第十六話 寮生活
リーン・セルフォード、Sランク冒険者、氷花ミレア・セルフォードの娘。
長くきれいな長髪が特徴的で、周りからは上品でおしとやかなクールキャラとして認識されているそうだ。
入学式でも罵られたいなんて言ってるやつもいたし、そういわれてるキャラは漫画やアニメじゃ大体、美人なクールキャラだし間違いないのだろう。
そんな人と同室になってしまった俺は次の日、学園の授業はすぐにはなく休日だったので、リーンと寮生活の注意事項諸々を話し合いすることになった。
寮で一緒の部屋に暮らすメンバーは四人、俺にミミット、リーンとその従者だ。
俺と同様、リーンにも従者がいるようでメイベル・クーデルと言う、もちろん女性だった。
メイベルの家、クーデル家は代々セルフォード家に仕えている一族だそうで、こうしてリーンの従者として仕えているそうだ。
クソォン!こっちは年頃の男子なんだぞォン!
女三人に男一人とかマジでやばいじゃぁん!!
ということで、まずは部屋での注意事項を話すことになった。
一個目、部屋に入るときは鍵を開ける前にノックしてから入る。
女の子なのだからこれはあった方がお互い安心するな。
二個目、食事は一緒に食べる。
リーンは「騒がしい場所は嫌い」と見た目通りのことを言っていて部屋で食事をするようだが、両方従者がいるので部屋で作ってもらうということで、リーンが「一緒に食事しなさい」と言ってきた。正直驚いた。
頑張ってコミュニケーションを取ろうとしてくれてるのか?
三個目、お互いの私物を勝手に触らない。
まあ、常識なのでこれは問題ないことだ。
四個目、読書中は話しかけないこと。
リーンは読書家で本を読むことが好きだが、楽しみを邪魔されるととても不機嫌になるそうだ。前世にもそういう奴いたな。
五個目、メイベルにはリーンの許可なく触れない……いや、従者だからって他人の従者にそんなことしねえよ!ミミットに怒られるわ!
そうして、どんどん注意事項が増えていく。
―――五十個目、コップは各自のものしか使ってはいけない。
………いや多ない!覚えるだけでも苦労する、これを守れってのか?冗談じゃない!!
と心の中で切れながらも了承した。
文句なんか言ったら切られそうで怖いし。
続いて、この寮は大きい部屋に二つの小さい部屋がつながった造りになっていて、基本的にこの小部屋二つを学生たちは自分の部屋とするそうで、俺たちも部屋の振り分けに関しても軽く話し合った。
ここで小さい二つの部屋を奥が俺の部屋、手前がリーンの各部屋にすることには決めたが、俺は寮共用の水浴び場には呪いのせいで到底入れなそうなので、呪いのことは話さないが、容姿のせいでということでリーンに話し、俺の部屋にお風呂を作っていいか一応許可をもらうことにした。
「リーン、俺は寮共用の浴場に入るのはちょっと難しそうだから、俺の部屋にお風呂を作るんだけどいいかな?」
「……勝手にすれば?自分の部屋なんだから許可を求めなくていいわよ」
「あはは、一応ね」
一通り話しておきたいことは終わった。
リーンもこれ以上問題なさそうだ。
寮の生活のことで話し合いが一段落ついた。
話し合いも終わったので、お風呂もあらかじめ家のものとは別に作っていたものを用意していたので、部屋に組み立てる。
組み立てが終わり部屋を出ると、ミミットとメイベルはいつの間にか外に出かけたらしく、二人でいるのも虫の居所が悪く感じたので、気分転換に外に出ることにした。
「じゃあ俺ランニングしてくるから」
――――――――――――
(リーンview)
ライダール君はランニングしてくるといって家を出て行ってしまったので、部屋には私一人になってしまった。
メイベルもミミットさんと一緒に買い出しに行っちゃったし、何しよう?
とりあえず時間をつぶすために、いつも通り読書をして時間をつぶそうと思ったが、途端に同居人の彼がお風呂を作るなんて言っていたことを思い出してしまい、少し気になってしまった。
そして彼の部屋の前に自然と歩いていき、いつの間にか私はドアの前に立っていた。
「あんな奴が作ったお風呂なんて大きいたらいに水入れた程度でしょ、たかが知れてるわ」
などと言いながらも、気になったのでドアに手をかけ早速中を確かめてみる。
「見るだけなら問題ないわよね?」
そう自分に言い聞かせ、覗いてみると。
「な……なにこれ」
そこには王宮でもお目にかかれなさそうなお風呂がそこにはあった。といっても噂で聞いた見た目と比較してみるとという話ではあるけど。
高級感あふれるデザインだが決して派手でない。
暖色系を基調としたデザインで、温かみを感じれる空間になっている。
さらに筒のようなところから常時お湯が出続けており、今からでもつかることができそうであった。
「……ゴクリ」
今までお風呂は娯楽品だったため、王族以外はそもそもお風呂などという概念自体無く、持っていないのは当然だ。そもそもお風呂というものが噂でしか聞いたことない、それに女性に囲まれて裸で戯れるためとか、なんて目的のために作ってるのよ。
そう考えながらも自然と衣服に手をかける。
するするとあっという間に裸になってしまった。
そして、お風呂を目の前にし相対する。
しばらく周りの様子を確認しながら安全を確保できたので、浸かってみることにした。
「こ、これは湯加減を確かめてあげるため」
そう自分に言い聞かせ、私はとうとうゆっくりつかった。
本来見るだけのはずだが、視覚と触覚から得られる情報から体が言うことを聞かず、もう欲望を抑えきることなど不可能だった。
「はわわわわわああぁぁ~~~ん!!」
気持ち良すぎてとろけてしまいしょ~~!
