ。


「まずは……ごめん」


「はい?」


「いやー、完全に手違い。システムエラー。

君、本来ならあと二十年は生きる予定だったんだよね」


あっけらかんとした口調。

軽い。軽すぎる。


「……死因、あなたの手違いですか?」


「そう!」


笑顔で言うなや。


呆然とする俺に、神様はポンと手を叩いた。


「だからお詫びに転生!異世界!魔法アリ!モンスターもいるよ!」


……この神、切り替え早くない?


「いや、そもそも俺、生き返れたほうが──」


「無理。処理走っちゃったから」


ITかよ。


神様は書類をひっくり返しながら続ける。


「でも安心して。補償つけるから。

まず、全属性の魔法。火も水も光も闇もぜんぶ使える」


「全……?」


「ついでに神の加護もポン!」


頭に暖かい光が流れ込む。

すげぇ……現実味はないのに、力だけははっきり感じる。


「あと、言語理解。通貨、基礎魔法指導……あ、会社のメール自動返信はしといた」


「そこ気遣うのズレてません?」


「働いてたんだろ?責任感強いタイプでしょ。社畜気質、私は好きよ」


褒められてるのに胸が痛い。


神様はニッと笑った。


「さぁ、行ってこい。

今度の人生は、好きに生きていいんだ」


その言葉が、胸に刺さった。


(……好きに、生きる)


俺が最後に考えたのは、助けた子どもの顔だった。


「その子、無事ですよね?」


神様は優しく頷いた。


「当然。君のおかげだ」


肩の力が抜けた瞬間、光に包まれる。


「それじゃ……いってらっしゃい!最強社畜さん!」


いやその肩書き嫌なんだけど──



眩しい陽光と、草の匂い。

目を開けると、広大な草原が広がっていた。


空には太陽が二つ。

遠くには巨大な城壁都市。


「……マジで異世界だ」


手をかざす。

ふわりと火の玉が生まれた。


「おお……!」


次の瞬間、爆ぜた。


「熱っ!?」


慌てて水魔法──


バシャッ


「冷たい!?」


風魔法で乾かそうとしたら、突風で髪が爆発。


「なんで最大出力……!」


結果、へんてこなアホ毛が立った。


(……チートって万能じゃないのか?)


そのとき。


草陰からぷるぷるとした青いスライムが顔を出した。


「ぷるる」


「よし……まずは初仕事だ」


火、水、光、闇。

魔法が自然に組み合わさっていく。

スライムは爆ぜ、煙となって消えた。


「……やれた」


胸の奥が温かくなる。


(せっかくもらった新しい人生だ。

 今度は、俺も……誰かを助けられる人間になりたい)


風が吹く。

どこか祝福のように。


「……よし、まずは冒険者登録だな」


だがその前に。


ぐぅぅぅぅ……


「腹、減った……」


異世界最初の敵は、空腹だった。


──俺の第二の人生が、ここから始まる。



✅次回予告


第2話「腹ペコ社畜、ギルドへ行く」

最強チート持ってるのに、まず食事と職探しから。

異世界でも、社会は厳しい──!


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