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愛者永遠  作者: 桜宮朧
51/51

百合の花は永遠に 終

どうも桜宮です(*´꒳`*)


これにて『愛者永遠』は完結となります。

長らくご愛読、本当にありがとうございました(T ^ T)

ずっと書き続けた作品なので、寂しい気持ちです…


新作が出来上がるまではしばらくお待ちください。

それでは。

〈元和元年 四月一日 終〉

私は着替え髪を結った後、万葉様の部屋へ行った。お隣なのですぐ。

「失礼します。」

「あぁ」

「…おはようございます、万葉様。具合のほうは?」

「ん。だいぶ良くなったよ。」

「安心しました。…今日の朝餉はどうしますか?また粥にしますか?」

「そうしようかな。まだ…そんなには食べれんから。」

「分かりました。では、作ってきますね。」

「ありがとう、光。」

「今日も一緒に食べますね。」

「うん」

部屋から出ると、ちょうど白銀が目を覚ましのそのそと現れた。寝起きなのでまだ犬の姿だった。

「おはようございます、白銀。」

「ん…おはよう…」

「白銀の朝餉も作りますが、何がいいですか?」

「…茶漬けでいい」

「分かりました。」

私は白銀に微笑みかけ、台所へ向かった。その途中、庭にいた躑躅さんと朧さんに出会った。

「おはよ、光」

「おはようございます、躑躅さん。お怪我の具合は?」

「まだ少し痛むわ。けど、ほとんどもう大丈夫。」

「よかったです。…朧さんもおはようございます。」

「…おう」

相変わらず素っ気ないお返事だけど、躑躅さんが左肘でかなり痛そうな一撃を喰らわせ、小さく「おはよう」と返してくれた。

「光、今から台所?」

「はい。万葉様と私の朝餉を用意しようかと」

「そっか。当主様、だいぶ良くなってあたしらすごく安心した。」

「私もです。」

「手伝えることあったら言ってね。」

「はい」

朧さんに、躑躅さん。朧さんは最初より性格が柔らかくなり私も接しやすくなった。むすっとした感じはいつも通りだけど、それが安心する。躑躅さんの頼れる感じ、すごく好き。はきはきとした物言いと銃を扱うお姿がとてもかっこいい。…お二人と別れた後、縁側に腰掛けていた珠乃さんと緋色さんに声をかけられた。

「おはよーにゃん、光たん」

「おはようござりんす、光さん。今日も朝から奔走してやすね。」

「珠乃さん、緋色さん。おはようございます。今から万葉様の朝餉を準備しようかと思いまして。」

「んにゃ!魚とか焼くにゃ?」

「今のところ、どんなお粥にしようかは迷っています。」

「じゃ、じゃあ珠乃、岩魚とか採ってくるからどうにゃ?」

「珠乃〜?それ、あんたが食べたいだけじゃのうて?」

「にゃ!にゃ…にゃんのことかにゃ〜…」

珠乃さんは明らかに目を泳がしていて、緋色さんは呆れていた。このお二人の会話はいつも和む。珠乃さんは察し能力が高くて些細な変化にも気づいてくれる、けどとっても人懐こくって自然体な一面もあって素敵。緋色さんはすごく姉御肌。面倒見が良くて背が高くて羨ましい。神楽さんとはまた違った色気があってすっごく素敵。お二人と別れた後、曲がり角を進んだ先で円城寺くんいぱったり会った。

「光さん、ですか?おはようございます。」

「おはようございます、寿君。そういえばよく私だと分かりましたね。あの時も。」

「両目が見えなくなった今、足音と匂いで判断してるんです。光さんの場合だと、跳ねるように軽い音がするので」

「まぁ!」

「父からよく教わったんです、もしもの対処法を。父も盲目だったんで。」

「音だけで物事を判断するなんてすごいですね。」

「…ありがとう、ございます。…遅いかもしれませが、盲目になってから大嫌いだった父のこと…好きになれました。とても、感謝してます。」

「たとえ遅くなったとしても、好きである気持ちがあるのは素敵です。」

「…そうだね」

「私、そろそろ台所へ向かいますね。」

「はい。」

寿くん。たまに隊員さんに厳しい口調で指導しているところを見かけたけど、本当はとっても優しい人。怒ると少し怖いだけだと私は思っている。 しばらく歩いていると九鬼様と鉢合わせた。

「おはよう、光殿。」

「おはようございます、九鬼様。」

「万葉の調子はどうだ?」

「日に日に良くなっていると思います。身体的には良くなっているのですが…精神面が危ういのかなとも、感じてきてしまって…」

「…いつも、気を張っていそうな男だからな。まぁ…君が側にいれば平気だと、余は思う。」

「そうですね。」

「光殿。」

「はい?」

「万葉に伝えろ。元気にならねばその面に一発殴り込むとな。」

「わ、分かりました…。けど、お互いに痛いでしょうしそこは手合わせで良いのでは…?」

「…ふっ…やはり光殿は優しいな。」

九鬼様はそういうと頭を優しく撫で去っていった。…九鬼様と初めてお会いした時、目元の見えない猫の面をつけていて少し怖い印象があった。けど、私に過去を打ち明けてくださった時から印象がものすごく変わった。優しくて、物腰の柔らかい殿方なのだと。背中を見送り、もう一度歩いていると晴家さんと出会った。

「おう光、おはよう。また朝から元気に動き回っとーな。」

「おはようございます、小夜さん。」

「ひかり、おはよ!」

「みことさんもおはようございます。」

「こいつずっと張り付いて、昨日寝るときも一緒に寝るって聞かんでな…ばり今困りよー。」

「ふふ、好かれていますね。」

「さよ、おれてる。だから側にいなきゃめっ!」

「だそうですよ」

「っ〜…」

「それでも、無理やり剥がさない小夜さんは優しいのですね。」

「…剥がしたとて、ついてくるとは目に見えとー。もう、好きなごとさせる…」

「さよ〜」

「小夜さんは、いい…お姉さん?でいいのでしょうか。」

「断定せずに確認ばとると、光さんらしいな。うちゃ姉でよか、女として生きると決めたんやけん。」

「…小夜さんの生き方、とっても好きです。」

小夜さんは目を見開き、みるみる内に顔が赤くなった。そして小さな声で「ありがとう」と呟いた。

「みことさんも、誰かのために役に立とうとしているの偉いです。これからも誰かの支えみなってあげてくださいね。」

「うん!」

「こいつ褒めるとすぐ調子に乗るっさな…」

「いいことではないですか。誰でも褒められたら伸びるものです。」

「…そっか。やっぱ褒めることは惜しみのうやるもんなんばい。母さんも些細なことも全部褒めちぎる人やった。」

「ほめる、いいこと!」

「はい、いいことです。」

「そういや光、どこに向かう予定やったんや?」

「台所へです。万葉様と私の朝餉を用意しようかと。」

「そがんやったんか。あ、今台所に行くと姫鶴と霞…やったか?そん男と風雅さんがおるぞ。」

「朝餉の支度中ですかね。少し覗いて混み合っていたら時間おいて作ります。」

「ん」

「それではまた。みことさん、小夜さん」

…小夜さんは背が低くて愛らしいのに、その中身は誰よりも大人っぽくてかっこいい。どんな怖いことがあって物怖じせず立ち向かう姿が羨ましい。みことさんは甘え上手で可愛い。会う時間がそうそうなかったから私の知ってるみことさんはそれだけ。けど、妹を可愛がるような気分になれた。ほんの少し、幸せだった。…台所に着くと、小夜さんの言うとおり霞さんと姫鶴さんと風雅さんがいた。そのうちの霞さんが最初に私に気づいた。と言うのも、霞さんは入り口付近で立っていたから。

