表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今の生活に不満はないのに タイムリープしろと君は言う  作者: KIZOOS
第二章 タイムリープ初日【マサト15歳・西暦199X年4月某日】
36/67

36 鈴坂くん、鈴坂くん

 結局、溝岩みぞいわは、それ以上、何も言い返してこなかった。

 マサトにギロリと一べつをくれただけで、わきを通り、職員室を出ていった。

 溝岩の腕には、既に教科書や名簿が抱えられており、一時限目の授業の準備があるのだろう。


 横目で見送りつつ、マサトは思う。

(まあ、放送部顧問の佐倉さくら先生とも話が付いてる以上、部外者の溝岩が口出しするスジじゃないもんな。で、しかも、授業の用意もあるし、僕に構ってる暇もないわなあ)

 無論、あらかじめ、そこまで計算した上での、今の言動であった。

 マサトの「中身」は中年男性である。タヌキっぷりでも、溝岩を上回るだろう。


 マサトも、三年B組の教室へ戻る。

 廊下では、生徒や教師と何人もすれ違ったが、さっきの放送についてコメントしてくる者は特にいなかった。


 皆、掃除の後片付けや授業の準備で、忙しいという事情はあろう。ただ、それを差し引いても、

(ま、たかがアナウンスを途中で交代したってだけのことだからな。もともと、それほど大ごとでもなかったんだよなー)

 というのが実態に近いと思われた。

 ただ、顧問として佐倉が、それと、生徒指導熱心な「うるさ型」として溝岩が、あえて苦言をていしてきたにすぎない。


 まあ、それにだ。

(放送部のことになんか、誰も興味ねえよな)

 そもそも論として、これがあった。

 この気持ちは、マイナーな文化系の部活動を経験した者なら、きっと誰もが分かるはずだ。


 いや。ところが。

 意外なところに、例外がもう一人いた。


鈴坂すずさかくん、鈴坂すずさかくん! さっきの放送、面白かったよー」

 三年B組付近まで来た時、廊下でマサトを呼び止める女子生徒がいたのである。

 立ち止まって振り向くと、すらりとした女の子が一人。


「……」

 中学の女子制服は、上下紺色のセーラー服。上着は、布地がブカブカめ。スカート丈も、膝より下で、長めだ。つまり、体の線や肌は、余り見えない。

 義務教育用の制服としては、まあ健全だと言える。


 しかし、だ。

 そのような「厚め」の制服越しでも、その少女のスタイルの良さは、はっきりと分かった。

 髪型も、中学生女子にしては、周りよりひと手間多く掛けている感じだ。


 ゆるめに結んだ三つ編み。それを、ポニーテールにしている。毛先が、やや外側に跳ねているのも、多分わざとであろう。

 わざとといえば、頭のトップには、髪の毛にきれいな立体感もあり、サイドまで段々ができている。こちらも、恐らくは、ちゃんと計算して整髪している感じなのだ。凝っている。


 しかも、顔が、その髪型に負けていない。すなわち、美しい顔立ちなのだった。

 小顔で、程良くとがったあご。目も、大きいだけでなく、やや横へと鋭く伸びている。きつくない程度に、切れ長なのである。まつ毛も長く、しっかり「女の子仕様」だった。


「――」

 感激で叫び出したい気持ちと、胸が締め付けられる切なさが、一度にあふれ出し、マサトは息をのむ。その音が、はっきり「ハーッ!」とれ出してしまった。


(うわっ! みっともねえな)

 マサトは、「年甲斐もなく」、ほほが熱くなった。まるで、「思春期みたい」ではないか……。


「えっ、どうしたの?」

 マサトの動揺ぶりがおかしかったのか、美少女はフフッと笑った。

 変な表現だが、笑う際の「瞳の細め方」すら完璧だった。絵のうまい少女漫画そのままだ。

(ああ、ああ……。ハナエさん!)

 好きだった憧れの女の子、伊東いとう波苗はなえが、そこに立っていた。

【続く】


「ハナエ」が誰だか分からない新規読者のアナタ! ようこそッ(笑)

第一話を読もうぜ!


「仲良しの女の子だし、実はほんのり異性として意識してもいる。けど、周囲から恋愛枠として見なされるのは屈辱的」みたいな。


今思えば「何様だよお前」な、思春期の自意識。

多分、皆さんにもあったのでは。


「ケイコ」は、その位置付けを代表させた登場人物です。

でも、書いてるうちに、意外と素敵なキャラ造形ができたので、もう、ケイコがヒロインでもいいかなあ、とか迷い始めていたんですけど。


今回、「ハナエ」を描写して、ああやっぱりこっちかなあ、と、引き戻されつつあります。

外見の良さって、残酷なもんですね。


これ、非モテ男性なら(もしかしたら女性も?)、何度か夢想・妄想したことがあると思うんですが。


「学生時代、変に高望みせずに、もし、当時仲良しだったあの子と付き合っていれば、俺にも彼女が出来てたんじゃないか」って、思ったりしませんか。


けど、人間の欲望なんて、そんな甘いものじゃないんだなアと、今話の執筆で、改めて気付かされた次第です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