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愛者永遠  作者: 桜宮朧
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百合に絡みつく蔓日日草

〈元和元年 三月八日〉

「…いろんなことがありすぎて頭が追いつきません…」

「儂も同じだ、朧。」

「そういえば名は分かるのですか?此度、来る者達の。」

「いや、分からぬ。」

「そうなんですか。」

と、朧と話していると籠が二つ門の前に来た。そこから女性が二人現れた。一人は儂の肩と大体同じ背丈、もう一人はその女性の胸元辺りの背丈。

「…お初にお目にかかります。退魔屋敷より参りました。蓬莱神楽と…」

「幻中みこと!」

「遠路はるばるようこそ。立ち話も何ですから、中に入ってください。」

「失礼致します。」

「…風雅、茶を二つ頼む。」

「畏まりました。」

儂は二人を梅の間に案内した。

「…ここは、良い雰囲気ですね。とても心地が良い。」

「あ、そうですか?」

「あい。退魔屋敷は空気がとても重たくて。少しの緊張感が漂っているのですよ。」

「それは…少々居心地が悪そうですね。」

「ふふっ。でもまぁ、慣れてしまえば平気なんです。」

「そうなんですね。…あ、ここが梅の間です。どうぞ。」

「失礼します。」

「します!」

ちょうど風雅が茶を持ってきて、二人は一口飲んだ。

「…して、此度はどういった経緯で視察となったのだ?」

蓬莱と名乗った者は湯飲みを置き、儂と目線を合わせ話し始めた。

「ここは、妖を退治する界隈としては珍しい戦い方をすると聞きまして、私らもそのいい要素を学べたらなと思いまして。」

「珍しい?」

「きっと、人に害為す妖のみ倒し、人を手助けする妖は倒さぬという悪しき妖怪と善き妖を見分ける退治法だからでは?」

「なるほど…」

「ここに滞在するのは、五日程ですがどうかよろしくお願い致します。」

「お願いします。」

と、二人は深々と床に手を付け、お辞儀した。

「こちらこそ、よろしく頼む。」

その後、皆と光を梅の間に呼び、二人を紹介した。

「皆の者、ここの事などを教えたりしてあげてくれ。」

「「御意」」

「分からないことがあれば、皆に聞いてくれ。」

「分かりましたわ。」

そう言った後、蓬莱は光をじっと見た。光は一切その視線に気づいていなかった。

「どうかしたのか?蓬莱。」

「あ、いえ。あの方の銀髪が素敵だなと思いまして。」

「そうか…。儂も、光の銀髪は好きだ。手入れがよく施されていて。」

儂もうっとりと、光を見つめた。その後、各々解散し蓬莱達に泊まる部屋を紹介するよう風雅に頼んだ。

  ◇

「…では、こちらなのでついてきてくださいな。」

「了解しましたわ。」

「は~い」

私は、風雅さんという方について行き、部屋に案内された。私と幻中さん二人で丁度いい部屋だった。

「他にも屋敷を案内しましょうか?」

「あ、いえ大丈夫です。散歩がてら見てみます。」

「分かりました。私はこれで。」

と、風雅さんを見送り私は散歩することにした。幻中さんは幻中さんで行動するみたい。正直、興味ないけど。…ここは意外と、退魔屋敷より広かった。と、廊下を歩いている最中、光さんと出くわした。

「あ…」

「…こんにちは、光さん。」

「えっと、こんにちは。蓬莱さん。」

「蓬莱さんなんて、言わなくて結構よ。神楽でもなんでも宜しいですからね。」

「あっ、はい。分かりました。神楽さん。」

「ねぇ、これから七日間だけど仲良くしてほしいから握手しましょ。」

「あ、握手…ですか。」

光さんは困惑しながらも握手に応じてくれた。私はにやりと笑い光さんを引き寄せ耳元で囁いた。

「…万葉様、なかなか魅力的な二枚目じゃない。私、狙っちゃおうかしら。」

とんっと私は光を押すように引き離した。呆然と何を言われたのか理解してない顔、最高に面白かった。けど、すぐにはっとし私を睨みつけるような表情になった。

「ま、万葉様は色仕掛けで屈するような方ではありません。なので、そ、そんなことをしても、無駄、だと思います。」

面白くない。もう少し、泣いてくれてもいいのに。

「なら、試してみようかしら。本当に無駄かどうか、ね。」

「…試しても、意味、ないです。」

「ふふふ、貴方って弱そうに見えるけど、意外と強情なのね。いえ…強情ではなくて…強がり、なのかしら。」

「っ……」

「あら、図星かしら?ごめんなさいね、悪気があって強がりと言ったわけじゃなくてよ。」

「知ってますから、私はただの強がりと。」

…とことんこの子は、つまらないわね。いくら虐めても涙を見せようとしない。

「ご自分で知っていたんですね、それはごめんなさい。ふふふ」

「……」

「まぁ、頑張ってみるわ。だけど…私が堕とせない男なんてこの世にいないのよ。じゃあね、光さん。」

私が横を通り過ぎても、睨んでいる。こういうおっとりした子って馬鹿ばっかりだと思っていたけど、この子は違うのね。私はぺろりと唇を舐めた。

「…何だか楽しいわ、ここ。」

                                (続)

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