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オープニング

(軽快で少し不思議な雰囲気のオープニングテーマ曲が流れる。タイトルロゴがきらめき、ゆっくりとスタジオの全景が映し出される。コの字型に配置されたテーブルには、まだ少し戸惑いや好奇心の入り混じった表情の岡本太郎、丹下健三、豊臣秀吉、レオナルド・ダ・ヴィンチの姿。やがてテーマ曲がフェードアウトし、スポットライトが中央の司会者席に立つ女性、あすかに当たる)


あすか:「(にっこりと微笑み、カメラに向かって)皆さん、こんばんは!時空を超えた言論コロッセウムへ、ようこそおいでくださいました。『歴史バトルロワイヤル』、今宵も皆様を不思議な旅へとお連れする案内人、わたくし、あすかが務めさせていただきます。(一礼)」


あすか:「ここは、様々な時代の記憶が交差する特別な場所。今宵も、歴史にその名を刻む偉大なる魂たちが、ある『お題』について語り合うため、わたくしの、えー…ちょっとした『お願い』を聞き入れて、このスタジオに集結してくださいました。(対談者たちに優雅に手を差し伸べる)」


あすか:「さあ、時空を超えしゲストの皆様、まずはこの不思議な状況、少しは慣れましたでしょうか?」(対談者たちを見回す)


岡本太郎:「(腕を組み、ふてぶてしい表情で)けっ、なんだってんだ。こんな場所に呼びつけやがって。まあいい、退屈はしなさそうだ。」


丹下健三:「(冷静に周囲を見渡し、あすかに向かって)…驚きましたな。しかし、この空間の設計思想、なかなか興味深い。」


豊臣秀吉:「(鷹揚に頷き、金色の扇子をちらつかせながら)ふむ。奇妙な術を使う娘じゃ。だが、わしを呼び出すとは、見る目があるわい。(隣のレオナルドをちらりと見る)異国の者までおるとはな。」


レオナルド・ダ・ヴィンチ:「(静かな好奇心に満ちた目でスタジオの機材などを観察しつつ)実に不可思議な体験です。しかし、異なる時代の知性が一堂に会する…これ以上の刺激はありませんな、太閤殿下。」


あすか:「(微笑みながら)ふふ、皆様、さすがの順応力でございます。さあ、能書きはこれくらいにして、今宵の『お題』、発表いたしましょう!今宵、皆様に熱く語り合っていただくテーマは…こちら!」


(スタジオの大型モニターに「大阪万博」の文字と、1970年の太陽の塔、2025年のイメージCGなどが映し出される)


あすか:「『大阪万博』!日本という国の、大阪という都市で、過去に開催され、そして、まさに『今』(2025年4月現在)、再び開催されている、巨大な『未来への祝祭』でございます!」


(モニターには1970年万博の熱狂を伝えるモノクロ映像、カラフルなパビリオン、人々の笑顔が流れる)


あすか:「1970年、『人類の進歩と調和』を掲げ、世界中から6400万人以上が訪れた熱狂の祭典、EXPO'70!」


(岡本氏、丹下氏がわずかに表情を変える。懐かしさか、あるいは別の感情か)


岡本太郎:「(舌打ちするように)進歩と調和、だと?ちゃんちゃらおかしいね!」


丹下健三:「(静かに目を細め)…あのエネルギーは、確かに凄まじかった。」


(続いて、2025年大阪・関西万博の全貌、大屋根リング、各国のパビリオンなどのイメージ映像が流れる)


あすか:「そして半世紀以上の時を経て、今、再び大阪の地で、『いのち輝く未来社会のデザイン』をテーマに、新たな万博が始まろうとしています!」


秀吉:「ほう、『いのち』とな?抽象的なことを言うものよのう。して、その祭りで日の本は、世界に何を見せようというのじゃ?」


レオナルド:「(興味深そうに映像に見入り)未来社会を『デザイン』する…大胆な試みですな。技術だけでなく、哲学的な問いも含まれているように見受けられる。」


あすか:「さあ、この壮大なテーマ『大阪万博』を語り合うにふさわしい、時空を超えたゲストをご紹介いたしましょう!」


(スポットライトが岡本太郎に当たる。背景モニターには太陽の塔の映像)


あすか:「まずはこの方!1970年大阪万博のシンボル、『太陽の塔』を生み出し、『芸術は爆発だ!』の言葉と共に、日本中に衝撃を与えた情熱の芸術家!岡本太郎さんです!」


岡本太郎:「(ふんぞり返り、他のメンバーを睥睨するように)紹介はいい!それより、そこの(丹下を指し)カタブツ先生や、(秀吉を指し)昔の権力者、(レオナルドを指し)物知りジイさんと、どんな話になるかの方が楽しみだね!」


