二之一
めっちゃ眠い人の顔みたいなタイトル
お母さんが泣いている。
私をおばあちゃん家に連れて行ってから、一度大きく泣いた。
大きな人達の前で、泣いていた。
小さい私はわからなかった。
ただ泣いて私を抱き締めてくれることが嬉しくて――笑ったら。
お母さんは唇を強く、噛み締めて……血を、私の頬に一滴、落とした。
何度でも鮮明に思い返す。
ああ、熱い――――。
目を開けると、小春は部屋の暗さに何度か瞬きをした。夢の内容を秒が過ぎ去るのと同じように隅に押し込め、時計を見る。
朝の8時――――。いつも通りの時間なのに、まるで朝4時のような部屋の明るさだ。
気になって窓の襖を開けると、なるほど、と窓ガラスに一本の線を引いた。
まだ雪がちらついている……。これから吹雪にならないといいね。
いつものように居間へ行くと、輝夜が台所から顔を出した。おはようの返答でおはようございますを返し、小春は座る。
二人手を合わせて、箸へ手を置いた。
「そうそう、これ……。先日の座敷童からの報酬よ。どうぞ」
木造りの箱が、片づけられた机の上に置かれた。小春の両手に納まるくらいの小ささで、小春がちらりと輝夜を見ると、彼は笑って頷いた。
「……手鏡?」
「のようね。よかったら使ってあげて。古いものだけど……良いものだと思うわ」
折り畳み式ではない、表が鏡で裏が飾り彫されている昔風の手鏡だ。
傾けて小春は自分の顔を見た。
ご飯を食べたからだろうか。頬に薄ら赤みがさして、血色の良さそうな様子が伺える。
「ありがとうございます。大切にします!」
そう言って小春は鏡を両手で包み、輝夜に笑顔で頷いた。
「それでね、小春ちゃん……」
「はい?」
輝夜は言いづらそうにしては柔らかい眼差しで瞳を右往左往させると、手を合わせ合って上目遣いで小春を見る。
「葵もいないし……、小春ちゃんでよければ、ちょこちょこ仕事を手伝ってほしくて……」
輝夜は机に人差し指での字を連続で書くと、恥ずかしそうに目を伏せた。
「小春ちゃん……此方と相性いいじゃない? それに、やっぱりあたし一人じゃ考え事に無理があって……話し相手がいると考え事が捗るっていうかぁ……その……あ、危ないことはさせないから! お願い!」
「全然! むしろ……嬉しいです。私、お役に立てるならなんでもします!」
こくこくと頷く小春を見て、輝夜は安心したように笑った。
その仕草を見て、小春も笑顔を綻ばせる。
外は雪がしんしんと降る寒い朝なのに、この空間だけは早すぎる日和のような、そんな暖かさがある。
しかし、鈴がなる。
輝夜の視線が向くのは、骨董屋へと続く廊下だ。
「誰か来るわね」
小春は喉を鳴らした。
「……葵がいるときは葵に任せているから感じなかったでしょうけど、結構忙しいのよね。こっちは。さあ……行くわよ!」
おー! と手を小さく突き上げて、二人は小走りでミセのほうへと向かった。
かんやにありませう、ありませう、もゆるもの。
かんやにだきて、だきて、あやしませう。
おうものや、おわれるものや、いつしかあしやこおらせむ。
ああ、まみえた。みや。みゆる。もゆる。
ああ、なきそ、なきそ、あこや――――。
みじかめ。
二章はじまりです~~~~!!
私の悪い癖で、物語書けば書くほど新キャラが生える。
困るよおおおおおおおおおお!




