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破離刃離☆勇者ハリガネⅡ~王国に仕える兵士として生きてきた戦士の俺、何故か王国の反逆者に...~  作者: 田宮 謙二


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“炎の守護神”アルマンダイト=ガーネット


フフフ...。


またまた今回も俺の出番が回ってきたか...。


今回の話はそうだな~。


この間、肩書きの“遊び人”に関して話したね。


“遊び人”の活動としてギャンブラーやパフォーマー、情報屋や万屋よろずやがあると言ったんだけど。


他にも面白い活動として、自分を開祖として新興宗教の活動をしてる人もいるね~。


遊び人はセンスが大事なんだよ。


センスの有無で人生は大きく変わるといっても過言ではないね~。


ちなみにポンズ王国じゃないけど、某王国の王様は遊び人出身なんだよね~。




~軍の関係者? 自称、遊び人ジューン~





「竜族魔獣の“アルマンダイト=ガーネット”か...。全長二十三メートル、高さ七メートルの翼を持つ火竜型の大型魔獣。諸国でも特定凶悪魔獣に指定され、最凶最悪の魔獣として認知されている。特にパルメザンチーズ山脈周囲の魔獣としては最強の戦闘力を誇り、“炎の守護神”という異名をもつ。あの魔獣がいるせいで狩猟士はおろか各国の軍隊も山脈付近には安易に近づけないという」。


ジューンは魔法でディスプレイを表示し、その魔獣に関してのデーターを調べていた。


「“アルマンダイト=ガーネット”か...。あの魔獣にはどの国も泣かされたなぁ~! ちょうど狩猟ブームがあった時は、諸国軍の部隊が狩猟のために各地の山脈や渓谷に派遣されたけど...。あの魔獣がはなぁ...」。


ボックスは苦虫を嚙み潰した様な表情で腕組みをした。


「ポンズ王国もあの魔獣を討伐するために多くの兵士を生息区域に派遣したが、ほとんどの兵士が戻る事はなかった。当時、戦中期のポンズ王国も“アルマンダイト”の討伐に熱を入れていて魔術部隊も派遣したが、生存した兵士はごく僅かだった。唯一、一万人を率いたソルト共和国軍の師団が長期間かけて一頭の討伐に成功したが、それと引き換えに多数の死者を出した。あまりにもその代償が大きかった」。


「ソルト国も戦時中の最中で討伐を実行したから、それも凄いよな」。


ジューンの話を聞いていたハリガネはそう呟いた。


「ソルト国は確かに“アルマンダイト”を討伐する事ができた。ただ、さっきも話したようにソルト国は死者を多く出してしまったせいで、戦力も大分落ち込み周囲の敵国にも襲撃を受けるようになってしまった。そのせいでソルト国は一時的に陥落の危機に陥ってしまい、戦時中の最中魔物狩りを実施した事もあって危機感の無さを露呈してしまい、成果重視ながら自国にとっては無意味な軍事行動だったという批判を受ける結果となってしまった」。


「あの後にソルト国内は当時の大統領や軍の幹部が暗殺されたり、滅茶苦茶やったしなぁ~! しばらく国家の混乱が絶えなかったんよな~。今、考えてもよく他国に征服されなかったなと思うわ~」。


ジューンの話を聞くボックスは、そう言いながら感慨深げに何度も頷いていた。


「ソルト国が崩壊の危機に瀕した出来事は各国にも衝撃を与えた。そして、諸国の軍隊は露骨にパルメザンチーズ山脈を避けるようになった」。


「まぁ、“アルマンダイト”討伐にもちゃんとした理由があるんだよね~」。


ジューンがそう言うと、ハリガネは頷きながら地図を眺めた。


「...“アルマンダイト”の生息地とされているパルメザンチーズ山脈は諸国が隣接している国境山脈だ。つまり、山脈を越えれば敵国の領域に侵攻できる。当時のソルト共和国は諸国の中でも圧倒的な軍事力を誇っており、隣国との戦争に勝利し続け領地を拡大していった」。


「確かに~! 周辺国の中ではソルト国の勢いは凄まじかったからな~! 」。


ボックスは当時の事を思い出しながらハリガネの話を聞いていた。


「それにソルト国は魔術先進国だった事もあって魔術部隊の組織力が絶大だったんだ。パルメザンチーズ山脈越えに位置していたポンズ王国も戦々恐々としてたからな~。いつか、強力な軍事力を持つソルト共和国が山脈越えて王国の方まで侵攻してくるんじゃないかって、まだ兵士だった時は仲間達と基地でよく話してたよ」。


「ほぉ~、やっぱり軍の中でもそういう話はあったんだねぇ~」。


ジューンは顎髭を撫でながら興味深しげな様子でハリガネに相槌を打った。


「今思えば、ソルト国の“アルマンダイト”討伐も軍事力を世界に知らしめるためのパフォーマンス的な要素が強かったかもしれない。それにその勢いでパルメザンチーズ山脈なんか支配でもされたら、もう王国を含めて諸国は手に負えなくなっていただろうしな。そんな魔獣ハンターのバケモノ共が侵攻してきたら、もうたまんないよ」。


「まぁ、そんな部隊が攻めてきたら確かにたまらないよねぇ~」。


ジューンは表情を曇らせながらそう答えた。


「ただ、ソルト国は軍事力を過信していたのか、“アルマンダイト”の潜在能力を過小評価していたのかもしれない。もちろん“アルマンダイト”だけじゃなくて山脈には凶暴な魔獣はたくさんいるわけなんだけど。いや...勿論、一頭討伐するだけでも十分凄いけどさぁ~」。


