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愛者永遠  作者: 桜宮朧
35/51

桃と竜胆、邂逅。

めちゃお久しぶりですm(__)m

私生活が少々、多忙でした…(-_-;)

追記:ものすっごい今更なんですが、スマートフォンで見ている方。「‼」や「⁉」が絵文字風?みたいになってしまっていると思いますが、この作品PCで作成しているため違ってしまうみたいです…(~_~;)

私も直し方が分からないため、ご了承ください(*- -)(*_ _)ペコリ

〈元和元年 三月二十三日〉

お昼ごろ軽く昼食を済ました後、寿君の看病を再開した。

「寿君、目覚ました⁉」

「いえ、まだ眠っていますよ。多分。後、まだ少し熱が下がらなくて。」

「あぁ~確かに両目とも失明しちゃったんだよね~。熱も大丈夫かな?」

「そうですね。でも、寝息を立てられているので寝ているのかと。」

「そっか~。」

私は寿君の額に乗せてた手ぬぐいとそれを濡らしていた水がぬるくなってしまったので、取り替えようと台所へたらいを持っていく途中だった。

「今は朧さんが傍にいますよ。」

「あ、そうなんだ。まぁ確かに、寿君にとって朧さんは師匠だもんね~。」

「そうなんですね。」

「そーそー。あ、そう言えば光ちゃんは何しに行くの?」

「粥を作ろうかと。目が覚めた時に食べてくれると思って。」

「じゃあ、私も手伝う!」

「まぁ!良いのですか?」

「まっかせてよ…っ痛った⁉」

「あんたが料理出来る訳ないじゃない。」

「躑躅さん。」

「うぐぅ…」

躑躅さんが馨ちゃんの後ろから現れた。ぽんっと頭を叩いたみたい。

「馨ちゃん、料理できないのですか?」

「そうよ。あたしと同じくらい。もしくはそれより酷い。」

「や、やろうと思えばちゃんとできるもん‼」

「本当~?」

「躑躅ちゃんだって前までは下手くそだったのに、抜け駆け~!」

「あたしもまだ下手よ!」

「えぇ~朧さん、毎日躑躅ちゃんのご飯食べてるじゃな~い。のうのう、お主。どうなんじゃ~?」

馨ちゃんはにやつきながら躑躅さんを肱でつついていた。躑躅さんは顔を真っ赤にして黙っていた。

「あの、手伝えるなら手伝ってほしいのですが馨ちゃんはどのくらいできますか?」

「ほとんど出来ないわよ、この子。」

「まぁ…」

「だ・か・ら!何かを切るぐらいなら出来るって!」

「本当?」

「ほんと!」

「でしたら三人で支度しましょう。」

「賛成!」

「それが良いわね。」

その後、三人で食事作りをした。でも馨ちゃんに切ってと頼んだ葱が消えたのが不思議だった。消えたと言えば、七輪で焼いていた鰆も珠乃さんに食べられて消えた。躑躅さんにこっぴどく叱られていた。

