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みんなの質問コーナー!

(休憩を終え、対談者たちがスタジオの席に戻っている。先ほどの和やかな雰囲気とは少し変わり、再び議論の場の緊張感が漂う。あすかが中央の司会者席から、にこやかに語りかける。)


あすか:「さて、皆様、サロンでのひとときはリフレッシュしていただけましたでしょうか?(対談者たちの頷きを確認し)よろしゅうございます。白熱した議論の後ですが、まだまだ皆様にお聞きしたいことが尽きません!」


あすか:「ここからは、『みんなの質問コーナー』!これまでの熱い議論の中で、わたくし自身も、そして時空を超えてこの対話を見守る『声』(視聴者)も、『もっと詳しく聞きたい!』『あの言葉の真意は?』と感じた点がたくさんありました。このコーナーでは、そうした疑問をいくつかピックアップし、皆様の哲学や思想の核心に、もう少しだけ迫ってみたいと思います。よろしいでしょうか?」


(対談者たちは、それぞれ興味深そうな表情で頷く)


あすか:「では、早速まいりましょう。最初の質問は…やはりこの方、岡本太郎さんへ!」


(スポットライトが岡本氏に当たる)


あすか:「岡本さんの代名詞とも言える『芸術は爆発だ!』というお言葉。番組の中でもそのエネルギーについて熱く語ってくださいましたが、改めてお聞きします。岡本さんにとって『爆発』とは、具体的にどういう状態、あるいはエネルギーなのでしょうか?それは、単なる『破壊』とは違うものなのですか?」


岡本太郎:「(ぐっと身を乗り出し、目を輝かせて)いい質問だね、お嬢ちゃん!『爆発』ってのはな、破壊とは違う!いや、破壊でもあるが、それだけじゃねえ!それは、古い殻を、常識ってやつを、予定調和ってやつを、内側からぶち破るエネルギーだ!抑えつけられたマグマが、ドカンと噴き出すような、根源的な生命の衝動そのものなんだよ!」


岡本太郎:「(拳を握りしめ)計算とか、計画とか、そんなケチなもんじゃねえ!喜びも、悲しみも、怒りも、矛盾も、汚いもんも綺麗なもんも、全部ひっくるめて、自分の中にあるものを、恐れずに、ありのままに、ドカンと出す!それが爆発だ!だから、それは新しいものを生み出す、とてつもない『創造』のエネルギーでもあるんだ!破壊と創造は、表裏一体なんだよ!」


あすか:「破壊と創造は表裏一体…既成概念を打ち破る、生命の衝動…。ありがとうございます、岡本さんのエネルギーが伝わってきます!では、続いては丹下先生にお伺いします。」


(スポットライトが丹下氏に当たる)


あすか:「先生は、生涯を通じて『未来都市』を構想し、数々の素晴らしい建築物を残されました。1970年の万博でも、そのヴィジョンを示されましたが、技術がこれほど進歩した『現代』において、先生が考える理想の都市に、最も必要なものは何だとお考えですか?半世紀前とは、やはり答えは変わってきますでしょうか?」


丹下健三:「(静かに考え、そしてゆっくりと語り始める)…必要なものは、より複合的になった、と言えるでしょうな。技術の進歩は、確かに都市に新たな可能性をもたらしました。情報通信技術は距離を縮め、環境技術は持続可能性を高める道を示しています。しかし、技術だけでは理想の都市は実現しません。」


丹下健三:「現代において、私がより重要だと考えるのは、まず『ヒューマンスケール』です。都市がどれだけ巨大化し、技術が高度化しても、そこで生活するのは生身の人間です。人々が歩いて楽しい街、安心して子育てができる環境、気軽に集える広場…そうした、人間の身体感覚に根差した空間の豊かさが、ますます重要になっています。」


丹下健三:「そして、『コミュニティ』の再生。技術は人々を繋ぐこともできますが、逆に孤立させる側面もある。顔の見える関係、地域での支え合い、多様な人々が共存できる社会的な仕組みを、都市空間のデザインによってどうサポートしていくか。これも大きな課題です。」


丹下健三:「最後に、やはり『自然との共生』です。1970年当時はまだ意識が薄かったかもしれませんが、気候変動などの地球規模の課題に直面する現代において、都市がいかに自然環境と調和し、持続可能な存在となりうるか。これは、未来都市の絶対的な条件と言えるでしょう。技術は、そのための有効な手段となりえますが、目的そのものではありません。」


あすか:「ヒューマンスケール、コミュニティ、自然との共生…技術の進歩を踏まえつつも、より人間的で普遍的な価値が重要になっている、ということですね。ありがとうございます。さて、お次は太閤はん、豊臣秀吉公にお聞きします!」


