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干支は貴方の傍に

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。

これは読者様の問題ではなく、私の問題。


詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。


注意事項2

気が付いたら居なくなって、帰って来なくなりました。

「はい。今年も貰ってきたよ。御籤。やる」


我が家のリビングの端には、棚がひっそりと置かれている。頂上には複数の写真立て。節目節目の私達の姿が写っている。それに混ざる様にして、その年の干支が置かれていた。

此処ではない遠い神社。毎年、訪れる度に置物が変わる。今年も例に漏れず、その神社に訪れる前日に辰が居なくなっていた。鼠、兎、辰、だから今年は巳が鎮座すると思われていた。

が、居ない。幾日待っても、毎朝眺めて見ても、蛇は疎か、他の干支が鎮座する事は無かった。

あれはあの神社で授かったものでは無いのだろうか。では何故このタイミングで?

そんな事を考えながら臺を眺めていたら、母から声が掛かった。

――来年からは、地元の神社にする? アンタの厄落としも取り敢えず、これで終わりだし。

そんな母の一言が、脳裏に反芻する。

もう、訪れないから。もう参拝する事はないから。これでお終いなのかも知れない。私との縁は切られ、もう臺に干支が降り立つ事は無いのかも知れない。

そう思うと、『巳の置物は置かないのか』『あの置物は何処から授かったものなのか』と聞くことも出来なくなった。

今までは居ることが当たり前で、その事に疑問を持つ事は無かった。しかし、無いなら無いで寂しいものである。ただ無造作に置かれた写真立を、時代を止めた置物を守る干支は既に居ないのだから。


朝、出掛ける準備をする為に、自分の部屋に訪れる。この間机の上を整理したので、やれ本が散らばっていたり、やれ薬が散乱していたりはしない。やはり整理整頓はしておくものである。

そこでふと棚のヘアゴムを取ろうと手を伸ばすと、飾り物に目が向いた。鼠と猪と蛇。どれも母から貰ったもの。寺で貰える置物付きの御籤。ひっくり返すと穴が空いていて、そこに御籤が入れられる様になっている。

朝という時間を忘れて、暫く眺める。

「……もしかして……臺ではなく、私の机をお選びになられたのですか?」

もっちりとした巳の置物は、そのきょとんとした顔のまま、何も答えなかった。

我が家の不思議の一つ。

干支の置物がいつの間にか増えて、いつの間にか減ってる。

帰ってきて、ぼーっと視線動かすと『え、居る』、『え、居ない』こんな感じ。

今年は辰の置物が旅立って、数ヶ月経ちました。

色々あったので、少し寂しいです。


そんな事を考えながら、ふと机の上を見ていたら、巳年の置物がいました。

そういや御籤と一緒に貰ったな。と。


あれも実は御籤と一緒に着いてきたものなのか、私には分かりません。

でも居なくなったと思った物が、『自分の机』という完全に守られた場所に鎮座しているのは、嬉しい事だと思います。

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