10 数字選択式宝くじ 札束風呂
それから、スマホを使い、ある銀行のサイトへ、マサトはアクセスした。タイムリープするからには、何か一つぐらい、具体的で有効な情報を得ておきたい。
「へえ、かなり昔の番号まで載ってるもんだなあ」
マサトは感心する。宝くじのページである。過去のデータ一覧。
先ほどの小さな女性の説明によれば、マサトがタイムリープするのは、中学三年の四月下旬のどこかだという。
そこで、その年の五月のところを開く。
(確実に暗記できるのは、せいぜい二つまでだな)
四ケタの数字を二つ、紙に書き取り、語呂合わせを作って暗記した。
簡易宝くじの、過去の当せん番号であった。四つの数字を、好きに組み合わせるというものだ。当せん金は、億ではなく、万単位。宝くじとしては地味な額ではある。ただ、その代わり、未成年でも気軽に買えるのだった。
(まあ、タイムリープ先での、軍資金にはなるだろ。二回分で、合計十万円くらいかな。でも、中学生には上等だろ。好きに使える小遣いが余分にあれば、中学生としちゃ、かなり助かるしな)
もくろみとしては、そういうことであった。
「さてと、まだ他に、やり残したことは……」
何せ、三十年ほど先までの、未来の情報を持ったまま、時代を戻るのだ。
本来であれば、これから数時間かけて、徹夜をしてでも、さらに作戦や対策を練っておく必要があろう。
リープ先へ持ち込めるアイテムは、一切ないという。頼れるのは、記憶のみだ。
卒業アルバム、卒業文集、宝くじ番号。他に、今のうち見ておくべき情報はあるか。
「うーむ……」
部屋を見回す。
宝の山という気がする。インターネットも含めたなら、なおさらだ。
けれど、具体的に何をすればいいのかは、思いつかぬ。じれったい。
(頭のいい奴なら、タイムリープ先で何か大もうけや大成する方法も、今ここで、思いつくんだろうけどなあ)
ふと、マサトの頭に妄想が浮かぶ。それは、札束で満たされたバスタブで、水着姿の美女を何人もはべらせて、ふんぞり返っている自分であった。
(へっ、我ながら、ああ、くだらねえ)
ありがちで貧相な絵に、マサトは自己嫌悪する。
「そりゃ、妖精も来るわ」
自嘲気味に、思わず声に出していた。
【続く】
ちゃんと調べると、ナンバーズ(……であるとは作中で明言してませんけどね、もちろん)も、未成年者が1万円以上の当せん金を受け取る場合は、原則保護者同伴みたいですね。
まあ、その辺は、昔はもう少し緩かったんじゃないかなあとは思ってますけどね。




