表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今の生活に不満はないのに タイムリープしろと君は言う  作者: KIZOOS
第一章 タイムリープ YES or NO【マサト45歳・西暦202X年】
3/67

3 スペック同じじゃ戻ってもむなしい

 一息ついて、マサトは尋ねる。

「今さら確認しますけど、タイムリープしても、何かスペックを新たに追加してくれるわけじゃ、ないんでしょう? イケメンにしてくれるとか、頭を良くしてくれるとか」

 小さな女性は、背中の羽根を揺らしながら苦笑し、

「まあ、はい、そうですね。能力は当時と同じです。新たに加わるのは、リープ前の記憶だけです。リープ先には、メモ類も一切持ち込めません」

「じゃあ、例えば、宝くじの当せん番号も、丸暗記するしかないわけだ。昔の新聞記事を検索すれば、番号自体は調べがつくでしょう。でも、十五歳の頃といえば、自由は制限されてました。行動は親に管理されてたし、未成年だし、賞金を自由に引き換えすることも多分出来ない。十五歳時点で大金を手にしても、メリットってそんなにないでしょうな。しかも、西暦何年の第何回の宝くじか、一回でも間違えちゃったら終わりだし。先に、誰かに買われちゃうかもだし。そもそも、組から番号まで、ぴったり希望通りの番号の宝くじって、買えるんでしたっけ? 不確定要素が多過ぎますよ。こんな、わずかな可能性に賭けて、もう一回青春をやり直せとおっしゃるんですか? 冗談じゃないよ」

 手のひらサイズの女性がうつむいた。気まずい沈黙。


 やがて、女性はおずおずと語り出す。

「――でも、マサトさんは、青春に強い未練をお持ちですよね? その強烈な波動が、魔法の世界まで届いたからこそ、こうして私がつかわされたわけです」

「波動って……。そんなに強かったですか?」

「ええ、かなり。ですから、タイムリープさせて差し上げようと決めたのです」

 マサトは苦笑し、

「何でそうなるの。話がでかくなり過ぎでしょ。そりゃ、自分の人生に心から大満足してるわけじゃないですよ。本音では、もっと光り輝いた青春を送りたかった。けど、たとえ戻れたって、恋も夢も、無理そうでしょ? 今、説明したとおりですよ。それに、過去に未練や後悔があることと、今の生活に満足することとは、両立し得ますよ。ほっといてくれ。頼みますから、もう、余計なことはしないでください」

【続く】


次回、ここまで言われて、妖精の返答は果たして。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