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女子高生が『車部中』になっていく話  作者: メダリスト爺
書無し車登録にチャレンジ編
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総菜と写真

 バイトが終わってお店を出た時、結構な時間になっていた。

 繁忙時間帯に欠員が出ると本当に大変な上に、店長がまだ業務に不慣れで事務処理なんかが追いついていないために、私が手伝っていくハメになったんだ……。


 今日は夕飯作ってる時間も気力も無いからお弁当かお総菜を買って済ませちゃおうと思って、食品のフロアに下りてそこら辺のコーナーをうろうろしてみたんだ。

 ウチの学校はアパートを斡旋していて、私をはじめとした1人暮らしの学生も多いんだけど、さすがにこの時間のイアンモールの食品フロアを制服姿でうろつく生徒は珍しくて、すれ違う買い物客から投げかけられる視線が時たま痛かったんだ……。

 

 遅い時間だとロクなお弁当やお総菜が残っていないんだけど、今日はラッキーな事にまともなお弁当を見つけることが出来たので買ってから駐車場へと戻ったんだけど、通路の途中で見覚えのある後ろ姿を見たんだよ。


 あれ、七海ちゃんだよね?

 明らかにあの髪型と言い、あの歩き方と言い七海ちゃんの特徴と一致するし、昼間、私が気付いたブレザーについた大きな皺も同一なので、七海ちゃんに間違いないと思うんだよ。


 でも、こんな時間のイアンモールの、しかも駐車場に、制服着て一体何の用なんだろう?

 そんな私の脳裏に、この間の莉緒ちゃんの姿がフラッシュバックしてきたんだ。


 まさか、七海ちゃんも誰かからひそかに車を譲り受けて、ここで試乗しようとしているんじゃないか? という疑念が浮かんできたんだ。

 しかし同時に私は気がついた事があったんだ。


 「七海ちゃん……免許持ってないよ」


 思わず小声で呟いてしまったけどその通りで、七海ちゃんはまだ免許を持っていないどころか、教習所にも通っていないので、仮免すら持っていないはずだ。

 ……となると、私の頭には最悪の言葉が浮かんできてしまったんだ。


 「まさか……無免許運転!?」


 七海ちゃんったら、莉緒ちゃんに対抗心を燃やしていたから、免許の前に車を手に入れて、取得と同時に乗りつけてやろうと目論んで先に入手してしまったんだ!

 確か七海ちゃんって、畑でお爺ちゃんの軽トラックを運転してたって言ってたし、部でも練習走行を相当やっているから、普通に走らせる事は問題なくできるはずなんだ。


 でも、だからっていくら私有地内って言っても、公共の場所であるイアンモールの駐車場でそんな事させちゃったことが公になりでもしたら、大変な事になっちゃうよ。


 私はドンドンと最悪の方向へと進んでいってしまう思考を落ち着けるために自販機で紅茶を買って一口飲みながら、前を歩く七海ちゃんをじっと観察していた。


 頭を落ち着けて考えた結果、まずは現場を抑える事にしようという結論になったんだ。

 そう、きっと七海ちゃんは家の人と一緒にイアンモールに来ていて、きっと家の車が駐車場に止まっているんだよ。


 そう言い聞かせていた時、携帯に電話が入って、その人影はこちらに振り返りながら通話を始めたんだ。

 慌てて自販機の陰に身を隠してそっちの方を恐る恐る見ると、それは紛れもなく七海ちゃんだった。


 そして、ちょっとだけ聞こえてきた会話の内容から、相手はお母さんで、どうやら買い物を頼む内容のようだ……あれ? そしたら、七海ちゃんは家の車で来ていないんじゃない?

 更にダメを押すような内容の会話が聞こえてきた。


 「何言ってるの? そんなに買ってもバイクなんだから載せられないでしょ!」


 これで七海ちゃんは家の車で来ていない事がハッキリしちゃったね。

 そして、これでまた疑問と疑念は深まったんだ。

 バイクが置いてある駐輪場ではなく、わざわざ離れた駐車場に一体何の用事なんだろう? という事なんだ。


 私は思わず背後から七海ちゃんを取り押さえたくなる衝動を抑えながら、その様子を見ていたんだけど、何やら七海ちゃんは自分のスマホで、自分を映して見ているように私には見えるんだよ。

 一体こんな何もないところで何をバックに自撮りしようとしてるんだろうね? と思って見ていたんだけど、どうも画像を撮影はしないで、スマホに映った自分の姿の寝癖や襟元の乱れなんかを直しているみたいに見えるんだ。


 そして、それがしばらく続いた後で、七海ちゃんは意を決したようにベンチから立ち上がると、すぐ脇にあった証明写真機に入って行ったんだ。

 

 しばらくして、何度もやり直しをした挙句に撮った写真を手にした七海ちゃんが、その写真を見て浮かないような表情のまま、駐車場ではなく元来た方へと戻っていくのを私は見送ったんだ。

 一体、なんで写真を撮りに来たんだろう? 


◇◆◇◆◇


 翌日の学校で昨日の出来事をみんなに話したんだ。

 

 「それって、パスポート取るんじゃないんですか?」


 その話を聞いた真由ちゃんが言った。


 「ええっ!? それじゃぁ七海ちゃんは外国に行くってこと?」


 私が言うと


 「アマゾンに帰るんじゃないんですか?」


 志帆ちゃんまでそんな事を言ったんだ。


 それじゃぁ、本当にアマゾンの最終回じゃない。

 それは嘘だとしても、ホントにパスポート取るのかなぁ? でも、別に七海ちゃんに留学の話なんて出てないんだけどなぁ……。




 




 お読み頂きありがとうございます。


 『続きが気になるっ!』『七海は本当にアマゾンに帰るの?』など、少しでも『!』と思いましたら

 【評価、ブックマーク】頂けますと、大変嬉しく思います。

 よろしくお願いします。

 

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