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今の生活に不満はないのに タイムリープしろと君は言う  作者: KIZOOS
第二章 タイムリープ初日【マサト15歳・西暦199X年4月某日】
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41 ショッピングセンター・約束二つ

 ケイコの所属する陸上部は、午後四時半に上がれるということなので、待ち合わせは五時に決まった。

 場所は、中学校付近、坂を下った先のショッピングセンター。そこのスーパーマーケット前。今朝、登校途中で妹のアイリと別れた、例の地点である。


(スゲエな。放課後に女の子と待ち合わせなんて、生まれて初めてだ!)

 大げさに言えば、人生初デートかもしれない。

 タイムリープ前、マサトには恋人がいたことはないし、婚活中も、二回目のデートまで行ったことは、ほとんどなかったからだ。


(意外と、リープ初日から、随分飛ばしてるなあ、僕)

 興奮しつつ、マサトも部活へ。放送部。帰りが遅くなることは少ない。

 体育祭や文化祭の期間以外は、暇なのである。顧問も、部活には余り参加せず、生徒任せ。

 放送室を「根城」に、だらだら遊んでサボっているだけ、と言ったら語弊があるけれど、実態はそれに近い。


 放送室へ軽く顔を出すと、高屋たかやや後輩たちと少し雑談しただけで、マサトは早々に帰った。

 まだタイムリープ初日でもあり、余り長居をしてボロを出したくない、という事情もあった。

 なお、三年生の放送部員は五人。全員男子。B組はマサトのみである。


 下校する。午後四時前だ。

 昇降口を抜けると、右側にグラウンド。駐車場を隔てた向こうなので、誰が何をしているのかまでは見えない。野球部だろうか、「しまって行こー!」「バッチコーイ!」などと、盛んに声を上げている男子たち。


 正門を出て、戸建てに挟まれた道を抜け、坂を歩いて下る。外はまだまだ明るく、陽も高めだ。

 ジャージ姿の一団が、ジョギングで追い抜いていく。男子が多いようだ。どこの運動部だろうか、やはり、走りながら声を上げている。

 先頭が、

「アー、レイッ」

 後続の者が声をそろえて、

「ウェッソ、ウェッソ、ウェッソレイ!」

 彼らを見送りながら、マサトは密かに吹き出す。

(結局、あれって、何て言ってるのかな? タイムリープしても、未だに分からない僕……)

 「一回目」の中学校生活から、謎だったのだ。まあ、わざわざ確かめるほどには、興味ないけれど。


 ショッピングセンターへ。

 まず、小さな郵便局がある。その横を左折した奥、右手に商店街。長屋のような造りで、簡易な屋根付き、二階エリアもある。結構、騒がしい。

 目につくのは、さまざまな体格の小学生たち。何人かで固まって、「ガチャガチャ」と呼ばれる玩具自販機の前にたむろしたり、階段に座り込んだり。バギーを押した、若い母親たちも目立つ。

(このころは、あんまり少子化も進んでなかったんだな)

 むしろ、老人が見当たらない。


 商店街の向かいが、大きめのスーパーマーケット、「イェッキス」である。英語ロゴの、巨大な丸看板。

(うっわあ、懐かしいなあー)

 見上げて、ちょっと涙ぐみそうになる。「あと十年」ほどでつぶれ、「その後」は、老人施設に変わることとなるのだ。

 広さは、コンビニ三軒分くらいか。建物は、大きくコの字を描いている。平屋だが、屋根は高く、吹き抜け状の箇所もある。

(今、四時過ぎか。まだ随分早いけど、先にアイリの生理ナプキンを買わなきゃだしな)

 丸く平べったいドアノブを手で押して、スーパーの中へ入る。


 生理用品の売り場へ行くと、

「ありゃ、結構、種類あるな」

 夜用、多い日用、お徳用……。どうやら、初潮や子供用に特化した物は、ないらしい。

 中には、生理ではなく、普段使いの製品もあり、

(何これ? いわゆる、おりものってやつか? 代用も出来るのかな?)

 全然、区別がつかぬ。

 どれを買えばいいのか分からず、近くの女店員に声をかける。二十代後半か。縦じまの制服姿。

「済みません」

「ん? 何かな?」

 いきなりの「タメ口」に、一瞬カチンと来たが、今、自分の外見は中学生の少年であることを思い出す。

「生理用品を探してるんですよ。親類の小学生に、初めての生理が来まして。生理になりたて、初心者向けのナプキンって、どの辺の奴がいいでしょうか?」

 「一回目」のリアル中学時代だったら、恥ずかしくてとても聞けなかったはずだ。


 店員も、少年らしからぬマサトのしっかりした口調に、驚きの色を見せたが、すぐ、

「それなら、これかな」

 と、教えてくれた。

「ありがとうございます」

「偉いね。頑張ってね、お兄ちゃん」

 女性店員はにっこりした。ほほえましいものを眺める眼差しで。

 内心、

(うっせえわ。妹とは言ってねえだろ。人のプライバシーに立ち入るんじゃねえや)

 と毒づいたが、

「恐れ入ります。お世話さまでした」

 バカ丁寧に、サラリーマン流のお礼をかましてやった。

 一瞬だが、店員の笑顔がひきつる。マサトは、「フン」と、小さく鼻を鳴らす。


(まあ、プライバシー意識も、僕がいた二十一世紀・令和とは違うのだしな。逆に言えば、このころはまだ、おせっかいな人がいっぱいいて、他人に干渉してたんだなあ)

 考えようによっては、古き良き時代、ということなのかもしれない。

【続く】


中学校時代、自分は何時頃に帰宅してたんだろう。もちろん忘れちゃいました。日記などもなく。


でも、ネットでいろいろ調べていたら、当時、「鳥人戦隊ジェットマン」を17時30分から放映していたことが判明。

毎週、学校から帰って、家のテレビで見てたので(中学生としては子供っぽいため、クラスメイトからはバカにされたものだけど、結構、大人向けのストーリーでした)、大いに参考となり。


あの頃、ジェットマンを見るために急いで帰ったという記憶はないので(笑)、17時半には余裕で帰宅できていたわけですね。


ということで、ケイコとの待ち合わせは17時となったのでした。


もし、真っ暗だったら雰囲気が出ないので、5月初め前後の日没時刻も、国立天文台のサイトで調べて。

幸い、この季節の17時は、まだ十分に明るいようでした。

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