ポンズ王国軍事特別功労者は国外追放者
どうもっ!! 皆さんっ!!
己の肉体っ! 鍛えてますかっ!?
私はポンズ王国に仕えていた元兵士であり、武道家のヤマナカ=マッスルですっ!
前作ではノンスタンスの起こした反乱を鎮圧するために、ゴリラ隊長やハリガネ軍曹と共に部隊で奮闘しておりましたっ!
そして、今回も御両人と共に戦いに同行するわけなんですねっ!
え?? 何でそんな過酷な道を進むのかって??
う~ん、一言で言えば本能ですかね~!
登山家が山を登る理由において、そこに山があるからというように...。
武闘家である私もそこに戦いがあるから参加させていただいた...。
そんな感じっすっ!
~元ポンズ王国配下歩兵隊兵士マッスルジャスティス道場師範、ヤマナカ=マッスル~
遂に王国から追放され、大型魔獣“アルマンダイト”討伐のためパルメザンチーズ山脈方面へ向かう事となったハリガネ。
そんな境遇に置かれたハリガネに、王国兵士時代の上官であるゴリラ隊長と部下のヤマナカが“アルマンダイト”の討伐に加わった。
討伐ターゲットである凶暴な竜族魔獣“アルマンダイト”に対しハリガネ達は総数三人。
人数的に不利な状況は依然として変わらないものの、潜在能力の高い二人が味方となり総戦力が格段に高くなった。
そんなハリガネ一行は“アルマンダイト”が生息しているパルメザンチーズ山脈を目指すべく荒野を歩いていた。
「お~、煙草が二カートンもありますね~。隊長、これは基地にいる兵士に手配してもらったやつですか? 」。
ハリガネは歩きつつ荷車の横から積まれている荷物の確認をしていた。
「おう、しばらくは煙草に困らないな。それよか、お前しっかりと周りを警戒しておけよ。辺りは障害物の少ない荒野なんだから、三六〇度どの方向からでも襲撃されてもおかしくないんだからな」。
ゴリラ隊長はヤマナカの牽く荷車の後方で、辺りを見回しながらハリガネに周囲の警戒を促した。
「了解っす。え~と、捕獲用のロープにトラップ...あ、テントまで手配してくれたんだ。マットレスとかの寝具はミイラ隊長とカッパ副隊長だな。...あっ! ハッカキャンディーがこんなにたくさんっ!! 」。
ハリガネが積んである木箱を取り出して蓋を開けると、紙に包まれているハッカ飴が大量に入っていた。
「お前の同期だった王国本部職員からの餞別なんじゃないか? 他にも携帯食や水も用意してくれたようだな。お前が軍から離れて随分と年月が経っているが、持つべきものはやはり友と部下だな~」。
「そうですね、感謝しないと。身に着けてる武具も道具屋の息子が僕の友人なので、手配とか...ん?? 」。
ハリガネは怪訝な面持ちで荷車から黒い木箱を取り出した。
その木箱を開けると、紅色のリボンと金色の小さな円形メダルで制作された勲章が入っていた。
そして、そのメダルには交差された剣と銃と竜魔族が描かれたポンズ軍の紋章が刻印されていた。
「どうした? 」。
「これ、何ですか? 」。
ハリガネは箱から勲章を取り出し、ゴリラ隊長にそれを見せて問いかけた。
「ああ、軍事特別功労勲章らしい。俺もお前も戦中期は王国下の兵士として尽力したからな。王国に貢献したため軍の方から差し上げます...だとよ。国から出る際に兵士からそう言われて受け取った。お前の分もあるぞ」。
ゴリラ隊長は不機嫌そうにフンッと鼻を鳴らし、ぶっきらぼうにそう答えた。
「いやいやっ!! 滅茶苦茶邪魔じゃないですかぁ~!! 勲章なんて今後何の役にも立たないでしょうし~!! 」。
ハリガネは、ばつが悪い顔をしながら勲章を箱の中に戻した。