「あ、おはようございます。光さん。」

「おはようございます、霞さん。今、台所は忙しそうですね…。」

「もうすぐ朝餉の時間だからね。光さんは何か台所に用事が?」

「私も万葉様のお粥を用意しようと思いまして。」

「…ふわぁ〜光ちゃん、おはよ〜。」

霞さんとの話し声に気づいた姫鶴さんが振り返り声をかけてくれた。

「おはようございます、姫鶴さん。」

「光さんおはようございます。」

「風雅さんもおはようです。」

「光ちゃんも朝餉の用意?ちょっとだけ待っててね。後少ししたら終わるから〜。」

「も、もう少し…」

見た感じ、料理の数が少なかったので少し首を傾げた。

「あのね〜今、天禰くんと神楽ちゃん、霞様がお手伝いしてくれて、出来上がったものを広ーい間に持っていってくれてるんだ〜。」

「でしたら、私もお手伝いします。退魔屋敷の方がもいらして大所帯なので大変でしょう。」

「ふわわ!いいの?ありがとう〜。」

「お気になさらず。」

お盆に真っ白なご飯をこんもり盛ったお茶碗を乗せ、いそいそと大広間に向かった。…霞さんは気配り上手で優しい。朗らかで温かい笑みが本当に似合う人。姫鶴さんはあまり接点がないから、分からないけど…あのふわふわした感じや物腰柔らかな感じが好き。たくさんご飯を食べれるの凄いなって感じた。…ぱたぱたっと小走りしてる途中で神楽さんとすれ違った。

「あぁ、おはよう。光。」

「おはようございます、神楽さん。あと、天禰さんも」

「ん。」

「光もお手伝いありがとう、やっぱり動ける人が動いたほうが良いってなりまして。」

「あと、どのくらいで終わりますかね?」

「まだまだよ。九鬼様も動ける組だけど、なんだか動かすのに躊躇しちゃってね…。」

「私たちから見れば客人ですが、神楽さんから見たら当主様ですものね。」

「だからゆっくりと朝餉を召し上がってもらってるわ。」

「そうですか。あ、私これ運んできますね。」

「あ、呼び止めてごめんね。また後で。」

「はい。」

神楽さん。最初はとっても怖い感じがしたけど、本当はそんなことなくって誰よりも心配性で誰よりも他人思いなだけ。打ち解けあったらお母さんみたいな存在だった。天禰さんは…神楽さんが本当に大好きなんだなってことしか分からない。けど、戦い方がとても勇ましくって楽しそうだった。…広間に着き、まだご飯の届いていない方の所へ向かい渡していった。

「ありがとうございます、光殿」

「いえいえです。ご飯食べて精をつけてください。」

台所へ向かっては広間に向かうを繰り返して数刻後、やっと配り終えた。まだ怪我を追っていたり、床に伏せったまま動けない人の元には神楽さんと姫鶴さんで手分けして運ぶと言っていたので、私は万葉様の粥と自分の朝餉を用意を始めた。

「よし、確か今日のために卵をたくさん買ったと風雅さんが言ってました。…玉子粥にしましょう。」

卵は贅沢品だから、万葉様だけでいい。粥をことこと煮込んでいる間、おにぎりを作り漬物を切った。ちょうど完成したとき、万葉様の粥を味見した。

「ん。美味しい。」

「光〜」

「あ、白銀。朝餉、本当に茶漬けでいいんですか?」

「あー…うん、茶漬けでいい。」

「卵があるので、玉子粥も作れますが?」

「…じゃあ、それにする。」

「わかりました。じゃあ、今作っちゃいますね。」

「光。その土鍋、万葉のとこに持ってく?」

「お願いできますか?」

「いーよ」

私が布を用意しようと動くと、白銀はひょいと土鍋を持ち上げた。

「熱くないですか!」

「僕、妖だよ?へーき、このくらい。」

「……」

そういえば白銀って妖だったなんて思いつつ、土鍋をもう一つ用意し玉子粥をつくった。また布を用意しようとしたその時、白銀が戻ってきた。

「できた〜?」

「はい、出来ましたよ。」

「じゃあ、これは僕のだから持ってて食べちゃうね。」

「はい。」

「あ、と。万葉、光が戻るまで食べないってさ。さっさと行ってあげてね。」

「わかりました。」

小さなお盆に漬物とおにぎり二つ乗せ万葉様のところに向かった。

「あ!おっはよー光ちゃん!」

「馨ちゃん、おはようございます。」

「まだ折れてるけど…ちーっと歩きたくなってさ。」

「折れているなら安静にしてくださいな。寝ててください。」

「う〜…躑躅ちゃんばりに厳しい〜…」

「…馨ちゃんは私のお友達、心配しているんですよ。」

「ありがと、光ちゃん。…ん?」

馨ちゃんは不思議そうな表情を浮かべると、ずいっと私に顔を寄せた。

「ど、どうかしましたか?」

「…光ちゃん。なんか悩み事でもある?」

「え?」

「なんか…こう、いつもと違う気がするの。」

「……」

今日のことを考えすぎて顔に出てたかしら。私は、にこりと微笑みかけた。

「大丈夫ですよ、いつも通りです。」

「そう?それならよかった。」

馨ちゃんの笑顔はいつも太陽のようでとても好き。馨ちゃんが笑ってくれたら私まで笑顔になれる。喜怒哀楽がはっきりしていてころころ変わる表情が愛らしい。積極的な性格の彼女は私と合うのかも。

