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レトロと想い出

 サニトラの話が決まって、搬入日程なんかを打ち合わせている最中に沙織さんから連絡があったんだ。

 また今度こっちに来る用事があるから、その時に寄るという日程の連絡と共に、しばらくの間、レビンを貸して欲しいというものだった。


 似たようなジャンルの車が2台になってしまった事で、私の生活スタイルも少し変化が出てきて、今は週ごとに乗る車を替える事で自分の中での鮮度を上げていくと共に、車を寝かしておかない事によって調子を崩す事を防止している。


 似てはいるけど、やはりレビンは一クラス下という事もあって遠乗りとかには向かないけど、ハッチバックのボディを活かして荷室は広いため、大物の荷物がある時なんかには重宝していて、ようやく私もこの2台を使い分けられるようになったんだ。

 この2台を使い分けていると、燃費が良いのはレビンの方だけど、朝の上り坂が辛いっていう発見もあって、パワーに関しては、やっぱり圧倒的にシルビアの方が余裕があるっていう発見も改めてあって面白かったんだ。


 そう言えば沙織さんがレビンを借りたい理由についてはメッセージには書いていなかったんだけど、元々コンさんがこのレビンをバラバラな状態から直していった際、沙織さんもその修理を一緒に手伝っていたので、公道を走れるようになったレビンに興味があるんだと思うんだ。

 そう思うと、私は少しでもきれいな状態を見て貰いたくて、レビンを洗車しに向かった。


◇◆◇◆◇


 手土産片手にやって来た沙織さんは、一緒に桃華さんを連れてきた。

 桃華さんに会うのは久しぶりなので、嬉しくなってついつい色々な料理を作りすぎてしまったんだ。

 2人はそれを嬉しそうに食べながら、途中で買ってきた地元産のワインを飲んでいた。

 沙織さんが申し訳なさそうに


 「燈梨があと2年早く生まれていれば、一緒に飲めるんだけどね……」


 と言って、部屋の壁に貼ってあったカレンダーを何気なく見て


 「なに燈梨、この『部車搬入』って? また何か入るの?」


 とある1点に注目してきたので、私はサニトラの搬入について話したんだ。

 すると


 「そんな面白そうな話があったんだったら、ついでに言ってくれれば良かったのに」


 と言って残念そうな表情をするので私は思わず訊いた。


 「何かあるの?」

 「兄貴が最近、サニーを手に入れたから、色々なパーツを手に入れてるのよ。それに……」

 「それに?」


 沙織さんの言葉に私は思わず喰い気味に訊いてしまったところ、沙織さんはちょっと苦笑しながら言った。


 「杏優の奴がね、やってるのよ。サニトラのチューンを」

 「ええーーーー!?」


 私は驚いて思わず大声が出ちゃったんだ。

 杏優と言えばFD3S型RX-7のイメージしか無く、他の車に浮気をするようなイメージは無かったので、RX-7とは似ても似つかないサニトラをいじっているという話は驚きでしかなかったんだ。


 沙織さんの話によると、杏優の勤めている市役所の土木課には、誰も使わなくなったサニトラがあって、杏優は新人の頃に先輩の職員からメカの教本代わりに、メカがシンプルなサニトラの修理をさせられたのだそうだ。

 それが面白くなって、色々と修理や整備をしているうちに、サニトラはいつの間にか杏優の業務用車として共に過ごすようになり、そしてある年の春、規定年数オーバーのために廃車になるのを機に、杏優はそのサニトラを払い下げて貰ったのだそうだ。


 「あぁ、あゆちんのあのボンネットトラックの事? あれサニトラって言うんだね」


 ほんのりと顔を赤くした桃華さんは言った。

 以前から、ボランティア活動で杏優と顔見知りだった桃華さんは、当初はその活動に来る際に杏優が乗っていたサニトラの事をよく覚えており、その時の印象を話してくれたんだ。


 「なんか色々古臭いから、『なんか昭和レトロな車だね』ってあゆちんに言ったら、『失礼ね! 平成4年式よ』って言うんだもん……マジウケたんだ」


 杏優が乗ってきたサニトラは、その年式から最終モデルに近いものだという事が分かったんだけど、それにしても相当物持ちが良いなぁ……と思っていたら、桃華さんが続けて言った。


 「あの市って、よっぽど財政が苦しいのかと思ったら、ああいう背の低いトラックが無くなっちゃったから、買い替えられなくなって残ってたんだって」


 桃華さんの話によると、確かに背の低い場所でのゴミ拾いや雑草の伐採の際にはあのサニトラが威力を発揮するのだそうだ。

 今使っているタウンエースのトラックでは、同じ場所まで入れずに、杏優の後任の担当者は既にタウンエースの屋根を4回枝や建物の天井にぶつけたり擦ったりしてしまい、ボコボコで乗っていたのだけど、遂にガラスを割ってしまい、修理に出すハメになったそうだ……。


 「あのトラック、私は好きだったんだよ。ドアミラーじゃなくて、ラジオもAMしか聴けなかったけどさ……」


 遠い目をして懐かしむ桃華さんの姿が印象的だったんだ……。

 その姿を見て、私は決意したんだ。



  

 お読み頂きありがとうございます。


 『続きが気になるっ!』『一体何を決意したの?』など、少しでも『!』と思いましたら

 【評価、ブックマーク】頂けますと、大変嬉しく思います。

 よろしくお願いします。

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