あまりの気持ちよさに私の全身が自然と脱力する。
肌を優しく包み込んでくれる。
これがあの噂のお風呂なの?
王族と彼は、この気持ちよさを独占しようとしていたなんて……許せない。
不満に思いながらもあまりの気持ちよさにつかり続けるリーン。
脚をのばしてお湯の上をパシャパシャとする。
すると―――
「一風呂つかるか……あん?」
「キ……」
「キャァァ―――!」
「なんであんたが叫ぶのよ!」
ドアを開けて入ってきたのは、サキラだった。
リーンの裸を見てしまい、思わず叫んでしまったサキラ。
み、見られた!あいつに私の裸を見られた!
「あ、ごめんそっちが叫びたかった?」
「そうゆう問題じゃない!早く出てって!!」
そう言うとすぐに部屋を後にするサキラ。
最悪、男の子に初めて裸を見られた。
これじゃあお嫁にいけない~!
…………いやお嫁に行く予定なんてないでしょ私!?
柄にもなく今までにないレベルで焦ってしまっていた。
魔物との戦いで死にかけた時でさえ、こんなに焦ったときはない。
とにかく私は先程までの服にすぐに着替えることに。
あまりの焦りに手が震えてうまく着れなかったが、なんとか服を着終わったので浴室を出た。
「さ、さっきはごめん不用心だった」
彼が私に謝ってきたが、今はそんなことなど耳に入ってこなかった。
そして混乱してしまった私は訳も分からず、彼に意味不明なことを言葉にしてしまった。
「―――へい」
「えっ?なんて」
「不公平よ!あなたの裸も見せなさい」
そう言って私は彼のズボンに手をかけた。
「ちょまった、落ち着けって!」
「ダメよ!私の気が収まらないわ!!」
彼のズボンを引っ張りながらもみ合っていると。
「ご主人様」
「え、ミミット!」
部屋の外から声が聞こえたので、彼は思わず声のするほうに顔を向けた……今だ!
「えいっ!」
私の声と同時にズボンがひん剝かれる。
彼の下半身があらわになった。
そこには反り立つ大きな棒があった。
えっ?男の子のあそこってこんなにおっきいの?
私の手より全然大きい。
思わず私は彼のあそこに手を伸ばす。
「えっ!ちょ、あふぅん~」
サキラが手で隠すより先にリーンがあそこを触れた。
なにこれ?ごつごつしてて、硬くて、脈打ってる?
なんだか可愛いかも?
「返事してくださいご主人さ……ま!」
そうしていると部屋の扉からミミットが現れた。
その様子を見て驚いたミミットの顔はポカンとしていた。
「いやこれは!その!!」
どうしようと慌てふためくサキラ。
思考停止していたミミットはとにかく何とかしなければいけないと思い、取った行動は―――
「なぁ~にしてるんですか!」
ミミットのしっぽが逆立つ。
物凄い興奮状態で勢い良く突進をしてきた。
ミミットがサキラを突き飛ばす……と思いきや、当然体格差があるので全く動かなかったので。
「だめー!」
そう言ってサキラのあそこを思いっきり殴った。
「ごはぁっ!」
膝をつき悶絶するサキラ。
その様子を見て、興奮していた私は正気に戻り、その様子を見て手の震えがおさまらなかった。
「わ、私何やってんだろう」
顔が一瞬で青ざめ勢い良く立ち上がる。
「あ……あ、あ、あぁ~あー!バカー!」
慌ててどうしようもなくなった私は足を振り上げ、膝の固い部分がまたしても彼のあそこにヒットさせてしまった。
「それは理不じ、ん~!」
そのまま泡を吹きノックダウンした彼をよそ目に、猛ダッシュで部屋の扉へ向かう―――すると。
目の前にメイベルが立っていた。
そっか、ミミットさんがメイベルと買い出しに行ったんだから、いて当然よね。
「リーンさま、どうかなさいましたか?」
私の姿を見たメイベルが私のもとに寄って聞いてきた。
「えっと、その……」
「……では、とりあえず部屋に戻りましょうか、話はそこで聞きますから」
「……分かったわ」
――――――――――――
(主人公view)
「というわけでございまして」
俺とリーンがミミットとメイベルに今までの経緯を話したところ
「ご主人様、ノックしなかったんですね。ちゃんと確認しないとだめじゃないですか!そして簡単に受け流されないでください、この変態!」
「リーン様、おこがましいのは承知で率直に申し上げますが、何やってるんですか?サキラさんに失礼ですよ!」
ガミガミとしばらく説教は続いた。
本当に今日は大変な目に遭った。
――――――――――――
次の日学園に行く身支度をしていると、リーンがずかずかと近寄ってきた。
「良い?昨日のことは忘れなさい!」
そういいながら壁まで詰め寄ってきて至近距離まで迫ってきた。
ち、近い!膝が股間に当たりそう!
昨日のことをつい思い出してしまい、俺は興奮して股間を膨らませてしまった。
その様子を見てしまったリーン。
「何……もう思い出してんのよ!」
「ガハッ!」
またしてもリーンの膝蹴りを股間に食らってしまった。
痛すぎるぅ~!
―――だがなぜか興奮が収まらない。
ヤバい、これは新たな性癖に目覚めてしまったのかもしれない!