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今の生活に不満はないのに タイムリープしろと君は言う  作者: KIZOOS
第一章 タイムリープ YES or NO【マサト45歳・西暦202X年】
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7 幸せそうに見えないのは、幸せじゃないから

「えっ、ななっ、何でしょうか?」

 急に強気な態度になった相手に、ひるんだマサトは、身構える。

 マサトの鼻先を飛びながら、手のひらサイズの女性は述べる。

「今、マサトさんは、御自分の人生を振り返って、正社員になれたのが大成功で、奇跡だとおっしゃった。だったら、もっと幸せをかみしめて、毎日、楽しそうに生きたらいいじゃないですか」

「楽しそうに……生きる?」

 マサトにとっては、予想外の指摘であった。

 うなずいた女性は、

「でも、マサトさんはちっとも楽しそうじゃなかった。仕事に打ち込むでもなく、趣味に没頭するでもなく、青春時代の未練を引きずって、疲れた顔で、しょっちゅう、ため息をついてばかり。だからこそ、それが負の感情のオーラとなって、外に放射されていたのです。で、私に見つかってしまった」


 マサトはうなり、

「うーん。あなた、さっきもそれ言ってたけど、そんなに僕だけが負の感情を発してるとは思えないけどな。世の中、もっと苦労して悩んでる方々が、大勢いると思うんだけど。なんで、そっちへ行ってあげないのさ?」

 マサトとしては、正論を吐いたつもりであった。

 ところが、あっけなく言い返されてしまう。

「そうやって、他人と比べて、あの人たちよりはマシだとか思ってる時点で、それが負のオーラなんですってば。要するに、リアルを生きてないんですよ。よそ見ばかりして、ちゃんと自分の人生と向き合っていない。逆に、苦労人であっても、目的意識を持って前向きに生きている人には、私の姿は見えない」

「えっ、見えないの?」

「はい。集中力が違いますから。同様に、悲しいことですが、自殺を考えるほどに苦悩している人にも、私を見ることは出来ません。関心がそっちへ集中してしまい、精神に余裕がないからです」

「……僕は、そのどちらでもない、と。人生を楽しんでもいないし、息が詰まるほど大変でもない。一番、特徴のない、中途半端などうしようもないパターンってことか」

 つぶやきつつ、マサトの胸の奥がチクッと痛む。図星だからであろう。


 とはいえ、マサトにも言い分はある。もはや結果は変えられないのだとしても、言わずにおれるか。

「だけど、僕みたいな人生観の人って、世の中に一定数いると思うんですけどね。僕だけが突出して怠け者だとも思えないけど。少なくとも、数十年の中の一人に選ばれるほど、僕だけが異常ですかね?」

【続く】


次回、妖精の返答にマサト失笑。

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