「馨ちゃん」

「ん?なーに?」

「これからも、お友達です。」

「…そんなの当たり前じゃん!どうしたの、急に。」

「言いたかったんです。」

私はそういうと馨ちゃんは照れくさそうに笑い、小さな声で「えへへ」と言った。またお話ししようと約束をして別れ、万葉様の部屋へ向かった。

「は、入ります。」

「あぁ」

「…お待たせしました…」

「なかなか来ぬから心配したぞ。」

「台所で姫鶴さんと風雅さん、霞さんに神楽さんと天禰さんが忙しくしていたので、それのお手伝いをしてました。」

「…ならば、しょうがないな。」

「あの、万葉様…」

「なんだ?」

「粥…冷めてしまいましたか?」

「いや、大丈夫だよ。白銀が狐火で温めたまま持ってきてくれたからな。」

「…本当にすみませんでした。」

「気にするな。さ、食べよう。」

私は万葉様の横に座り、同時に「いただきます」と挨拶をした。

「光、それだけで足りるか?」

「はい。私にとって、これだけでも贅沢ですから。」

「…玉子粥を作れたということは玉子があるんだろう?それで何か作ればよいのに…」

「私は、どんなお料理であっても万葉様とこうして…食べれるなら、なんでもご馳走です。なので、お気になさらず。」

「…光」

「それより万葉様、また食べさせましょうか?右手が使えないので…」

「いや大丈夫だ!な、なんとか食べれるから…」

「それなら良かったです。あ、そういえば先ほど九鬼様と出会いまして早く元気になって欲しいと。でなければ手合わせをする、と仰っていました。」

「そうか。言伝ありがとう…手合わせか…」

おにぎりを食べながら万葉様を見てみたが、なかなか苦戦してらしてもう一度聞いたけど、やはり首を横に振るだけ。

「玉子粥、なかなかに旨いな。光はやはり料理上手だな。」

「ありがとうございます、」

「…久々だな…こんな穏やかで、お前と話す時間は。」

「そう、ですね。」

「なぁ…光」

「なんでしょうか?」

「あざみを倒せば、この穏やかな時は続くのだろうか。」

「……」

「妖退治屋を畳み、何でも屋としてやっていけば…この穏やかな時間は、続くのだろうか」

私はそっと万葉様の手を握った。肉刺がぽつぽつと出来た、大きな手を。

「万葉様は本当に、ここを畳もうとお思いですか?…穏やか時間は、もちろん…続いて欲しいです、けど…玉響に流れるからこそ、大切に感じるんじゃありませんか?」

「光…」

「万葉様は皆さんに、私に、居場所をくれました。なのに、奪ってしまうのは見当違いです。」

「…そうだね。」

「万葉様」

「なんだい?」

「…逃げたかったら、逃げてもいいんです。けど、皆さんを裏切るような真似はゆめゆめしないでくださいね。」

「……」

万葉様はそっと私の頬に触れ、瞳を緩めた。

「い、言い過ぎましたか?」

「いや…違う。お前と夫婦になれば、この先も良い明日を築けそうだと思ってな。」

「……」

「…好きだ、光。お前以外と夫婦になることは、想像できない。」

私は…万葉様の手に触れそっと微笑んだ。痛みを感じるくらいに唇を噛んだ。震える声を抑えながら私も答えた。

「私も、大好きです」

万葉様。貴方が根気強く私に接してくれたから今の私がいる。当主らしい面もあるけど子供らしい面もあって大好き。私が貴方に恋情を抱いたのは、仕返しがあるかもしれないのに村の人たちに反論したとこ。その後、謝ってくれて…あぁこの人は、遊びで私に向き合っているのではなく、本心で向き合っているんだと感じた、そのまっすぐな姿勢に惚れた。…笑うのが嫌いだった、けど太陽のように笑う貴方が愛おしくて笑うようになった。泣き方が分からなかった。けど、人目も憚らず泣く貴方に安堵して泣けるようになった。嬉しい気持ちを知らなかった。けど、貴方が私が微笑んだ時、喜んでくれて心の奥が温かくなり、それが嬉しい気持ちだとを知った。貴方には…万葉様には感謝しても、しきれない。きっと、貴方の妻になることが全てのお返しかもしれない。けど、あざみを…倒し、貴方に穏やかな日々を与えることが私にとってのお返し。間違っているかもなんて、分かっている。だけど…