(スポットライトが秀吉公に当たる)


あすか:「太閤はんは、先ほど『民衆の熱狂』を巧みに利用された、人心掌握の達人であったとお見受けしました。その『熱狂』を意図的に生み出すための秘訣のようなものは、あったのでしょうか?また、それほどまでに人々を熱狂させることの『危険性』については、どのようにお考えでしたか?」


豊臣秀吉:「(扇子で口元を隠し、愉快そうに)ふふ、秘訣とな?まあ、いくつかあるわな。一つは、度肝を抜くような『見世物』を用意することよ。黄金の茶室しかり、醍醐の花見しかり。常識外れの、豪華で、派手なものを見せつければ、民は驚き、喜び、わしを『ただ者ではない』と思う。」


豊臣秀吉:「もう一つは、『夢』を見せることじゃ。『わしに従えば、良い暮らしができる』『この日の本はもっと豊かになる』、そう信じさせることよ。そのためには、わし自身が誰よりも強い意志と自信を持たねばならん。そして、実際に少しずつでも『飴』を与えることじゃな。まあ、時には『鞭』も必要じゃが。」(ニヤリと笑う)


豊臣秀吉:「して、危険性とな?(少し真顔になり)無論、承知しておったわ。熱狂した民は、時に恐ろしい力を発揮する。一揆のように、為政者に牙を剥くこともある。あるいは、熱狂が行き過ぎて、国を滅ぼす原因にもなるやもしれん(自身の朝鮮出兵を少し省みるような表情)。だがな、小娘。世を動かすには、それくらいの危うい力を使わねば、でっかいことは成し遂げられんのよ。火を使うようなものじゃ。上手く扱えば文明の利器となるが、一歩間違えば全てを焼き尽くす。その見極めこそが、上に立つ者の腕の見せ所よ。」


あすか:「熱狂は、火のようなもの…扱うには覚悟と腕がいる、と。背筋が伸びる思いです。ありがとうございました。では、最後の質問は、レオナルド先生へ。」


(スポットライトがレオナルド氏に当たる)


あすか:「先生は、技術に伴う『責任』や『倫理』の重要性を繰り返し説かれました。現代では、AI、人工知能が目覚ましい進化を遂げ、私たちの生活や社会を大きく変えようとしています。先生からご覧になって、私たち人間が、AIのような高度な技術とこれから共存していく上で、最も大切にすべき心構えとは、何だと思われますか?」


レオナルド・ダ・ヴィンチ:「(深い興味と、わずかな憂いを込めた表情で)AI…人工の知性ですか。私が生きた時代には想像もつかない技術ですな。まさに、人類が生み出した、新たな『生命』とも言えるのかもしれない。」


レオナルド・ダ・ヴィンチ:「そのような高度な技術と共存する上で、最も大切な心構えは、まず『学び続ける謙虚さ』でしょう。AIについて、その仕組み、可能性、そして限界を、我々人間は常に学び続けなければなりません。知らぬままに恐れたり、逆に盲信したりするのは、最も危険なことです。」


レオナルド・ダ・ヴィンチ:「次に、『目的を問い続ける知性』です。我々は何のためにAIを使うのか?効率化のためか、創造性のためか、あるいは支配のためか?AIは強力な道具ですが、あくまで道具です。その道具を、どのような『善き目的』のために使うのかを、人間が常に考え、議論し続けなければなりません。」


レオナルド・ダ・ヴィンチ:「そして最後に、そして最も重要なのは、『人間らしさの探求』ではないでしょうか。AIが人間のできることの多くを代替できるようになった時、では『人間であること』の本質とは何なのか?感情、共感、創造性、倫理観、美意識…AIにはない、あるいはAIとは異なる形で持つ、これらの人間特有の価値を、我々はより深く見つめ直し、育んでいく必要があるでしょう。技術が進歩すればするほど、私たちは『人間とは何か』という問いに、立ち返らざるを得なくなるのです。」


あすか:「学び続ける謙虚さ、目的を問い続ける知性、そして人間らしさの探求…AIという最先端技術を前に、我々自身の在り方が問われているのですね。深い洞察、誠にありがとうございます。」


あすか:「(対談者全員を見渡し)皆様、核心に触れるような質問にも、真摯に、そして個性豊かにお答えいただき、ありがとうございました。短い時間ではありましたが、皆様の思想の深淵に、さらに一歩近づけたような気がいたします。哲学的な問いは、時に難しく、すぐに答えが出るものではありません。しかし、こうして異なる視点から光を当て、考え続けること自体に、大きな価値があるのかもしれませんね。」


(あすかは、充実した表情で頷き、エンディングへの流れを作る。)

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