表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今の生活に不満はないのに タイムリープしろと君は言う  作者: KIZOOS
第三章 成り上がりは 慌てず、浮かれず、ささやかに
49/67

49 大予言 華やかなりし頃

 マサトが、三十年前へとタイムリープをしてから、およそ一週間が経過した。

 家族との交流にも、学校生活にも徐々に慣れて、戸惑う回数が減っていった頃。

 月が変わり、五月となった。


(さあ、勝負の月だぜ……!)

 マサトの気合いが入る。直ちに、宝くじを買いに行かねばならない。

 タイムリープ前、当せん番号を覚えてきたからである。未来の有力情報だ。

 四けたの数字を自分で決めて、組み合わせる方式。この年の五月の、最初のニ回分を、マサトは覚えてきている。


 顔などを知られぬように、二回の宝くじは、別々の売り場で購入した。さらに、念には念を入れて、近い番号のくじも数パターン作り、わざと「ハズレ」も買った。いかにも、偶然に的中したかのように偽装したわけである。


 後日出た結果は、とんでもないものであった。

 当せん金は、一回目が二十万円。二回目が、十八万円。

 金額が一定でないのは、当せんの口数によって、変動するからである。形式は、配当金。言わば、山分けであった。

「あちゃー」

 マサトは頭を抱えた。

(こんな大金が当たるなんてなー。もっと、ささやかな額でよかったのに。二、三万とかさ……)

 親に内緒で、へそくりを得ようというもくろみは、あっさりと崩れてしまった。


 当然だが、これほど高額な当せん金を、未成年が引き換えることはできない。

 一応、売り場や銀行で聞いてみたが、やはり、ほとんど門前払いであった。保護者同伴が大原則。


(仕方ない、親父に話そう)

 話がややこしくなるおそれもあるため、できれば、親には内緒で現金化をしたかったが、無理そうだ。

 父に頼んで、二つの当たりくじのうち、二十万円の方を、ひとまず引き換えることにした。


 もう一方の十八万円は、当たったこと自体を秘密にしようと決めた。

 理由は、二連続で当たったと告げたら、父親が不審に思うだろうからだ。今まで宝くじなど全く買わなかった息子が、たまたま宝くじを二度買ったら、どちらも大当たり。出来過ぎであり、ちょっと、あり得ないことだ。


 もちろん、冷静に考えれば、宝くじに不正行為など、やりようがない。偶然の一致以外に、論理的な解釈はない。

 だが、不自然な結果であることも確かであり、家族に変な違和感や疑念を持たれたくはない。

(最悪、将来的に、タイムリープがバレる遠因になるかもしれんしな。そこまでは行かなくても、こいつには予知能力があるとか、悪魔がとりついてるとか誤解されても、厄介だしなー)


 何しろ、今は世紀末でもあるのだ。

 かのノストラダムスが人類滅亡の時だと予言した「1999年7月」も間近まぢかに迫っていた。人々は、「まあ、予言は当たらんだろう。でも、もしかしたら……」と、心のどこかに引っ掛かってはいたのである。

 そういった時代背景もあり、超常現象、オカルト分野も、大衆にとって「それなりに信用できるジャンル」という扱いなのであった。

 のちの、ミレニアムや令和の時代には考えられないことではあるけれど。

 まだインターネットが普及しておらず、テレビ、新聞・書籍の影響力が絶大だったという事情も、関係していよう。

 見方によっては、このころの人々は、素朴でロマンチックだったのかもしれない。


 いずれにせよ、以上のようなわけで、超能力とか、霊的なものを匂わせるのは危険であった。

 宝くじは、とりあえず一枚のみ引き換えた方が無難だ。マサトは、そう結論づけた。


(別に、鈴坂すずさか家がお金に困ってるわけではないのだし、たとえ十八万円を捨てることになろうとも、ここは、安全な学生生活の方を取ろう)


 それに、当せん金の引き換え期限は、丸一年あるのだ。

 いずれ、当たりくじの有効な使い道を何か思いつくかもしれない。焦る必要はなかろう。

【続く】


作者も、受験勉強で進路を選ぶ際に、「仮に1999年に戦争が起きたら、文系よりも理系の方が、徴兵は後回しで済むかなあ」などと、頭の片隅でちょっとだけ思ってましたからね。


あの時代の独特の空気感は、今のお若い方々には、うまく伝わりにくいものがあります。


当時、サブカルや創作物をたしなんでいた子供、若者が、ノストラダムスを避けて通ることは、ほぼ不可能だったのではないでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