「…光?」

「は、はい!」

「何か考え事かい?…顔色、悪いぞ?」

「…大丈夫です、元気です。」

「それなら、安心だ。」

…だけど、貴方が幸せに生きられるのならば…私は自分を犠牲にしてもいい。貴方に平穏と幸せがこの先ずっと約束されるのであれば。

「万葉様」

「なんだい?」

「……名前、呼びたかっただけです。」

「…ふっ、そっか。」

「食器、片しますね。」

「ありがとう。」

私はお盆に食器を乗せ、万葉様の部屋から出ようと正座のまま振り返り、襖に手をかけたその時。とんっと背中に優しい衝撃があった。同時に温もりを感じた。

「…万葉様?」

「光…」

「なんでしょうか。」

「今日…夢を見たんだ。お前が離れゆく夢を…」

「……」

「正夢に…ならぬだろうな…」

そっと万葉様に腕に触れた。右側の首にあたる吐息と肩に落つる暖かさを感じ、私は何も言えなかった。

「側にいてくれ光…もう、失いたくないんだ。父も、母も、東郷爺も、獅子王も…皆、いなくなった…。」

「…万葉様…」

「何もかも半分ずつにして生きよう。お前の幸せも、寂しさも、嬉しいも、これから降りかかるであろう定めも。全部…全部…」

「…私が、妖になって…貴方を忘れてしまって牙を剥いたら討ってくれますか?」

「死も半分だ。お前が死ぬとならば儂も死ぬ時だ。」

「…私は…貴方に生きてほしいです。せっかく人間として生を受けたのですから。途中で放り投げたら…駄目ですよ。」

「……」

「かといって、貴方まで妖になったら駄目。そこは半分こしたくないです。定めだけは半分こ、駄目です。貴方の定めは貴方の、私の定めは私の。」

「…光…」

「…幸せに生きさせてくださり、大好きでいてくださり…ありがとうございました。」

私がそういうと万葉様の抱きしめる力が少しだけ強まった。

「なんだ…その言い方。まるで今日…いってしまうような…」

「……」

「いかぬよな?光。」

「…大丈夫ですよ、万葉様。私は…側にいますから。」

「……」

また…嘘を吐いてしまった。けど、貴方をこれ以上…不安にしたくないから。

「私、台所に行きますね。」

「…戻ってくるかい?」

「もちろんです。」

「ん…」

万葉様はそっと離してくれ、私は台所に行き洗い物をした。その時、ひたひたと足音が聞こえ振り返ると白銀が食器を持って立っていた。

「あ、白銀。ついでに洗ってしまうのでくださいな。」

「はい、光。…ねぇ、万葉なにかあったの?」

「え?」

「襖全開で布団に横になってんだよ。しかも泣いたのか目が充血してるしでちょっとびびった。」

「…少し、ありました。」

私は先ほどのことを白銀にぽつりぽつりと話した。

「…なんか万葉、大丈夫か?」

「当主様ですから、ずっと気を張っていたのでしょう。それが大怪我を負ったり高熱が出たりして、一気に緩み甘えたくなったと私は思います。」

「万葉も…疲れたんだな…」

「それはそうでしょう、人間なのですから。張っていたものが緩むともう一度張るのは難しいです。」

「そう、だよね。桔梗様も一度、そんなことあったから…分かるなぁ。」

「…上に立つ者ならば、どんなことにも対処しなきゃですものね。」

「大変だね、上に立つって。」

「白銀だって向こうでは上に立つ方でしょ?まるで他人事みたいに言うのね。」

「僕は上に立つ資格なんてないって思ってるから、実質下っ端だよ。」

「まぁ。」

「…光」

「なんでしょうか?」

「お腹減った。」

「玉子粥だけじゃ足りませんでしたか…。何か食べたいものありますか?」

白銀は唇をなぞり、少し悩んだ後。ぽつりと答えた。

「…稲荷寿司。」

「え?」

「食べたい。…だめ?」

「いえ…白銀、苦手って言ったいたのに…」

「…何となく、食べたい。」

「では、甘さ控えめで作りますね。」

「ん。」

白銀は犬にまた変化をし、そっと私の側にいた。僅かな春の匂いとお揚げの甘い匂いが台所満たした。まるで村にいた時のよう。

「あ、光。まだお台所にいたのね。何をしているの?」

「神楽さん。白銀が稲荷を食べたいと言ってるので、作ってます。」

「へぇ〜私も食べてもいい?出来たら。」

「はい、いいですよ。」

「ほわぁ〜甘い匂い。」

「稲荷?」

匂いにつられ皆さんがやってきた。追加でお揚げを煮込み、たくさん作った。朝餉を食べた後でも食べれるなんてすごいなと思った。

「光、やっぱり手伝うわ。」

「私も私も〜。」

「ありがとうございます。神楽さん、姫鶴さん。」

「あたしも手伝おうか?」

「助かります、躑躅さん。」

四人で詰め終わり、大広間に持っていった。

「皆さん、どうぞ。」

隊員の皆さんは我先にと持っていき、美味しそうに頬張っていた。

「美味!」

「朝餉の後でもいくらでも食える。」

穏やかにその光景を眺めていると、朧さんがぼそっと声をかけてきた。

「なぁ、もしかしなくともこれ躑躅も手伝ったか?」

「はい、手伝ってもらいましたよ?」

「やっぱりか…」

「どうかしましたか?」

「ぶきっちょな形の崩れてんのが何個もあるからよ…」

「苦戦されてました。」

「躑躅らしい。」

「文句あんなら食べないで!」

いつの間にか躑躅さんが側にいて朧さんを睨んでいた。

「文句じゃねーし、褒めてるし。」

「ぶきっちょって言ったじゃない!」

「だ!そ、それは躑躅のが見つけやすいって思ったんだよ!」

「はぁ?」

「…料理下手なままでいてくれ。」

「っ!?」

「まぁ。」

躑躅さんのお顔は真っ赤で、朧さんを突いていた。

「相変わらず仲がよろしいですね。」

「お、朧さんが意地悪言うから…」

「いじめたくなる。」

「歯、食いしばって。」

「断る。」

「んっう〜…!」

やはりこの光景が好き。賑やかで和気藹々として、日常を感じられる。と、その時。ひょっこりと馨ちゃんも現れた。

「あ!いい匂いがすると思ったら…!ずるい!私も食べたい〜。」

「食べても大丈夫ですか?」

「一個くらいならいーじゃん。いっただきまーす!」

「光」

「はい、どうしましたか?白銀。」

「万葉も連れてくるか?僕がおぶってくるから。」

「はい!そうしましょう。」

しばらくして万葉様もやってきて、大広間は人と稲荷の甘い匂いに満ちた。

「…粥も良かったが、稲荷もいいな。片手で食べれるし。」

「あ、もしかして粥よりこっちの方が良かったですよね?」

「いや。まだたくさんは食えぬ故、粥がちょうどいい。これも腹いっぱい食いたいが、一個で十分…けどな」

「…?」

「こうして皆と食事ができて儂は幸せだ。この光景を見ているだけで、腹も心も満ちてゆく。」

私は万葉様の瞳を見、皆を眺め、微笑んだ。

「誰かと、皆と、食事というのは良いものですね。万葉様の言う通り、心もお腹も満ち満ちていきます。」

「うん」

ずっと“普通”に固執していたのかもしれない。私は。本当は普通も異常も何もない。ただ誰かの目を通して物事の見方が変わるだけ。万葉様はずっとそうやって考え物事を見てきたのでしょうか。なればこんな私とも関係を持とうだなんて思わない。…ここにきて、本当に良かった。ここにきて、物事の見方や考え方が変わった。ううん、私という存在自体が変わったのかもしれない。皆さんに出会えて、本当に幸せだった。

   ◇

茜空広がる頃、白に近い着物を着て鏡の前に座り髪を梳いた。幸いに万葉様はもう一度眠ると言い、皆さんも各々のやることをしていた。座鏡の引き出しから簪と…紅を取り出した。いつの日か、町へ出掛けた時に買ったもの。馨ちゃんがとてもおすすめしてくれて、買ったもの。…髪を一本にし、簪を挿して絡め結い上げた。もちろん万葉様から初めてもらった青玉の簪。紅を引き鏡を見つめた。

「…光」

「あ…白銀。」

「……その着物で行くの?」

「えぇ。」

「まるで、これから祝言でも行われるようだね。光、すっごく美人さんだから…全身を白でまとめても綺麗だ。」

「ありがとう、白銀。」

「…あ、ちょっと青いのか。すごく薄い青。」

「えぇ、この色。とても綺麗だったので仕立ててもらいました。」

「そっか。」

「…白銀」

「何?」

…私は深呼吸をして、白銀を見つめた。万葉様よりも濃い黄色のその瞳を。

「後を、頼みましたよ。」

「……ふふ」

「ど、どこか可笑しかったですか?」

「いやぁ〜…やっぱ君も桔梗様なんだなって、思っちゃって。全部、僕に丸投げ。」

「ごめん…なさい…」

「ううん、謝ってほしいわけじゃない。寧ろ…安堵する。懐かしいっていうか、慣れてるっていうか。」

「……」

白銀はしゃがみ、そっと私を抱きしめた。さらりとした柔らかな髪をそっと撫でれば、犬の姿を思い出す。ずっとこの二人で生きていくのだろうと思ったあの頃が脳裏に巡る。

「君はずっと僕の親友だよ。君のおかげで、人間を知って大好きになれた。…また、何処かお出掛けしよう。僕の背に乗せてどこへでも。」

「……はい。」

白銀からそっと離れ、頬を優しく撫でた。

「僕、門のとこにいるね。」

「はい。」

白銀の背はとても寂しく見えた。そして、ずっと見てきた犬の姿が重なった気がした。…例の鏡を風呂敷に包み、玉を首から下げ、中に入れ込んだ。奇跡的に玄関まで誰とも会わず女下駄を履いて、外に出、屋敷を見つめた。目を閉じれば、色んなことが脳裏に浮かび来る。…やはり一番多い記憶は、皆と笑い合った記憶。そっと瞼を開け、一礼をした。