(スポットライトが丹下健三に。背景にはお祭り広場の大屋根や代々木体育館など、氏の代表作)


あすか:「続きまして、その岡本さんと共に、いえ、ある時は火花を散らしながらも、70年万博の会場全体をデザインされた世界的建築家。広島から東京、そして世界へと、未来の都市像を描き続けた知性、丹下健三さん!」


丹下健三:「(冷静に一礼)ご紹介痛み入ります。岡本さんのエネルギーには圧倒されましたが、万博は個人の表現を超えた、都市と社会への問いかけでもありますからな。(静かに岡本を見る)」


(スポットライトが豊臣秀吉に。背景には勇壮な大坂城の復元CG)


あすか:「そして時代はぐっと遡り、戦国乱世!農民から身を起こし、知恵と度胸で天下をその手に!この大阪の地に壮麗な城を築き、『太閤はん』と親しまれた、稀代の英雄!豊臣秀吉公!」


豊臣秀吉:「(満足げに頷き、扇子でパチリと音を立てる)うむ!わしを知らぬ者は、この日の本にはおるまい!大坂の地でわしの知らぬ祭りがあったとは聞き捨てならぬが、まあ良い、このわしが品定めしてやろうぞ!」


(スポットライトがレオナルド・ダ・ヴィンチに。背景にはウィトルウィウス的人体図やモナ・リザ、発明品のスケッチなど)


あすか:「最後は、イタリア・ルネサンスの輝ける星!絵画、彫刻、建築、音楽、科学、発明…森羅万象を探求し、人類の知の可能性を体現した『万能人』!レオナルド・ダ・ヴィンチさんです!」


レオナルド・ダ・ヴィンチ:「(穏やかな笑みを浮かべ、丁寧にお辞儀)ご紹介、感謝いたします。遠い未来の、さらに東方の国での出来事…私の知らない『驚異』が、まだこの世界には満ちているようですな。皆様との対話、楽しみにしております。」


あすか:「(拍手しながら)いやはや、まさに時空を超えたオールスター!このメンバーが一堂に会するなんて、あすか、役得でございます!さて皆様、ご紹介はこのくらいにして…早速ですが、改めてお聞きします。『大阪万博』というテーマ、率直にどう思われますか?まずは岡本さん、いかがでしょう?」


岡本太郎:「(即座に)くだらんね!…と言いたいところだが、(ニヤリと笑い)まあ、あのバカでかいエネルギーの塊、無視はできん。人間どもの欲望や夢や、ドロドロしたもんが渦巻いてたからな。綺麗事だけじゃ、つまらんのだよ!」


あすか:「(苦笑しつつ)ありがとうございます、岡本さんらしいお言葉!では、丹下先生は?」


丹下健三:「(落ち着いた口調で)万国博覧会は、単なるお祭りではありません。その時代の技術、思想、そして未来への意志が集約される、いわば『未来都市のショーケース』であり、壮大な社会実験の場です。1970年は、日本が世界に示すべきビジョンがあった。」


あすか:「なるほど…では、秀吉公はいかがでしょう?」


豊臣秀吉:「(腕を組み、威厳を込めて)ふむ。わしの大坂城も、聚楽第も、醍醐の花見も、いわば『万博』のようなものよ。日の本の力、わしの権威を世に知らしめ、民を熱狂させる…そういう仕掛けは嫌いではない。して、その『万博』とやらは、銭は儲かるのか?民は腹いっぱいになるのか?そこが肝心じゃ。」


あすか:「(なるほど、と頷き)さすが太閤はん、現実的な視点!では最後に、レオナルド先生は?」


レオナルド・ダ・ヴィンチ:「(思索にふけるように)人間の『進歩』とは何か、『調和』とは何か…そして『いのち』とは。その問い自体が、実に興味深い。技術や芸術が、いかにして人間の真の幸福に貢献できるのか。あるいは、かえって人間を惑わせるのか…この機会に、皆様と考えを深めてみたいものですな。」


あすか:「(目を輝かせ)ありがとうございます!いやあ、もうすでに火花が散っております!芸術、建築、政治、そして万能の知性…それぞれの視点から語られる『大阪万博』。これは、とんでもない議論になりそうです!」


あすか:「さあ、ここからはいよいよ本題!まずは、あの熱狂の中心、1970年の大阪万博から、時空を超えた検証を始めてまいりましょう!」


(あすかが進行表に目を落とし、最初のラウンドへ入る準備をする。対談者たちは、それぞれの思いを胸に、議論の開始を待っている。)

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