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女子高生が『車部中』になっていく話  作者: メダリスト爺
書無し車登録にチャレンジ編
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意外な雲行き

 七海ちゃんの免許問題が手詰まりになっているそんなある日、部に舞華ちゃんと柚月ちゃんがやって来たんだ。


 「ゴメンねー! 柚月の奴が忘れ物しちゃったみたいでさー。代わりにここにある柚月のパンツをバーベキューにしちゃって良いからさ……」


 と薄黄色のパンツを陽菜ちゃんに手渡して言ったんだ。


 「やめろー!」

 「うるさい柚月、さっさと探せ!」


 舞華ちゃんに蹴飛ばされて転んだ柚月ちゃんのスカートの中が丸見えになったけど……やっぱり本当だったんだね……履いてなかったよ……。


 「あと2分以内に見つけられなかったら、柚月のパンツはバーベキューだからなー」


 と言った舞華ちゃんは、ガレージの隅にあった棒に柚月ちゃんのパンツを串刺しにすると、これまたガレージの隅にあった七輪を持ってきて、火をつけたんだ。


 「ホラななみん……もとい、アマゾン! この柚月のシンボルを燃やしちゃうんだよぉ!」


 と言って、舞華ちゃんが七海ちゃんに柚月ちゃんのパンツが刺さっている棒を渡そうとすると


 「え……えぇ……分かりました……」


 と暗い目をした七海ちゃんが答えたんだ。

 すると、その様子を見た舞華ちゃんが


 「ななみんさ! 何か他の娘とトラブってるだろっ!」


 と、突然鋭い声で言ったんだ。

 すると、ガレージの隅の方で舞華ちゃん率いる若菜ちゃん達2年生にもみくちゃにされてヒーヒー言ってた柚月ちゃんがすっくと立ちあがると


 「七海ぃ! ちょっと来なっ!」


 と言うと、七海ちゃんの襟首を掴んで塗装ブースの中へと消えていったんだ。


 「あぁ……マジのズッキー先輩になっちゃったよぉ……」


 陽菜ちゃんが恐ろしそうな表情で言ったんだけど、私にはあの柚月ちゃんがどう豹変するのかが全く分からないから、よく分からないまま見守るしかできなかったんだ。

 すると


 「さぁて、ところでななみんに何があったのか、聞かせて貰おうかなぁ」


 と舞華ちゃんが言ったので、私と沙綾ちゃんでこれまでの経緯を話したんだ。


 「なるほどね……ななみんの奴は、みんなに隠れて一発試験を受けに行ったら失敗して、それで荒れてるのかぁ……」


 結構かいつまんではいるけど、舞華ちゃんの認識は概ねあっていたので、私たちは補足だけをして情報共有はできたんだ。


 「さて、それじゃぁどの程度のものなのか実際の運転を見せて貰おうかな? オイ、炭パン柚月、行け!」


 舞華ちゃんが言うと、スカートの前を抑えた柚月ちゃんが


 「うるさいやい~! 早くパンツ返せよ~!」


 と喚き散らしていた。


 「イヤだもん。今からバーベキューにして、真っ黒こげにしてやるんだもんね」


 と舞華ちゃんが挑発して柚月ちゃんといつものような寸劇チックな展開がしばらく続いたんだ。


 それがひと段落ついたところで、七海ちゃんと舞華ちゃん、柚月ちゃんの3人が乗った状態で教習車は走り出したんだ。


 「あんな緊張するメンツの同乗教習なんて、マジやりたくないわ……ナミご愁傷様」


 沙綾ちゃんが呟いたんだけど、私にはそこのところがよく分からなかった。

 ちなみに、私は何度も舞華ちゃん、柚月ちゃんのメンバーでドライブに行ったりしたよ。


 その事について言うと


 「燈梨さんは、マイ先輩たちとは先輩後輩じゃなくて、友達の関係じゃないですか! それに、同乗教習じゃなくてドライブでしょ? 緊張感のレベルが違いますっ!」


 と、沙綾ちゃんに力説されてしまったんだ。

 みんなとはそんなに立場が違うつもりなんてないんだけど、この件に関する認識の大きなズレを見ると、私の感覚にちょっとおかしなところがあるんだろうね……。


 私たちの作った教習コースを何周かしたところで、不意に教習車のタイヤから土煙が上がって、車が止まった……恐らく、舞華ちゃんが補助ブレーキを踏んだんだね。


 すると、助手席のドアが開いて舞華ちゃんが降りてくると、運転席に向かって


 「そんなに言うんだったら、しばらく柚月とドライブでもしてなよっ!」


 と言ってこちらにつかつかと歩いてきたんだ。


 私は何がどうなっているのか分からずに舞華ちゃんを見ると


 「もうななみんはダメだね! 頑固者すぎだよ。私が優しく教えても車のせいにしようとするからさ、頭来ちゃったから、柚月に任せてきた。鉄拳でビシバシ運転教えて貰いなよ」


 と言ったので、七海ちゃんは相も変わらずの状況だったようだ。

 その後は、柚月ちゃんの厳しい特訓が始まったんだけど、やっぱり補助ブレーキの嵐だっていう事は変わらなかったんだ。


 そして、更に数周して降りてきた柚月ちゃんが舞華ちゃんと一言二言言葉を交わしていたんだ。


 「マイ~、ななみんは頑固なんだよ~」

 「それが分かってての私らでしょ? 特に柚月は愛弟子なんだからどうにかしなさいよ」

 「限度があるよ~」

 「そうやって投げ出しちゃったら、何が柚月に残るっての? 身も心も無くなっちゃって、残るのは焦げたパンツだけじゃん」

 「うるさいやい~! パンツ焦がしたのはマイだろ~!」


 そんないつものやり取りの中からも分かるのは、この2人ですらも苛立たせてしまうほどの七海ちゃんの態度なんだ。

 一体、どこからそんな自信が溢れてくるのか不思議なんだけど、とにかく、ここまで来たら私たちは決断するしかないんだよね。

 もう、七海ちゃんの免許取得問題からは手を引くって。



 

 お読み頂きありがとうございます。


 『続きが気になるっ!』『そんな冷たい決断で本当に良いの?』など、少しでも『!』と思いましたら

 【評価、ブックマーク】頂けますと、大変嬉しく思います。

 よろしくお願いします。

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