「ありがとうございました。」

踵を返し、門に向かった。白銀が大きな狐の姿で待っていた。

「光、乗る?」

「…ごめんなさい。私、歩きたいの。場所も大丈夫だから。」

「そっか…」

そう言うと、人の姿に化けて私を見つめた。柔く微笑み、白銀に告げた。

「今まで本当にありがとうございました。…さようなら、白銀。貴方が一番最初にできた親友です。」

「……」

軽く一礼をし、向かおうと少し歩んだその時。白銀が「光!」と呼び止めた。振り返ると白銀は泣きそうな顔をしていた。

「僕は絶対にさようならなんて言わない!絶対、絶対…また会えるから…またねって言う…だから光も!さようならじゃなくて、またねって言ってよ…寂しいじゃん…」

「……」

私は白銀の元に戻り、また頬に触れた。

「…またね、白銀。また会えたらお花見をしましょう。」

「っ!」

私は白銀に背を向け、歩み始めた。これ以上側にいたらやっと固まった意志が揺らいでしまう。…宇陀川へはひたすら山道を歩んだ。途中で転びそうになっても歩き続けた。私が生きた今という瞬間を遺すかのように。歩いて息が弾むのもとても楽しく感じる。生きてるって実感する。ふと横に視線を落とした。癖になっているのね。…しばらくして、だんだんと川特有の匂いがしてきた。

「…着いたわ。」

夕日に照らされ赤く染まった川。石を踏み締める音が心地よく響いてる。ちらと見ると近くに大きめの石があったので、鏡と玉をそっと置き、その側に立った。まだ、あざみは来ていなかった。少し待っていると砂利を踏み締める音がして、私は顔をあげ…眉をひそめた。

「やはり貴方は誰かにならねば駄目なのですか?…よりによって、その姿を選ぶとは…」

「少しばかり待たせてしまったか?光。」

「……」

あざみは、万葉様の姿を真似て現れた。だけど、もう変化する力もあまり残っていないのか目は紅いままの上に声も少年のようだった。

「ご丁寧に武器まで持っているとは…戦う気満々ではないか。」

「これは護身用です。貴方が私に牙を剥いた時のみ使用します。」

「護身用、か。笑わせる。はっきり申せばどうだ。扱い方を知らぬだけと!」

「…確かに私は戦い方も、人の殺め方も、全く知りませんし…知りたくもない。故に、これは護身用です、」

「馬鹿馬鹿しい…」

そういうとあざみは私に手を差し伸べてきた。何をしているんだろうと疑問に思っていると、あざみは口を開いた。

「さっさと寄越せ、その鏡と玉を。我に渡すならば、逃してやる。」

「嫌です。」

「頑固な女だ。…桔梗と似ているのが腹立つ。だから僕は君が嫌いなのだろう。」

「…桔梗様を、思い出すからですか?どうして、腹立たしいのですか?…貴方の目の前にいるのは、桔梗様ではなく、光…私自身です。」

「それが腹立たしい。桔梗の皮を被ったお前が。」

「…貴方と桔梗様が送った、穏やかな日々を汚されているように…感じるのですか?」

「……」

「あざみ。その穏やかな日々を…手放し汚したのは、誰でもない。貴方自身です。貴方が力を求めた故に…此度のことが起きているのですよ…」

黙って、俯く姿。…貴方は本当に、まだ子供らしい。反論あれば、噛みつくはず。なのに、何も言ってこない。…このまま話し合いで、事を収めたい。それに私は…偽物だと分かっててもあの姿のあざみを攻撃できない。今が好機だと分かってても、私には…。

「誰かを守りたいと思い…力を得たいと思うのは!普通のことだろう!僕は何も間違っていない!何も!」

「やり方が間違っているんです!何故そんなに誰かを責めるのですか?一度自分を見直して…」

「うるさい!黙れ!」

「…大事です…その誰かを守りたい気持ちは…けど、貴方はやり方も何もかも間違っているの。どうしてそれに気づいてくれないの?」

「我は何も間違っていないからだ。」

「……」

刀を握り俯いた。根本的な価値観の違いで私たちは分かり合えない…。けど、一番の壁は、貴方が応じてくれないこと。ううん、見方を変えれば…貴方は自分が正しいと思っている考えを否定されたくないのね。

「少しの考え事が命取りだと、誰かに教わらなかったか?」

「!」

俯いていた顔を上げると、目の前までにあざみが迫っていた。咄嗟に小太刀を構えたつもりだった…が鳩尾あたりに、今まで味わったことのない鋭い熱さを感じ視界がぼやけ、全身から力が抜けるのを感じた。

「か…う…」

あざみは一気に刀を抜いたから…ものすごく激しい痛みへ変わった。…あぁ…これが死の感覚なのね…

   ◇

〈時、遡りて光を見送った後。妖退治屋にて。〉

「…ん…」

ふっと目が覚め、上体を起こすとすっかり夕暮れだった。視線を動かすと若干人の姿に化けた白銀がぽつんと座り、尾っぽを揺らしていた。…どこか寂しげだった。

「白銀。」

そう声をかけると彼は振り返り、少し微笑んだ。

「…あ、万葉。やっと起きたんだ。」

「傷を早く治すためか、眠くて仕方なくてな…。」

「そっか…」

「なぁ、白銀。」

「何?」

「光、どこに行ったか知ってるか?」

「…どうして、そんな事を聞くの?」

「いや、なんとなく。もうすぐ夕餉の時間故、台所にいるのか?」

「……秘密、って言ったら君はどうする?」

「え?」

「秘密、って言ったら君は…どこにいるかも分からない光を探すかい?」

「探すとも!光、台所にいないのか!?」

儂は慌てて立とうとしたけど、太ももの傷が痛み出す。白銀は気だるそうな目をしながら口を開いた。

「安静にしなよ万葉。傷が開くだろう。」

「じゃあ光がどこにいるか教えてくれよ!」

「……」

四つん這いになり、白銀に近寄ったその時。ふと光の部屋が見え、背骨にかける焦りを感じた。光の部屋にずるずると向かい、あるものを探した。

「ない、ない!」

「…何探してんの?」

「鏡だ!それに玉も!…どこにも、ない。」

鏡台を見ると使いかけの紅が置いてあった。そっと手に取り見つめた後、白銀に近寄り胸ぐらを掴んで無理やり向かせた。

「…言え!光はどこに行ったんだ!あの光だ。どこか大切な用がない限りこんなものは使わない!」

「万葉…寝なよ。傷を治すために。」

「何故そんなにのらりくらりと逃げるんだ!…光は…どこなんだ…」

「……」

白銀は儂の手を解き、縁側から降りた。近くに咲いていた錨草を5本ちぎり、振り返った。

「何の真似だ。儂の問いに答えろ、白銀!」

「……」

「白銀!」

「僕は今、光に命令を受けている状態なんだ。…君が命令してくれたら、それは上書きされる。…命令、するかい?」

「…何の命令を受けているんだ。」

「それも秘密。きっと君には言わないほうが良いと思っているんだ。」

白銀はのらりくらりと逃げるばかり。答えが掴めそうで掴めず、もどかしい。

「では、上書きする。命令を!」

「…何を命令するの?」

「光の元へ、連れて行け。」

白銀はゆっくりと瞬きをした後、花をはらりと一本落とした。

「本当はすごーく嫌だけど…上書きなら仕方ない。その代わりさ」

「なんだ?」

「後悔…いや、後悔も何も味わえないのか…光の願い次第では。」

「…何、独り言を呟いているんだ?はっきりと物申せ。」

「なんでもない。」

そういうと風が吹き、思わず顔を隠し止んだ頃に顔を上げると狐姿の白銀がいた。

「…久々に見たな。まだ慣れん。」

「早く乗りなよ、万葉。光のところへ案内する。」

「ありがとう。」

光…昔の君は守ってやらねばすぐに死んでしまいそうな儚い存在だったのに、今はどんな事にも果敢に行って儂を心配させる。自分で解決しようとしてる姿は良いと思ってる、だが…無茶だけはしてほしくないのだ。