「にゃ~…我慢できなかったの~。」

「あんたは猫かっ!これくらい、我慢しなさい!」

「に~…」

「おや、どうしたの?何があったの?珠乃が泣いているけど…。」

「あ、緋色さん。それが珠乃さんが焼いていた鰆を食べてしまって。」

「…それは珠乃が悪いわね。珠乃、謝りなんし。そして買ってきなんし。」

「えぇ~…」

「あ、緋色さん。買ってこなくて大丈夫ですよ。もう一匹あるので。」

「あら、そうなの?じゃあ、珠乃は謝るだけでいいかしら。」

「で、でも本人は反省しているみたいですし、私もそんなに怒ってませんから。」

「光さんは本当にお優しゅうござりんすね。珠乃、良うござりんしたわね。」

ころころと緋色さんは笑った後、ひんやりとした視線を珠乃さんに向けた。

「うぅ~…ごめんにゃあ、光たん~。」

「確かにこの時期の鰆は美味しいですものね。我慢できないのも分かります。」

「うにゃあ~…」

珠乃さんは緋色さんに引きずられるように連れて行かれた。

「そういえば、葱はどこに行ったのでしょうか?具材として使おうと思っていたのですが…。」

「ぎくぅ!」

「馨ちゃん、知りませんか?」

「あ~…えっと…あ!足が生えて逃げたんじゃない⁉ほら!野菜の妖とかいそうだし!」

「…まぁ!確かにお野菜さんの妖はいそうです。」

「そーそー…」

「光、騙されないで。ここにある。」

「ぎゃあ!」

馨ちゃんは躑躅さんに無理やり動かされ、馨ちゃんの後ろには物凄く細かくされた葱がこんもりとあった。

「あら?」

「馨~?純粋な光を騙すような真似はしないことっ!」

「あ痛⁉」

躑躅さんは馨ちゃんの頭に、手刀を食らわせた。痛そうだった。

「この葱、どうする?」

「粥に混ぜるほか無いと思います。なので、鰆も焼き直して葱と鰆の味噌粥にしましょう。」

「了解。」

「痛いよぉ。たんこぶ、出来てない~?」

「大丈夫ですよ、少し腫れているだけでたんこぶはありません。」

「それを人はたんこぶって言うのよ、光。」

「す、すみません。そうですよね。」

殆ど私一人で粥が完成してしまったが、馨ちゃんと躑躅さんに味見してもらった。

「うん、美味しいよ。」

「うま~。」

「良かったです。では、寿君の元に持っていきます。」

「行ってら~。」

お盆に乗せ、寿君が寝ているところへ向かった。その途中、万葉様に会った。

「万葉様。」

「寿の所に行くのか?」

「はい。」

「…まだ、容体は回復していないみたいだな。儂も先ほど行ってきた。」

「肋骨の骨折は、二十一日から二十八日間かかるみたいで。熱は七日程で引いてくれると思います。…私も医者ではありませんし、断言はできませんが…。」

「そうか。ありがとうな、光。疲れたら風雅とかにも頼んでいいから。」

「分かりました。けど、私は元気なので大丈夫です。」

「…お前は無茶をすることが多い。辛かったら儂らに遠慮なく頼れ。」

「ありがとうございます。」

私はにこっと微笑み、軽く会釈をして寿君の元へ向かった。

「…ただいま戻りました。」

「おぉ。」

「まだ、眠っていますか?」

「あぁ、そうだ。熱も全然下がってねぇ。」

「水を入れ替えた手ぬぐい、乗せてあげてください。」

「分かった。」

「…粥、一応作ってきたのですがどうしますか?」

「あぁ…食ったほうが早く治るだろうし、起こす。」

「すみません。」

朧さんが寿君を軽く揺らし、ぼんやりと目を開けた。

「…あ…良い、にお、い…」

「粥を作ったんです。ゆっくりで良いですから、食べてください。」

「んぅ…」

「俺が支えといてやる。」

私は少量を掬い、湯気が見えなくなるまで冷ました。

「はい、口を開けてください。」

「あ…」

