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四之二

「……小春ちゃん。あのね……」


 朝の片づけを手伝っていると、輝夜が気まずそうに小春に声をかけた。

 小春は食器をシンクに置きながら、目を輝夜に向ける。


「……骨董屋の仕事は、続けられそう?」


「はい。楽しいです! 色々なこと、知れることが嬉しくって……」


 小春の綻んだ顔を見て、輝夜は目尻を和らげた。

 そうなの――と言って、大きく頷く。


「それなら正式に、小春ちゃんを助手に任命するわ! お給料もちゃんと出しちゃう。ブラックなんて流行りじゃないしね!」


「お、お賃金……!?」


「そうよー。好きなお洋服とかコスメとか、たくさん買ってほしいわー!」


「……その時は、輝夜さんも一緒についてきてくれる……?」


「勿論よ!!」


 小春はジャンプしながら喜んだ。

 さあ今日も、店を開ける準備をしよう。

 小春は小走りに店へ駆けていく。その後ろを、兄がゆっくりとついてくる。

 埃を叩く小春に小さく微笑んで、兄も手伝うと言っているようだ。

 明るい店先の声に、輝夜も微笑んでいる。

 オレンジ色の光が燈る屋敷に、訪れるのは――鴉の羽音。


 ちりん、と鈴が鳴る。客がくるぞ、という合図だ。

 ちりんちりん、と鈴が鳴る。客が来たぞ、という合図だ。

 小春は扉が開く前に顔を上げ、その音と共に大きく声を出す。


「いらっしゃいませ! ようこそ、骨董屋へ!」




「おう。葵か輝夜は? どちらでもいい。どっちかと話がしてえ」


「あ……」


 琥珀は何かを言い掛けたが、すぐに目を逸らした。

 現れた仏頂面の青年は、コートのポケットに両手を突っ込んだまま、ズカズカと入り込み小春を見ろしている。


「はい。輝夜さんでしたらあちらの部屋に――」


「おう。輝夜! 輝夜!!」


「うっるさいわね……。何よ!」


 眉間にしわを刻んだ輝夜が小上がり奥の部屋から出て来た。


「最近街が騒がしいんだよ、てか妖どもがうるせえ。説明しろ、あと茶。さみぃ」


「うるさ……図々しい! 小春ちゃんごめんなさい、あたし、このうるさ鳥の相手するから、しばらく一人で店番してくれる?」


「お兄ちゃんもおるで!」


「わかりました! お茶、お持ちしますか?」


「大丈夫よ~。それじゃあ、一人で寂しいだろうけど、よろしくね!」


「お兄ちゃんもおるでって!!」


「は~い」


 小春は輝夜に手を振って、わざとらしくふてくされている兄に笑みをこぼした。さて、店に並べられているこの骨董品たちの手入れでもしよう、と布巾を取ると、再び店の鈴が鳴る。


「いらっしゃいませ」


 振り返ると、そこに立っていたのは二人の少女達だった。制服と身長からして、高校生だろうか。もこもこに着込んだ二人が、小春を見て驚いた顔をする。


「……ようこそ、骨董屋へ! 何かお探しですか?」


 小春は笑みを浮かべて、二人に近づいた。二人は互いに顔を見合わせ、しっかりとした目つきをした片方が頷いた。


「あの、ここにあるって聞いたんです」


「……何を……?」


「おばあちゃんが、昔預けたっていう、玉。――死んだ人が生き返るって言う玉が、ここにあるって!!」


「なんやその話」


 琥珀が割り入って来た。黙り続けるもう一人が、たじろいでいる。


「母を生き返らせたいんです!! この手紙、読んでください!!」


 小春は半ば押し付けられた手紙を開くと、そこには綺麗な字で書かれた痛んだ和紙があった。


『骨董屋へ、よみがえりの珠を預けることにしました。やはり、人の世に置いておくのはいけないかと……。死した者は死ぬさだめ、それを私たちであやつるのは……。でも、万が一のために、この手紙を残しておこうと思います』


「今日、返してもらいたいんです。明日になったら、母は火葬に……!! お願いします、返してください! お願いします……!!」


「お気の毒に。でもな、亡くなったんなら、成仏させるんが世の定めちゃうん?」


「母は殺されたんです!! だって入院してたのに、そんな急に死ぬわけないじゃないですか!!」


「病気ならそないなこと――」


「病気じゃないんです!! 弟を産もうとして、入院してたんです!!」


「母は」


 今まで怯えたように口を閉ざしていたもう一人が、固い声ではっきりと口を開いた。


「母は、窓辺で、倒れていました。まるで外の何かを見ようとして……見て……死んだように……」


 小春は言葉に詰まった。


「祖母が預けた玉を、引き取りに来ました。ただ、それだけと思ってください。ただそれだけなんです。本当に」


「……わかりました。葵……店長を呼んでくるので、少々お待ちください」


 小春は開きっぱなしだった扉を閉めて、店の奥へ引き返した。

 急いで葵がいるであろう居間の襖を開くと、葵が顔を上げる。


「……小春?」


「あの、店まで出てもらえますか?」


「何かあったか」


「……よみがえりの玉を、返してほしいって……」


「……ああ。わかった。行こう」

サンホラのライブ最高でした~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。

しかも土曜日完売したんですって!! 嬉しいですね。もし見て下さる方に土曜日行かれた方いるなら、肩を組んで大合唱ワハハでございます。ありがとうございました!! この世の全てに感謝。

今年もすでに年末ですが、まったく実感がありません。

私はというと、先週のFGO合同誌頒布が終わってひと段落感はあるんですけど、……う~ん季節感。

まあ、急に寒くなるんでしょうけど。皆さま、お身体に気を付けて!

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