「光…」

「…ねぇ、万葉。」

「なんだ。」

「前に話した、普通とか敵味方って分かんないよねって話したの、覚えてる?」

「…あったな。そんな前だったか?」

「今のあざみ、君の目から見てどの存在?」

「どの…存在。…強いて言えば、敵だ。」

「そうだね、僕も敵だと思ってる。…じゃああざみから見たら、僕たちはなんだと思う?」

「……」

「あざみから見れば、僕らは敵だ。ううん、“僕ら”という括りではなく“この世界”が敵なんだろうと思う。」

「この、世界…」

「…あいつは三種の神器を使って変えたいんじゃない、報復したいんだ…って僕は勝手に考えている。」

「報、復…?」

「僕の勝手な憶測だ。」

「…何となく、儂を同意できる。あざみ…儂ら妖退治屋や退魔屋敷の皆を憎んでいるというより、人間を憎んでいるように感じた。」

「あざみは今それを叶えようとしてる。…まぁ、決して手に入ることのない神器が一つある。奴に無理だと説明したら、光を喰えば得られるなんてほざいてたよ。」

「そんなことできるのか?」

「無理だよ。光は桔梗の魂を取り込んだ者、だから扱えただけ。その光を喰ってもその能力は得られない。」

「光が元々持っている訳ではないから、か。」

「そうだ。」

「…報復からも、復讐からも、何も生まれない得られないと思うのに…あざみは得られると信じて疑わない。」

「あざみは…どうしてそこまでして報復したいんだ…」

白銀はゆっくりと瞬きをし、悲しげな表情を浮かべた。

「…実は桔梗様から、軽く聞いたことあるんだ。あざみの過去を。」

静かに語られたそれは聞いてるだけで、哀しみと血の匂いがしてきそうで…もういいと儂は止めた。

「…だからと言って、此度の一件を同情するつもりは一切ない。それがあざみの正義だとしても、僕らから見れば悪。」

「また逆も然り、か?」

「そうだね。」

「…はぁ…」

「難しい話だよね。僕も悪と正義、普通と異常の違いなんて知らない。」

「…なぁ、考えてみれば…光も村では敵で、異常…だったよな?」

「そうだね。だから違いが分からない、その立場によって物事の見方は変わる、今の光は普通で正義といえる立場じゃん。」

「……」

「…生粋の悪なんていない。ただその状況で敵という存在ができ、正義という存在となる。それもまた逆も然り。」

「…結局、答えはあるのか?敵味方分からないという質問は。」

「ないと思う。…永遠に考え続く問いだと思う。」

「その問いが解ければ…この世は平穏になるだろうか」

「…どうだろうね。解けるのかな。」

「いつの日か…解けるだろう。」

白銀の体を撫で、身を委ねた。…光、一緒に帰ろう。あざみの件はこっちでどうにかするから…

「光」

       ◇

〈時戻りて、宇陀川にて〉

…やっと、神器が手に入る。念願の神器…!倒れ込んで一切動かぬ奴を尻目に石の側に置かれた神器を手に取った。

「鏡に、玉…。どうせこの二つと妖力さえあれば叶うだろう。」

念願だったものを手に入れたこと、叶うことに喜びで体が震える。これで、この世を無に。弱者が有利な世界に…!奴の亡骸を通り過ぎ、広い場所で鏡に玉を写した。するときぃぃんという高い音が響き渡った後、宙に浮き九尾が現れた。。それは神々しく、眩い光を放っていた。

『ネガイ、カナエシモノ。アトヒトツハドウシタ。アトヒトツナケレバカナエラレン。』

「二つと妖力さえあれば叶えろ!僕の願いを!」

『…アトヒトツ、ソロエロ』

融通の効かぬ狐に腹が立った。…奴は死んでいる。確実に急所を刺した。喰うならば今か。

「後一つ手に入れれば叶えてくれるんだな。どんな願いでも!」

『ソウダトイッテイル』

「なれば今手にいれる!僕の願いこそが叶えるにふさわっ…!」

その時、脇腹に痛みが走った。痛みと、熱さと、驚きが襲った。誰が…いや、この場で攻撃できるのは…僕がよ

けた拍子に刀が抜け、刺した奴を見た。

「…ごめんなさい…!」

青い瞳が光を帯びていた。目を逸らさねば…まずい…何故、ならばそれは…

「妖、癒…瞳…!」

その場に倒れ、背が濡れていくのを感じた。そして妖力が抜けていく感覚がした。

「…貴様、生きてたんだな…」

「妖力で…なんとか生きています。死ぬでしょう、私も。」

「刺されたのは…わざとか?」

「…私は、偽物だと知ってもなお…貴方を殺めようと思えなかった。どうしてか、分かりますか?」

「知らん…」

奴は深呼吸を、そっと笑った。

「…大好きだからです。例え偽物でも、大好きな人と似ているならば…攻撃できません。卑怯です、あざみさん。」

「……!」

皮肉だ。皮肉だ皮肉。お前はこんな時でも冷静に…惚れた者を思えるとはな。僕とは…大違い。

「桔梗様、寂しそうでしたよ。ずっとずぅーっと貴方を待っているそうです。…貴方の篠笛が、聞きたいと言伝を得てます。」

「……」

篠笛…僕が何気なしに吹いたのを、桔梗は大層気に入って舞いたいと勝手に申した。楽しかったなぁ…楽しかった。この女に言われるまで、忘れてた。僕が、壊してしまったんだ。穏やかな日々も、桔梗の笑みも…

「…ははは…はははは!全部、全部僕のせいなんだ!僕が…壊してしまったんだ…。」

「……」

「でも仕方ないことだろう!桔梗を…守りたかったんだ…僕は!」

「…やり方が間違うてたことは、やはり気づかないのですね。」

奴はそういうと瞼を閉じ、ゆっくり開いた。…逸さねば…そう思ってももう体が動かない。痺れたような感覚が駆け巡ってるのだ…。迎える最期は好いた桔梗の技で死ぬとはな…。

「…皮肉だ…」

     ◇

あざみの瞳から光が消えた。…妖癒瞳で少しだけ妖力を吸った上に、この小太刀には白銀が用意してくれた鬼にしか効かない毒が塗ってあった。だから…極力話し合いで済ましたかった。何とか立ち上がり、あざみに近寄った。そっと瞼を閉じてあげて合掌した。やはり私には苦しませて彼を送ることは出来なかった。恨んでいるはずなのに…。

