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二之六

忘却バッテリー、おもしろすぎか?

「はいは~い、ちゃおちゃお! こんな夜中にうるさくて敵わんわぁ~と思って、様子を見に来たんやけど……何してんの?」


 街灯の灯に靴を、その後に足を、そして顔を見せた時、輝夜は胸を撫で下ろした。

 男だ――、害は無さそうな。


挿絵(By みてみん)


「あら、ごめんなさい。昔の知り合いに会ったものですから、ついテンションが上がっちゃって……」


 輝夜は小春の腕を取った。すぐに退散しようという心づもりだ。

 だが、触れてからすぐに離してしまう。

 

「……輝夜、さん?」


「あ、あれ……?」


 おかしい。小春の手が異常なほど熱い。いや違う、あたしの手が熱い? 頬に手を当てて、胸に手を置いて、やっぱりあたし、動悸がする。なぜ? 小春ちゃんを見たら、景色が滲む、なにが、いったい、何が。


「……小春」


「……はい?」


 男が、小春の名を呼んだ。ふらつく輝夜が、理由もなくこの状況を危険視する。コンクリートの壁に手を付いて、乱れた息を押さえたい。


「こは、る、ちゃ、ん」


「小春、こんなとこで、何してるん?」


「……ええと、人助け……をちょっと!」


「へえ、偉いわぁ。でもあかんやろ。そんな――無防備で」


 どさり、と人が落ちる音。小春が後ろを見やると、輝夜が苦しそうに地面に倒れている。


「え、輝夜さ――」


「触れるな、小春」


 もう一人の男の声――、この声は。


「あ、おい……」


 そこを最後に、輝夜の意識は真っ逆さまに闇に落ちた。

 この衣擦れの音は、駆け寄ろうとした小春を誰かが制止したのだろう。

 葵ならいいけれど、あの、変な男が、触ってたら、ムカつくわね――――。


「屋敷に戻る。……門を開けろ」


「もしかせんくても、自分に言うてます? いやん、酷いわぁ~なぁ~小春ちゃん……!」


「うぎょ。あ、葵さんは良い人です!」


「え"。嫌やわ。俺が目ぇ離しとる内に、かどわかされた……!? あ"~~! 酷い! 骨董屋さんってば、何でもかんでも俺の宝物に手ぇ付ける、この、いけず!」


 男はおよよ、とふざけたように涙を拭う動作をすれば、小春に無遠慮に抱き着いた。右頬を潰された小春は思わず潰れた声を出したが、それを払う仕草は無い。

 輝夜を抱えた葵は一瞥もせず、ただ静かな声で「――開けろ」と再度声を落とした。


「あの、お兄ちゃん」


「んー? 俺のこと、覚えとる?」


「よく、遊んでくれてましたよね? 覚えてるよ! だから、……その、開けてくれますか?」


「ええ~~~~!!!! 嬉ぴっぴあけま~~~~す! 骨董屋のお兄さんお二人、ご案内どす~!」


 男は小春の手を左手で掴んで、右手に案内の旗を持つような手ぶりをして、大股で歩き出した。

 小春が心配そうに後ろを見やれば、冷えた目の葵と視線が合う。

 大丈夫ですか、と口で聞いても葵は何の反応も返さなかった。





 潜る鳥居は葵の屋敷に通じ、開けた襖は閉じられる。

 輝夜を自室に寝かせた三人は、静かな足取りで居間に向かった。

 お客用の座布団も出さず――葵は、関西弁でにこにこと喋る男に向かって、行き成り足を上げる。

 即ち、関西弁の男を壁際に追いやり、右側の逃げ道を、或いは意思を、その足と音と急襲で叩き潰したのである。

 それが男に効いているかは小春の目からはわからない。小春は音に反応して振り返り、その光景を見ただけだ。

 ただ、男は……。焦る様子も驚いた仕草も無く、ただ笑う目で、葵を見下ろしていた。


「来たのならば使ってやろう。今すぐに三善一誠を呼べ」


「葵さんがその身で行ったらどうです?」


「――見え透いた答えを強いて聞くとは。命が有り余るとボケるようだ」


「……自分としては、ようやぁく見つけた小春ちゃんと離れたくないねん。ね~小春ちゃん……」


「え、あ、あのう……」


「自分の身が、惜しくないと? 嗚呼、あるいは小春の身が、惜しくはない?」


「……あーあ! ほんっま気にくわへん! わかってます、わかってます! はいはい行ったらええんよなぁ! 超特急で連れてきま~す!」


 男はするりと葵から逃げると、小春の目の前で膝を折った。


「よしよし。ええ子で待っといてなぁ、お兄ちゃん、すぐに帰ってくるで。心配せんといてな」


「うん……」


 男は小春に触れずに、小春が無意識に伸ばした手をもすり抜けた。

 そして、この空間に二人きりになる。

 葵は着崩れた胸元を溜息と共に正すと、小春の前で膝を折った。


「……あれが戻るまで、数分、あるいは数時間。……私の傍を離れるな。たとえ、何を聞いても」


「……え? どういうことですか?」


 そうして、小春の頭に被せられたのは葵の羽織だ。葵の香りがする――と思う刹那、屋敷中の鈴が歪なリズムを伴って、一斉に鳴る。

 葵を見る。葵は小春を背後に隠すように膝立ちになると、襖の奥に彼女を誘導した。






 静かに、と当てられた唇に、小春は従うより他になく。

 ただ過ぎ去った兄に、想いを馳せる頭に思考を委ねた。

 幼い頃から、どことなくあの姿でふらりと現れた兄は――――。

 兄としか名乗らない彼は、どうしてここに来たのだろうか?

 私はどこも、傷つけられてはしないのに。



忘却バッテリー、おもしろすぎか!?!?!?!?

はやくアニメ全話見せて!!!!!!!!!!!!!!

そして聞いて! 関西弁わかんなくて泣いてたら、ネイティブに協力を取り付けられました!!

これで私の勝ちね! あーっはっはっ!!!!

……関西弁むず。ほんとむず。博多弁と交じる。ほんと、ほんとよ!

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