「…お腹いっぱいになりましたら言ってくださいね。無理して完食して具合が悪化してしまったら元も子もありません。」

寿君はゆっくりと味わい、暫くして飲み込むとぼんやりと話しかけてくれた。

「…光さん…」

「何でしょうか?」

「母とは…こんな、感じなんでしょう…か?」

「へ!」

「…寿…。」

「え、えっと…私もいまいち母という存在が分かりませんが…たぶん、こういう感じかと…。」

「そうですか…そうですか。」

その後も少しずつ食べ、水を持ってきて飲ましてあげるとすぅっともう一度眠りについた。片づけのために台所へ朧さんと向かった。

「…急にあんな質問して、驚いただろ。光さん。」

「…そう、ですね。」

「寿が、産まれて暫くして流行り病を患って…亡くなってしまったんだ。そっからは親父さんと二人暮らし。でも、仲が良いとは言い切れない仲だ。」

「そうなんですね。私も、そういう父や、母と言った存在はよく分かりませんが…神楽さんが教えてくれました。」

「あいつか。」

「…さて、薬を用意しなくてはですね。これとこれを飲ませば良かったんですよね。」

「あぁ、そうだ。」

私が用意していたその時、一人の男性がひょこっと台所に現れ万葉様が朧さんを呼んでいることを報告しに来た。

「わりぃ、起き上がらせること出来なくなっちまった。霞にでも頼んでくれねぇか?」

「分かりました。」

朧さんが去った後、薬を運んでいると霞さんと鉢合わせた。

「あ、光さん。」

「霞さん!あの、寿君の…」

「兄者から聞いてるよ。丁度すれ違ったんだ。」

「まぁ、そうなんですね。では、お願いします。」

「うん。」

  ◇

〈梅の間にて〉

「…分かりました。」

「この近辺だけど、遅くなるようだったらもえぎに言ってくれ。」

「きっとすぐに終わりますよ、当主殿。」

「やはり心強いな、朧は。」

「そんなことはございません。…では、支度致します。」

「あぁ。」

俺は梅の間を後にし、支度をした。隊員は俺含め二十人。あまり被害報告はないが確認のためだ。薙刀を持ち外に出ると既にそろっていた。

「支度早ぇな、てめぇらは。」

「…朧さんも同じくらいではないでしょうか。我々はそれほど待っていないですよ。」

「そうか。じゃ、行くぞ。」

淡々と歩いてそして目的地付近に着いたその瞬間、ふわっと香ったのは妖特有の匂いじゃねぇ。血の匂い。濃くて、何人か嘔吐していた。

「何でこんなに濃い血の匂いがするのですか!当主様、一匹くらいだと仰っていましたよね?」

「情報が欠けていて一匹じゃなかった、っていうのもあり得るぜ?」

「とにかく向かいましょう。

「…いや、一旦隊長の俺が一人で行ってくる。」

「え…?」

「副隊長のてめぇは待ってろ。吐きまくってる奴らを頼んだぞ!」

「え、ちょっと!…朧さん…」

俺は匂いを辿り、その場所へと駆けて行った。森を進んでいくとぽっかりと一つ空間が見えたと思ったその場所に、苦しみもがいて首を絞められている妖と刀を握った人間がいた。

「なんだ、これは…。」

「…これで終わりなのかしら?…雑魚ねぇ。」

ぽつりと呟かれた言葉に心臓が飛び跳ねた。懐かしい、声音。見事に逆光でうまく顔が見えなかったが、あいつで間違いないと思った。

「盈、月…」

辺りが静かなせいでばっちり聞こえたらしく、こっちに気づくとぐるっと振り返った。

「いつの間にか人がいたのね。しかもあたしの名前を知ってるなんて…びっくりよ。あんた…どこかで会ったことあるのかしら?」

「……」

感情を読ませない真っすぐの糸のような瞳、屈託のない笑みをいつも湛えてる顔。目元までの真っすぐした前髪、長い後ろ髪は左へ緩やかに結んでいる。右の耳に飾りがぶら下がっている。そして男性の容姿だが、どこか女性を感じる雰囲気も持ち合わせている。