「けほ…」

私にも最期が来ている。…やらなきゃ…それをやらねば…私は浮かんだまま呆然といる狐様に顔を向けた。

『ソナタガネガイヲカナエルモノダナ』

「はい」

『ネガイヲイッテミロ』

「…あの」

『ナンダ』

「二つ、叶えることは出来ますか?」

『…ネガイニアタイスルフタツノダイショウヲ、ヨウイデキルノカ?』

「……」

私はそっと手を伸ばし、狐様に提案した。私の願い…

「私の願いは…この世の人間から、あざみと私の記憶を消して欲しいんです。そして代償は…私の命と体。値しますか?」

『ココロエタ』

「ありがとう、ございます。」

これでいい。私はきっと…本来生まれてはならなかった存在。皆の記憶から消えることに…悔いはない。だってまた…会えるかもしれないから。生まれ変わって、また会うの。ふっと瞼を閉じると万葉様が脳裏に浮かんだ。大好きなあの柔らかな笑みで私を見ている。瞼を開け、簪を外し、見つめた。…私の瞳とそっくり。その時、ぱんっという何かが砕けた音がし空を仰ぐと流星の如く、光の筋が幾万も輝いていた。そして朝のように明るくなった。

『ネガイ、カンリョウシタ』

その声が脳裏に響いた瞬間、手を見ると向こうの景色が透けて見えた。己の体が消える感覚は、怖くも恐ろしくもなく、ただただやりきったという晴れた気分だった。

「…兄様…」

貴方に初めて会った時、本当は怖かったの。こんな見た目だからあの子もろとも殺されてしまうかもしれないと。けど、そんなことなくてとっても優しい方だった。

「当主様…」

頻繁に私に会いに来ては土産を置いて行って、戸惑ってしまったわ。だって高価なものばかりで…その時やっとこの方はやんごとなき方なんだと気づいた。けどよそよそしい態度をとると心配されて…あぁ、この方は本心でやっているんだとも気づいた。

「…旦那様」

貴方が許嫁で兄だと知った時…青天の霹靂だった。前からほんのり恋心を抱いていた故に、複雑な感情だった。心の整理が追いつかなくて距離を置いてしまった…。けど、皆さんのお陰で万葉様への想いも、決心も固まって、もう一度向き合えた。

「万葉様」

ずっとずっと大好きな人。思えば私は昔から貴方に惚れていたのでしょう。貴方が笑ってくれると嬉しい、貴方が泣いていると私も悲しい、貴方が私を守ってくれるなら恩返しをしたい。こんな想いを抱いたのは貴方だけ。私は貴方が好き、大好き。低く落ち着いた声も、肉刺のあるごつごつと手も、日向の香りもする長い髪も、光に当たると輝く薄らと黄金がかった瞳も、ちょっぴり子供らしいとこも、不器用なとこも。全部全部大好き。気づけば貴方は側にいて微笑んでる。そして皆もいて賑やかになる。それが日常で、当たり前だった。

「…どうかお幸せに…」

どこからか桜が香った気がした。あぁ、もう春がすぐそこに…

     ◇

ふと空を見上げると流星群が煌めいた。綺麗なその光景に目を奪われた。

「なぁ、白銀。」

「なんだ…」

「流星群、とても綺麗だぞ。まさか、この光景を見せるために儂を連れ出したのか?」

「…光を、迎えに行くって話さなかったっけ…?」

「光…?なんだそれは。あ、流星群のことか?」

「…そっか…光はそういう願いだったのか…」

白銀はぼそりと呟くと妖退治屋のある方向へ引き返した。

「どうしたんだ?白銀。帰るのか?」

「そうだよ、間に合わなかった。」

「?」

先ほどから白銀の様子がおかしかった。声を殺しながら涙を流してるし、なぜ空を駆けていたのかも話してくれず、妖退治屋に戻ってきた。儂は何故か足を怪我していたので、白銀の肩を借りながら妖退治屋に入ると風雅が迎えてくれた。

「当主様!どこに行ってたのですか!?皆さん、総出で探していたのですよ?」

「すまない、流星群が綺麗だったもので白銀に無理を言ったのだ。」

「あぁ…とても綺麗でしたよね。皆さんも仰ぎ見ました。あ、それと当主様を探していた時気づいたのですが…」

そのまま白銀に支えられ、風雅についていくと儂の部屋の隣の部屋を開けた。

「ここが…どうしたんだ?」

「ここ、物置だった気がするのですがあんまりにも生活していた感じがあるので…誰かここにいましたっけ?」

「…さぁ…記憶にないな。もしかしたら退魔屋敷の誰かが使っていたのではないか?紅があるから。」

「そうですね。…私、夕餉の支度のついでに聞いて回ります。すみません、お手を煩わせてしまい。」

「構わん。」

風雅はぱたぱたと台所に向かい、儂は自分の部屋へそのまま移動した。布団が敷きっぱなしだった故、その上に寝かせてもらった。

「大丈夫?万葉。」

「ん?あぁ…大丈夫だが、一つ聞きたいことがある。」

「何?」

「儂は何故こんな大怪我を負っているんだ?何か大きな戦いでもしたか?」

「その怪我、あざみと戦った時にざっくりいったんじゃん。」

「…あざみ…?」

「え?」

「あざみって…花のことか?」

「……」

白銀は黙り込んだまま、部屋を後にしてしまった。白銀は先ほどからまるで“光”や“あざみ”を人名のように話す。儂は何のことか理解ができなかった。

   ◇

「…はぁぁ…」

君はなんてことを願ったんだ…。しかもご丁寧に“人間”だけ忘れている。何なら僕ら妖からも消してくれよ…。やっぱり君は桔梗様と似ている。丸投げで逝ってしまう。しゃがみ込み、膝を抱えた。

「…っ」

鼻の奥が痛くなり、頬が濡れた。誰かに声を聞かれても構わない。ひたすら嗚咽しながら泣いた。ひとしきり泣いて呆然として、ふらりと立ち上がって、屋敷の外へ出た。向かうのは…あそこだ。

   ◇

…やはりここは不思議な匂いに満ちている。この匂いがした時、妖の世界に来たことを実感する。真っ直ぐ大妖怪御五家の屋敷に向かった。すると、天狗の爺さんが待っていたかのように立っていた。

「…行われたな。禁忌の儀が。」

「はい…」

「あの女は、何を願ったんだ。お前さんをそこまで酷い顔をさせるとはな…」

「…何でしょうかね。少なくとも、みーんな…光とあざみを忘れてますよ。」

「そうか…。」

「あの…」

「何だ?」

「紅蓮殿は。」

「…こちらも行われたよ。人間の世界で換算すると…今日の今朝方な。紅蓮が望んだんだ。」

「そうですか…」

「首と体は、鬼族が持っていた。狂焔が晒すことを許さなかったら、鬼族で埋葬するんじゃーねぇか?」

「…そうなんですね。」

「のう、銀。」

「なんす…なんですか?」

「本当に、良いんだな。」

「……」

「もう、こっちに帰ってこれぬかもしれないぞ。」

「……桔梗様の願いを、叶えてみたいんです。」

「本当に桔梗の願いなのか?それは。」

「…分かりません。あと、人間の名をつけるつもりもないですし、白銀のまま生きるので、こっちには…戻ってこれるかもしれません。」

「…そうか。」

「けど…」

僕は開いた口を閉じ、言い淀んだ。…こっちも向こうも大切。人間の名をつけなければ行き来できる。けど…

「こっちには、戻る気がない。か?」

「っ…」

「お前が、そうしたいならそうしろ。銀が、前に頼んできたことは実行する。」

「分かりました、ありがとうございます。」

「あと…」

「?」

「光とあざみは…お前の記憶にいる、歴史にいる。そのまま封じてもいいし、誰かに伝えるでもいい。お前は、どうする。」

「……」

胸に手を当て、ぎゅぅっと握った。あざみは…未来永劫、覚えておこう。光は…忘れてあげよう。あの子はもう、いない。嶺渡殿はふと明日の方向を見た。僕もつられて見ると朝日が昇り始めていた。