「あくまでも形式に基づいて授与されたものに過ぎないから、一応は貰っておけ。それに、勲章裏に名前が刻印されてるから身に着けておけば白骨化してもすぐに身元も判明するだろうし、すぐに墓へ入れてくれるかもしれんぞ? ...とはいえ、お前は自分の墓なんか購入してないだろうから軍事施設へ納骨される事になるんじゃないか? 身元もいないわけだし。そういう俺も自分の墓なんか持っていないわけなんだがな」。
「あ、墓で思い出しました」。
「ん? 」。
ハリガネはゴリラ隊長にユズポン大聖堂であった事を話した。
「アッハッハッハ~!! 」。
ゴリラ隊長はハリガネの話を聞くと、天に向かって高らかに笑い始めた。
「ハッハッハ~! お前の出国が遅いわけだ~! そうかっ! 生前葬か~! サクラダ卿もなかなか粋な事をするな~! 俺も王国から出ていく前にお前の墓を見てみたかったぜ~!! アッハッハッハ~!! 」。
「...」。
ハリガネは不満げな表情を浮かべ、大笑いするゴリラ隊長に対して冷ややかな視線を送っていた。
「まぁ、あれだ!! 良かったじゃねぇかよ!! 入れる墓があってよぉ~!! もしも、その時が来たら俺も一緒に入れてもらうぜ~!! 俺の剣も隣に突き立ててもらってなっ!! アッハッハッハ~!! 」。
「騎士団や教団からもそのような好待遇を受けられるとはっ! さすが軍曹っ! 兵士の鑑でありますっ! 」。
荷車を牽いているヤマナカは感慨深げに何度も頷いていた。
「何が鑑だ。ただ馬鹿にされてるだけだっつーの」。
「貴族で騎士団長のサクラダ卿が、下士官のお前を馬鹿にするためにわざわざ地下施設を改修したって言うのか? 」。
ゴリラ隊長はムスッとした表情のハリガネに苦笑しつつそう問いかけた。
「お互い立場が違えど、そういう馬鹿げた事も俺に対して全力でしてくるような男です」。
ハリガネはそう答えて溜息をついた。
「ハッハッハ~!! 人の善意は素直に受け取れ...ん? 」。
ゴリラ隊長が話の途中で、不意に後方のポンズ王国方向に視線を向けた。
ハリガネとヤマナカがゴリラ隊長の視線を辿ると、ポンズ王国方向から宙に浮いている物体が急接近してくる。
「敵襲ッッッ!!! 」。
ゴリラ隊長が間髪入れずにそう叫んでライフルを構えながら、目を凝らして迫ってくる物体を睨んだ。
「...ッッ!? 鎧を着用した兵士らしき二名が空飛ぶ絨毯に乗って接近してきますッッ!! 」。
ヤマナカも携えているライフルの銃口を接近してくる人間達に向けながらそう叫んだ。
「警戒しろッッ!! 魔法を使う賊人かもしれないぞッッ!! 」。
ハリガネもライフルを構え、そう叫んでゴリラ隊長とヤマナカに警戒を促しながら接近してくるその二人を様子を観察していた。
「ち、違うんですぅ~!! 」。
「待ってくれぇ~!! 俺達は敵じゃないんだぁ~!! 」。
空飛ぶ絨毯に乗って接近してくるその二人は、そう声を張り上げながら両手を挙げてハリガネ達に敵意が無い事を必死で伝えていた。
「お前等二人ッ!! 今すぐ絨毯から降りて被ってる兜を取れッッ!! 話はそれからだッッ!! 」。
ゴリラ隊長は厳かな表情で、その二人に浮遊する絨毯から降りるよう促した。
「わ、分かったってっ!! ちょっと待ってよっ!! 」。
一人の男がハリガネ達をなだめるようにそう言うと、潔く着用していた兜を外してその顔を露わにした。
「あ、貴方はっっ...!! 」。
その男の正体を知ると、ゴリラ隊長は一気に顔面蒼白となってしまった。
「な...っっ!? 」。
その男の素顔を見たハリガネとヤマナカも、その時ばかりは愕然とせざるを得なかった。