「あら?どうしたのかしら?だんまりしちゃって。」

「…本気で、俺の事を知らないっつってんのか?」

「ん~…あんたなかなかの二枚目だし、覚えてるはずなんだけど…さぁっぱり、分からないのよねぇ。」

盈月だと思うその者は、薄っすら瞳を開けすっと唇をなぞりながら考える仕草を見せた。

「俺は、朧左衛門だ!お前と切磋琢磨し合った仲だぞ‼」

「…あんた…本当に誰なのかしら?いつどこで、出会ったことあるのかしら?」

「っ!出会ったことあるからてめぇの名前も何もかも知ってんだろ⁉」

「知らないわよ。」

俺は言葉が出てこなくなった。あんなに、あんなに、仲が良かったつうのに…なんでだよ。

「…他人の、空似…かも知んねぇ。すまねぇな…。」

「ねぇ、去る前に質問していいかしら?」

「んだよ。」

「銀髪の娘、あんたたちのところにいるのかしら?」

「は?」

「は?じゃないわよ。あたし、その子を殺さなくちゃいけないの。ね、妖退治屋の隊員さん。」

「…誰に、言われたんだ?そもそも、妖退治屋の記憶も何もねぇ他人の貴様に、情報漏洩すっかよ!」

「その羽織、妖退治屋のでしょ?万世様から、教えてもらったもの。」

「師範、から?」

「そう言ってるよね。あたしね、銀髪の娘を殺せって命じられているの。その子、妖退治屋にいるみたいだけど、場所が分からないから案内してくれないかしら?」

「……」

俺は静かに盈月に近づき、胸ぐらを掴んだ勢いそのまま頭突きを見舞いさせた。ごんという鈍い音がしたが気にしねぇ。

「いっ!」

「…てめぇ、本当にどうしちまったんだよ。そんな頭湧いてるよーな奴じゃねぇよなぁ⁉」

「あたし正常よ、大好きな万世様の命令だから聞いてるの。それに、その子…生きてちゃだめって万世様言ってたわよ。」

「この世に生きていい人間と生きてちゃだめっつー人間はいねぇんだよ。んなことを、神でも何でもねぇてめぇが言うじゃねぇ!」

俺はどんっと盈月を突き放した。よろめいたが何とか立っていて赤くなった額を押さえていた。

「…だって!その子!妖の魂が体内にある子なんでしょ?そんな異端、抹消するのが一番って万世様が言っていたわよ!」

「異端でも、何でも、生きてんだよ。そいつは。足掻いてもがいて俺らよりも人間らしく生きてんだ!俺は、現当主の右腕。その方の許嫁であるその人も、守り抜いてやる!」

「…へぇ。」

「てめぇがその人を殺そうもんなら、俺がてめぇを殺す。」

「あら、あたしあんたより強いと思うわよ?それでも…戦うのかしら?」

「…んなこったぁ、知ってる。てめぇの、強さも、弱さも…優しさも…。」

「あは!宣戦布告ねぇ~。受け取ったわ、朧左衛門。…じゃねぇ~」

そう言い、ひらっと手を振って森の暗闇へと盈月は姿を消した。俺はため息を吐いた後、消えていく妖の亡骸を見た。

「きっと、害を為さない妖もいたんだろな。眠ってくれ、安らかに。」

手を合わせ、仲間んとこに戻った。終わったことを伝え、屋敷に帰ることにした。当主殿にありのままを伝えた。

「そうか、水樹殿が現れたのか…。」

「なんか…性格はそのままな感じなのですが、その…瞳に生気がなかったと言いますか…その…」

「何かが違った、ということか?」

「すみません。その通りです。」

「大丈夫だ。うまく言葉に出来ないこともあるよな。」

「…はい。」

「今日はもう休んで良いぞ、朧。お疲れ様。」

「ありがとうございます。」

俺は一礼して、梅の間を後にした。部屋に戻ろうと歩いていると光さんにばったりと会った。

「あ、朧さん。お帰りなさいませ。」

「あぁ…。」

「寿さん、少しずつですが熱が下がってきてます。」

「そうか。」

「…元気がないように見えますが、大丈夫ですか?お茶と菓子、持っていきましょうか?」

「いや、大丈夫だ。それより…」

「それより…?」

「少しの間、外出を控えてくれねぇか?」

「…構いませんが、何かあったのですか?」

「水樹っていう野郎がいんだけどさ、光さんの命を狙ってるみたいで。」

「え?…私、の?」

「はい。」

「まぁ…。」

「だけど、俺が何とかするから。光さんには、生きてほしいから。」

「……」

「祝言、見たいんだ。当主殿と光さんの。師範と、苺依さんの祝言も見れたからさ。あんなに穏やかで、綺麗な光景を…もう一回、見たいんだ。」

「…そうですね。祝言を挙げるまで、生きたいです。」

「東郷さんも、見たいですから。」

「あの、朧さん…」

「何ですか?」

光さんはそっと俺の頬に触れてきた。びっくりしたが何かを拭っていた。

「何か、悲しい事でもあったのですか?先ほどから、泣いていらしたので。」

「…!」

「ごめんなさい、本当に。私のせいで。」

「…全然、光さんのせいとは少しも思ってない。あんたは生きてんだから。生きてることを、負い目に感じないでくれ。」

「朧さん…」

「じゃあ、部屋に戻る。」

「はい。」

俺は乾ききった頬に触れた。何で涙が流れたのかさっぱりだが、あんなにも生きようと頑張っているのに、第三者の手で殺されそうになっている光さんが可哀そうだと感じたのだろうか。

「…同情は、しないほうが良いだろうか。同情は毒にも薬にもなる。」

出来ることだけをしよう。そのためにまずは調べよう、盈月を。あいつとは、本気で戦いたくねぇ。

「霞にも、言わねぇと。」

自室に向かい、暫くすると風雅さんが茶と菓子を持って現れた。光さんが持って行ってほしいと言ったみたいだ。

「…私はこれから寿さんの看病を致します。光さんたら、看病に夢中で眠るのを忘れていたらしく、先ほど寿さんの部屋を覗くと隣で眠っておりました。」

「まじかよ。」

「当主様にお伝えし、今は自室で寝ております。」

「当主殿の対応が、目に浮かぶ。」

「ため息を吐かれていましたよ。無茶はするなと申したのに、と。なので暫く光さんは眠っているかと。」

「…あ、少し待ってくれねぇか。」

「え、あ…分かりました。」

俺は自分の部屋を少し探した。目当てのものが見つかり風雅さんに渡した。

「これ、金平糖。当主殿に光さんに渡してくれと言ってくれ。」

「まぁ、ありがとうございます。」

「…兄者。金平糖好きなので、常にそこにあ…」

「黙れ!霞‼」

「…ふぁい。」

「何か言いかけたようですが…」

「何でもねぇ!さ、さっさと当主殿に渡してくれ!」

風雅さんは軽く会釈をして去って行った。俺は霞の胸ぐらを掴みぐわんぐわん揺らし、二度と人前で言うなと念を押した。

                        (続)

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