「向こうの世界は…もうすぐ夜が明けるみたいだな」

「…もうそんな経っていたんですね。」

「…また新しい歴史が始まる。例え、名のある歴史でなくともこの出来事は聢と存在した。誰かが憶えてる限り、それは真の歴史。」

「これからはどんな世の中が始まるんですかね。」

「さぁ、分からんな。…しっかりと見てこい。」

「はい。」

僕は妖退治屋へと帰った。新しい明日を迎えるために。

   ◆

〈時流れて五年後。元和六年〉

「よい…しょ!」

「…白銀くーん!その薪割り終わったらこっちも手伝って〜」

「はい。」

「そのあとは〜お茶でもしよ!」

「馨は、お茶会が好きだね。」

「合法的にさぼれるからね!」

「…あ、躑躅。」

「へ?」

「か・お・る〜?」

「んひゃあぁぁあ!!」

相変わらずここは賑やかな日常を送っている。ずっとあの子を守るために側にいたから、僕にとって新鮮な毎日だ。ふと視線に気づき、振り返ると珠乃がいた。

「珠乃。」

「んにゃ!」

彼女は僕を見ると逃げてしまう。同じ妖だから仲良くできると思ったけど、そうも行かず。けど緋色とは仲良くできている。

「えぐっえぐっ…しこたま怒られたよ〜…」

「さっきのは馨が悪いよ。」

「うえ!」

「…仕事、終わらそ?そしたらさぼりじゃない。」

「あい…」

あの一件の後、変わったことが二つある。一つは妖の世界から文が来て、内容は漢ちゃんからの怒ってるような恥ずかしがってるような文面のやつと、嶺渡殿からのやつ。…僕は狐族の頭領を漢ちゃんに譲った。ううん、託した。今は漢ちゃんが正式な狐の頭領になっている。

「そういえば、万葉はまたお出かけ?」

「そうみたい。…当主様、最近お出かけばっかりしてるね。」

「もうあの方は、“当主”ではないでしょう?」

「あ、そうだった。えへへ、忘れてた。ありがと、寿君。」

もう一つは万葉が当主の座を降りたこと。本当に突然のことだった。火影と翡翠が帰ってきてすぐのことだった。ちなみにあざみが記憶から消えたから、火影と翡翠はなぜ遠くに住んでいたのか分からないと言っていた。…翡翠に当主の座を渡し、兄妹同士の婚姻も好きにすればいい、もう掟ではないと言った。翡翠が困惑してるのもそのままに万葉は二度と説明をしなかった。

「ん〜…なんか、万葉様。心ここに在らず、って感じじゃない?」

「…そうだね。」

万葉はどうして当主の座を降りたのかは分からない。しっかりと九鬼にも話していて、九鬼は大層残念そうに頷いたが妖退治屋との交流は続けると宣言してくれた。

「お花見にも参加してくれなかったものね。…一体どうしたのかしら。」

「さーね。…さ、色々と仕事終わらせちゃお。今のとこ退治依頼もないし。」

「そうだね!そのあとはまたお花見でもしよーよ。」

「あんた、桜餅やら何やら食べたいだけでしょ?」

「うっ…」

「あはは。馨は素直だね。」

「白銀に笑われた…」

「そりゃああんたの反応が素直だからでしょ。」

「うぅ〜…」

「僕もまた桜餅食べたい。さっさと終わらそ。…あ、あと」

「「お稲荷食べたい」」

「…先に言われた。」

「ふふん!そりゃあ、あれだけ食べていりゃ分かるよ〜」

「風雅さんにお願いしよっか。」

僕は今あの子と同じ視点だけど、違う景色を見ているのかもしれない。

    ◇

「……」

何度も何度も東海道を通ってはすれ違う旅人を眺めている。何を探しているのか分からないし、何をしているかさえ分からない。ただ脳裏が言うには何かを探している。…当主の座を降りて心なしか肩が軽くなった気がした。ただの男になれた気がした。

「…あそこの茶屋のお団子が美味しいんだって〜」

「じゃあ休憩がてら食べようよ。」

…妙に女性の声に反応してしまい、立ち止まる。そして何故か違うと心が叫んでいる。

「今日はどこまで歩こうか。」

独り言を呟いたあと、もう一度歩み始めた。

「すこーし前に大きな戦があり、公方様が逝去され、もうこの世の中が分かんなくなっちまったよ。」

「これからも戦戦の日々だろ。ま、我々旅人には関係にゃあ話だ。」

そういえば最近はめっきり悪妖の出没を聞かなくなった。寧ろ…

「ありがとうねぇ、お手伝いしてくれて」

「へへ」

人間と暮らす友好的な妖が多くなってきた気がした。時代と共に妖も変化するんだと実感した。…同時に、妖退治屋も退魔屋敷も畳まなければいけない明日も見始めている。

「…時代が動けば不要なものもある、か…」

それでも、居場所なき者が溢れている。例え妖がいなくなったとしても、あそこはあり続ける。ふと視線を下げると百合の花が咲いていた。ざっと見たところ三十三本ほど咲いていた。しゃがみ込み、甘く優しい匂いを鼻腔いっぱいに吸い込んだ。

「もう百合の季節か…。四季は早いものだ。」

立ちあがろうとしたその時、からんと何かが落ちる音がした。そのまま振り返ると青玉のついた簪が落ちていた。拾い上げ、辺りを見渡すと髪を抑え辺りを探している女性がいた。きっと彼女のものだろうと思い、声をかけた。

「あの…これ、貴方の物か?」

「!」

振り返ったその人は…とても綺麗で愛らしい人だった。濡れ羽色の長い髪に、優しげに垂れた黒橡色の瞳。潤色の着物がこの簪がよく似合う。…そして、なぜだか懐かしい。その瞳とどこかで見つめ合った気がする。

「…あの」

「?」

「儂にも…よく分からぬことを聞くが…」

さっさと簪を渡し、別れれば良いのに簪を見つめ、言葉の続きに言い淀んだ。けど、伝えれば心の引っ掛かりが取れるかもしれない。儂はそう思い、もう一度口を開いた。

「どこかで、会ったことは…ないか?」

そう問いながら簪を差し出すと、女性は受け取りそっと微笑んだ。百合の花がそっと開くかのように。

(完)

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