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今の生活に不満はないのに タイムリープしろと君は言う  作者: KIZOOS
第二章 タイムリープ初日【マサト15歳・西暦199X年4月某日】
17/67

17 どうやら味覚はリープ前と変わらずか

 アイリを二階に残し、家の階段を下りるマサト。

 キッチンなどは一階だ。


(朝めしは、それぞれ、勝手に皿に盛って食うスタイルだったよなー)

 冷蔵庫をあけると、大皿やボウルに料理が盛られていた。母が、数日ごとに作り置きしてくれている惣菜そうざいである。

(やっぱりな)

 自分の小皿へ適当に取って、電気がまのご飯と食べる。

(うーむ。味覚は……あんまり変わってないかな)

 十五歳に戻ったら、もっと、多くの食べ物をおいしく感じるかなと思ったけれど、脳に蓄積された記憶が、タイムリープ後も優先されるらしい。

(リープ前は、まずまずの収入の四十代サラリーマンだもんなあ。ある程度、舌は肥えてるわな。さすがに料亭とかに行ったことはなかったけど、寿司、ステーキ、フランス料理のコース、和洋中。大抵のぜいたく料理は、何回か食べたからなあ)

 この分だと、学校給食も、もはや、おいしいとは感じないかもしれない。あの頃は、どのメニューもおいしかったけれど。


 二階の自室へ戻り、着替える。

 そこまでの間に、アイリとも二、三度すれ違った。

 今さっきの件が気まずいのだろう、アイリは目を合わせてこなかった。しかし、落ち着いた態度。ナプキンをあてる作業は、うまくいったようだ。

 アイリも、てきぱきと食事や身支度を済ませていた。


 マサトは、部屋で着替えをする。中学の制服だ。

(おお、この頃には、ブリーフじゃなくて、既にトランクスだったんだな)

 ズボンを履き替えた時に、そう気付く。

(ありゃ? ネクタイがないぞ。――あっ、違う。学ランなんだから、ネクタイは締めないのか)

 つい、サラリーマンの習慣が顔を出す。何せ、十年以上、平日は背広だったのだ。

 詰めえりをカチッと締めると、妙にきつい。

(いや、これは外したままでいいんだったよな)

 首のホックを外す。


「おや……」

 羽織った学ランの、左わき辺りの裏地に、銀色のバッジが付いていた。

(ああ、思い出した!)

 自作した物である。誕生日ケーキに刺さっていた銀色のリボンが、ギラッと光ってカッコよかったので、安全ピンをくっつけたのだ。

 こんな、オリジナルバッジでいきがってたのか。しかも、校則違反で指導されるのが怖くて、上着の裏にこっそり付けるという中途半端っぷり。

(ヘタレが……。まあ、分からなくもねえけどよ)

 ワルぶりたい、しかし、内申書ないしんしょなど、将来のことも心配。十五歳なりに悩んだ上での、地味な妥協点。

(まあ、大人になってからも、似たようなこと、やってたかなあ。背広の胸ポケットに、派手な高級ペンをして自慢したり……)

 フッと笑い、当時の自分がかわいく思え、そのまま付けて行くことにした。

【続く】


たまにコンビニ等で「懐かし学校給食の揚げパンを再現!」とかあったりしますけど、ああいうのって、当時より良い素材と、あか抜けた調理法で作られてる気がするんですよね(笑)。技術も進歩してるわけだし……。


あるいは、わざとマズ目に作ってあったり。「幾ら何でも、ここまでは脂っこくなかっただろ」みたいな(笑)。

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