第9話 告白(2)
レイリーはバッと顔を上げた。
顔は青ざめていた。
《まさか、ご存知なの?》
「前から思っていたんだけど…」
何を言われるのかわからない恐怖からレイリーは目を固く閉じて、大きく震え出した。
「レイリー様の家にお邪魔するたびに、とても大きな魔力を感じるの」
《やっぱり!!》
目に見えて怯え出したレイリーを、さすがに見ていられなくて両手で、彼女の両手を包んであげた。
「大丈夫よ」
優しく微笑んだら、少しだけ肩の力が抜けたように見えた。
そしてできるだけ儚く見えるように長いまつ毛をふせて斜め右下をみながら眉を下げて言った。
(右で合ってるのかしら、左が正解?)
「レイリーに隠されてる方が悲しいかな…」
《ビジュー様にこんな顔をさせてしまった!》
不覚だと言わんばかりの顔で焦ったようにレイリーは包まれた両手に力を込めて言った。
「おっ弟ができたんです!!」
(きィィたァァーーーーーーーー)
歓喜でにやけそうになる口角をなんとか下げたまま
「おと…うと?」
とびっくりしたような顔でコテンと首を傾けて聞いた。
「はい!それももう…1年以上前に…」
何度も口ごもるレイリーに
(はよ言わんかい!)
と突っ込みたい気持ちを抑えながら、「大丈夫よ」と励まし、辛抱強く待って、ついに聞き出した。
私が一年前に訪問した時にはもう弟がいたこと。
孤児院からひきとった平民であるから、高貴な公爵家にはとても会わせられないと家族全員思っていて隠したこと。
彼を公表するのは魔力が認められて学園に入る時と決めていること。
毎日朝から夜まで魔法の訓練をしては、全然ダメだと家庭教師にぶたれていること。
両親は彼を言葉で支配していること。
またレイリー自身が、私から身分は関係ないと言われた日から、平民だからっていじめられて当然なのはおかしいのではないかと疑問に思いはじめたこと。
ついにはそれを母親に勇気を出して言ってみたところ、思い切り叱られ、私がたまたまその場面に遭遇し、ライリーを助けたこと。
もう、涙なしには聞けなかった
(ごめんね…一年も苦しい思いをさせて…)
力不足で何もできなかった推しに心から懺悔をした。
ゲームの設定では推しは私が16歳で学園に入った時には14歳にも関わらず、2学年上の、3年生だった。
それは12歳で入学でき、何事もなく進級できたからだ。
そう…あと一年後の9月。
もう時間がない。
「ありがとう」
私はレイリーに、母親へ意見してくれたこと、自分に打ち明けてくれたことに感謝の意を述べた。
《嫌われてないのかしら》
まだ不安に揺れるレイリーの瞳を見て、立ち上がると優しく抱きしめた。
「大丈夫よ。さあもう一度勇気を出して?私に弟を紹介してちょうだい」
感涙したレイリーは、落ち着くまで抱きしめているとやがて決意を込めた瞳に変わり、私を見上げて
「こちらです」
と案内してくれることになった。