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ショートショート8月〜3回目

星空上映会

作者: たかさば

僕が子供の頃、母さんは時々…映画に連れて行ってくれた。


母一人子一人の、貧乏暮らし。

映画館など、行けるわけはない。


そんな僕たちがいつもでかけていた映画館は、近所にあった。


……工場のわきを流れる、川の土手。

天気のいい日の夜、そこに寝転がり、夜空を見上げるのだ。


月が輝き星が瞬く夜空が…スクリーンだった。


心で見る、星空上映会。


想像が広がる、限りなく自由な物語。

創造がかきたてられる、制限のない物語。


母さんは星空上映会で、色んな話を…魅せてくれた。


耳を傾ければ頭の中に情景が浮かび…、壮大なスクリーンに彩りを帯びた物語が流れた。


少女の夢の物語。

少年の友情の物語。

摩訶不思議な世界の冒険譚。

人情味にあふれた温かい物語。

やるせない戦いの記録。

手に汗握る駆け引きの物語。


夜空を見るたびに思い出す、数々の作品。


……母さんと見上げた星空は、少々灯りを背負うようにはなったものの、あの頃見た色と何一つ変わらない。


大人になり、本物の映画館に行き…、いろんな作品を見たけれど。


僕の中に色濃く残っているのは、あの頃に見た……人っ子一人いない暗闇の、星が輝くスクリーンの物語だ。


いつまでも憶えている、あの頃聞いた、物語。


……今、一人で望む、星空上映会。


思い出すだけで、昔を振り返ることができる……僕の、とびきりの宝物。


誰も知らない、僕だけの……宝物。

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