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破離刃離☆勇者ハリガネⅡ~王国に仕える兵士として生きてきた戦士の俺、何故か王国の反逆者に...~  作者: 田宮 謙二


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何だかんだでバルサミコス市へ到着


やぁ! みんな!


ようやく、本編に登場できたよ~!


やったね!


でも、この後の登場はなさそうだね~。


それどころか、次作の出番もなさそうなんだよね~。


だったら、もうここを占領するしかないよね~。


ただ、話すネタをずっと考えないといけないから、それはそれで辛いんだけどね~。



~道具屋“オードリー”の従業員、ハリガネの友人ミドル=ヘップバーン~





「が、“ガレージの乱”における混乱の最中…。わ、我が王国軍が誇る騎士団...。だ、第四代目サクラダ子爵カノー=サンジンジャ三九世が率いる“AT05”...。コ、コメズ市内の高級レストランで女給じょきゅうを口説く...。と、問われる騎士団の存在...。き、貴族の平和ボケ深刻化...」。


バルサミコス市へ向かう道中、顔面蒼白のカノーは魔法で黄色く光るディスプレイを表示させていた。


そのディスプレイには週刊誌の記事と画像が表示されており、画像にはレストランから複数の女性と外へ出るカノー達の姿が写っていた。


「あ~、バッチリ写ってますね~。“キンヨウビ”の方でもトップ記事になってますね~。お、こっちは“ウーマンヘブン”か~。おぉ~、結構書かれちゃってますね~。報道は容赦ないな~」。


ハリガネはカノーの後ろからディスプレイを覗き込んでいた。


「掲載は一昨日からか...。報道陣攻めになるのは時間の問題だな...。何でこんな事に...」。


カノーは苦悶に満ちた表情で頭を抱えた。


「…」。


他の団員達も思い詰めた様子でうつむいていた。


「あ、僕の記事も掲載されてますね~。“恐戦士二世”本日刑執行、国外追放へ...ん? 」。


ハリガネは怪訝な表情を浮かべながらある記事の見出しに注目した。


「『王国政府、元王国兵士ハリガネ=ポップ受刑者移送のため外出禁止令を発令。国民,外国人居住者は本日一切の外出禁止』...? 何だこれ?? 」。


「え...? ああ、君を目的地に送り届けている間は安全面を考慮し、今日限り国民の外出が禁じられているんだ」。


「安全面...? 」。


「国外追放の刑執行は重罪なのは知っているだろう? 特に罪状が国家反逆罪なら非国民,凶悪なテロリストとして強い非難の的となる。本来なら魔法陣で移動させた方がスムーズに刑が執行できるのだが、以前は反逆者や重罪人の見せしめも刑の一部としても容認されていたから、今の君みたいに姿を晒した状態で場所まで移動させていたのさ~」。


「以前はありましたよね~。市中引き回しでしたっけ? 首に罪状ぶら下げて」。


ハリガネがそう言うと、カノーは頷きながらディスプレイを消した。


「でも、あっただろ~? 特に君の御父上が市中引き回しの途中で民衆から石を投げられて、それで激高した御父上が暴れて大変だったらしいじゃないか~」。


カノーがそう話を振ると、ハリガネはばつが悪い顔をした。


「あ~、ありましたね。僕は敵地へ出征してたんで立ち会いませんでしたがね~。後々、王国にいた当時の仲間から聞いた話によると父が周囲の野次にも激高して暴れ出して、兵士や民衆に危害を与えて負傷者を多数出したとかで大変だったみたいですね~。父の件の後も国外追放になった罪人に対して、民衆が襲撃したりして刑の執行に支障をきたすようになってからは魔法陣を導入したんですよね? 」。


「そうさ、それ以降は魔法陣で移送しようって話になったんだ~。ただ、本部の前でも少し触れたけどパルメザンチーズ山脈方面には凶暴な魔獣が生息していたり山賊の活動区域である事から、バルサミコスの検問所には奴等を都市のユズポンへ侵入させないための対策としてあちら側には魔法陣が設置されていない。だから、直接移動するしか手段が無いんだ。実際、バルサミコスの検問所から出国されるのは王国史上で君が初めてだ」。


「あ、そうだったんですか~」。


「君の父上もバルサミコスの検問所から出国することを要請していたんだが、当時の情勢的にそれが不可能でね~。ただ今回は王様の命令もあって、バルサミコスの検問所へ移送する事ができたってわけさ~。ただ、前例の事件もあったという事で王国側の対応として、今日は外出禁止令を発令したというわけさ~」。


(なるほど...。民衆と受刑者の間でまたトラブルにならないための措置という事か...。道理で街中を通っても見物人が一人もいないわけだ...。あ、だからさっきの兵士達はゴダイさんとミドルを追っかけてたのか~。そう考えると、こんな中でわざわざ顔出してくれたなんて申し訳なかったな~)。


ハリガネはそう思いつつ、目の前に広がる街中の建物を見渡していた。


「そうか...。今日、民衆は自宅から出られないのか...。そういえば、至る所から視線を感じますね~」。


ハリガネがそう言うと、カノーは肩をすくめた。


「見るだけならいいさ~。僕は何事も無く刑をスムーズに執行できればそれでいいよ~。だから、僕が誘導してる間は、くれぐれも暴動を起こさないでくれたまえよ~? 」。


カノーがそう言って後ろを振り向くと、ハリガネはフンッと鼻を鳴らして不快感を露わにした。


「僕はアイツみたいにサイコパスじゃありません」。


「ははは~! まぁ、事がスムーズに進めればそれでいいさ~! ...おっとっ! 」。


カノーが突如“ヒスイ”を停止させた。


「ん...? 」。


ハリガネが正面に視線を向けると、目の前に巨大な石垣の塀と鉄製の門扉が立ちはだかっていた。


その門扉の前には、数十人の兵士達が直立不動で待ち構えていた。


「閣下ッ! お疲れ様ですッ! 」。


数人の兵士達がカノー達の下へ歩み寄ってきた。


「御苦労、諸君。遅くなってすまないね~」。


カノーは兵士達にそう答えながら“ヒスイ”から降りた。


「いえッ! とんでもございませんッ! 」。


兵士はカノーに敬礼した後、ハリガネの方に視線を向けた。


「受刑者であるハリボテ=ポップは確かに送り届けたよ」。


カノーもハリガネを一瞥して兵士にそう報告をした。


「はッ! 確認致しましたッ! おいッ! 受刑者を下乗させろッ! 」。


一人の兵士がそう促すと、他の兵士達がハリガネの下馬を手伝った。


その間、カノーや騎士団員達は現地の兵士達と話を交わしていた。


(ここがバルサミコス検問所かな...? この扉を開いた先を行けば、いよいよこの王国ともお別れだな...。遂に、旅立ちの時が来たか...)。


ハリガネはそう思いながら神妙な面持ちで、外に通じる巨大な黒い鉄製の門扉を見つめていた。


(ここまで辿り着くまで色々あったけど、この先には魔獣やら賊人やらが待ち構えてるんだろうな...。久々の国外戦だ...。腕が鳴るな... )。


ハリガネはポキポキと指の関節を鳴らし、自身の体内に宿っている闘争心を静かに燃え上がらせながら笑みを浮かべていた。





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