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隠された出生


時間を戻した僕は結局、生まれた瞬間からやり直した。

どうしても、うらやましかった。

あのエクラという男がビーの幼い頃を知っていて、愛称を使うくらいずっと仲良くしてきたことが。

僕もその中に入りたいと思った。


やり直してみると、自分の出生までわかった。

笑えることに自分は王族だった。

母は王のメイドだった。

もともと王家の侍従や侍女をするのは貴族出身と決まっており、そこで箔がつくといい身分の相手と結婚ができるらしく、結婚前に働くのが普通なんだそうだ。

王から気に入られた母は逆らうことはできず、妾となったが王との子を孕んだ後、殺されないために王宮を抜け出した。

王宮内でも何度も王妃から毒殺されそうになっていたので、僕を身籠ったことで更に身の危険を感じたのだろう。

逃亡生活は、実家に戻るとバレる危険があるので、平民のフリをして一軒家を買った。

お金はかなりあったため、生活には困らなかった。

もともと実家にいた執事やメイドには極秘で会っていた。

自分に何かあった時は僕のことを孤児院にいれてほしいと言っていた。

僕の存在が明るみになると、王妃が黙っていないからだ。

結局僕が2歳になったとき、王妃からの使いに母は暗殺された。

孤児院の前に執事は泣きながら僕を置いた。

迎えにいくこともできない、バレてしまっては僕が殺されるかもしれないから、関わることはできない、でも孤児院に援助をして見守りたいと言っていた。

2歳の記憶なんて普通はないが、時間を巻き戻した僕は14歳から0歳をスタートしたわけだから当たり前に全て覚えている。

孤児院に、ちゃんと執事はお金を渡していた。

会いにきた時は遠くから僕を見ていた。

決して僕に話しかけなかったし、目が合うとすぐに帰って行った。

関わらないと言う意思を覆さなかった。

きっと僕の母上の意思を尊重したかったんだろう。

2歳であっても僕には魔力があるし、何も恐れるものはなかった。

まずは孤児院の院長を魔法で脅した。

命がほしければ言うことを聞けといって従わせた。

「悪魔か!?」

などとほざいていたので、そういうことにしといてやった。

3歳になった頃、宮殿へ透明の状態で忍び込み、王妃を脅した。

寝室で夜に侍女がいなくなった時を狙って、顔から下を全て氷漬けにしてやった。

「お前が母上を手下に暗殺させたことはわかっている。不敬罪で王から処罰されたくなければ、僕を大公にしろ。そうすれば王族だったことも黙っといてやる。まあ断れば今すぐ殺すだけだが。」

そう言えば、簡単に大公にしたのだから笑ってしまう。

王妃の手に叶えばこの帝国で身分詐称など簡単らしい。

もともと大公という身分はあったが、僕とビーが出会ったころにはなかった。

先代が死んだ後、途絶えたらしい。

そこをなんとか王妃の権力を使って、遠い親戚である僕が受け継いだ、ということにしたみたいだ。

僕が生まれる前に受け継がれていたなど、時系列的におかしいことではあっても、王以外の誰も王妃に逆らうことはできないので、見て見ぬふりをされたんだろう。

晴れて3歳で大公という爵位を得た。

本来なら貴族や王族みんなのまえで発表するべき事柄らしいが、まだ3歳だからという理由でしなかった。

まだビーに会うのは早い。大公としての仕事や振る舞いを身につけるために2年は必要だと思った。

結局5歳になってからやっと、ビーと再会することができた。

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