「軍の士気を鼓舞するために魔獣討伐したのに、結局はダメージ受けた方が大きくて挙句の果てには国民から非難浴びた上に国家も傾きかけるとはな~。本末転倒やな~」。


ボックスがやれやれといった様子で首を横に振った。


「それで、話を“アルマンダイト”に戻すんだけどさ、ハリガネ君は王国を追い出されてパルメザンチーズ山脈へこれから行くわけじゃん? 」。


「...何か、スゲー嫌な言い方」。


ハリガネは不快な様子で目を細め、ジューンを睨んでいた。


「はははっ! まぁまぁ~! だって事実じゃ~ん! それで、“アルマンダイト”の対策はしてるわけ? 」。


ジューンがそう問うと、ハリガネはばつが悪い顔をして自身の頭を掻いた。


「ん~、色々と考えてるけど、まだ漠然としてて有力な手段が思い浮かばない。まず、俺は一人だけで山脈まで向かうわけだし...。そもそも“アルマンダイト”みたいな大型魔獣の討伐なんて、基本的には諸国軍レベルの部隊を編成して実行するものだぞ? つーか、“アルマンダイト”相手を考えるとそれでも足りねぇよ...」。


「ふぅ~ん、それで“アルマンダイト”の特徴とかは掴んでいるのかい? 」。


「う~ん」。


ハリガネはジューンに再び問いかけられると、天井を見上げてしばらく考えた。


「成獣は七メートル超える飛行型の魔獣だし...。何よりも変幻自在に操る炎が厄介だな」。


ハリガネがそう答えると、ジューンは感慨深げに大きく頷いた。


「そうだね、火竜の“アルマンダイト”の覆われている甲殻や鱗は常時発火していてマグマの様に明るい。“アルマンダイト”に直で触れようなら火傷では済まず、残るのは焼き焦がれた肉と白骨のみという惨状が待っていることだろう」。


「口から放たれる火炎と翼をはためかせた時に生じる高温の熱風圧も、人間がまともに受けたら大火傷する事はほぼ確実だ」。


ハリガネは神妙な面持ちでジューンに答えた。


「実際に“アルマンダイト”に遭遇した経験はあるの? 」。


「軍の魔獣討伐作戦に何回か参加した事がある」。


「どうだった? 」。


「え? 」。


「いや、遭遇したんでしょ? じゃあ、戦闘に参加したんじゃないの? 」。


ジューンがそう問うと、ハリガネは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべた。


「アホかっ!! あんなデケェ化け物なんか、まともに相手できるわけないだろっ!! 」。


「そんなにヤバかったんだ...」。


ジューンが更にそう言うと、ハリガネは激しく横を首に振った。


「ヤバいとかそういうレベルじゃねぇよっ!! 目の前で立ち向かっていた兵士達が一気に焼かれたり食われたりしてるんだぞっ!? 俺達も罠張ったり魔術部隊も応戦したり色々やったけどさ、そもそも火力が段違いだし全然歯が立たなかったんだよ」。


「うんうん」。


「それ見て部隊の士気も一気に下がって、最終的に退避していったって事よ。最初の討伐こそ兵士の人数は二千人程いたのに、目に見えて参加人数が減ってきてたからな~」。


「確かポンズ王国は、“アルマンダイト”の討伐に成功した実例は今までないみたいだね」。


ジューンがそう言うとハリガネは何度も頷いた。


「今までの“アルマンダイト”討伐作戦は全て失敗だった。真正面から特攻するなんて論外だし、魔獣の死角から攻め入れるために魔術部隊がいるからこそ部隊配置や戦術により気を配る必要があった。戦場では当たり前の事なんだが、そういった部分では、魔獣という偏見で組織的戦闘を無視して雑な立ち回りが目立ってしまっていた。今考えると、あまりにも愚かだった」。


「ソルト国の経験が王国の部隊では活かされてなかったわけだね? 」。


「ああ、それに“アルマンダイト”の討伐は長期戦を考えた方がいい。罠や遠距離攻撃、劇薬や毒性のある薬品を用いてより戦術的に我慢強く長期を見越して実践していけば、あんなに犠牲者は出す事はなかった。魔術部隊に配属されていた兵士達の特性や使用する魔法も調査して、部隊の編成にもしっかりと気を使うべきだった。力押しで勝てたら苦労はしないよ」。


「なるほどね~。完全にソルト国の二の舞を演じた結果となってしまったわけだ」。


「それに山脈の敵は“アルマンダイト”だけじゃない。山脈に生息している現地の魔獣にも警戒しながら戦闘に専念しなければいけない。ただ、それらに関しての対策をするためには多数の兵士達,高度な魔法や各地エリアに戦闘部隊を複数配置,長期戦を考えた上での安全地帯の確保,有効なトラップ配置,魔獣の食事や睡眠を妨害する行動等といった心理作戦も綿密に立てておかなければならなかった。あとは長期戦になるから部隊の士気の維持も必要になるし。当然、食料の確保も持続的に行わなければいけない。いずれによ、現地でも準備不足でアクシデントが多かったし、俺達が色々と山脈に関して知らな過ぎたな」。


「それでも、ポンズ王国軍は度重なる“アルマンダイト”討伐に失敗した。そういう改善点やソルト共和国の実例といった参考になる点があったにもかかわらず、幾度となく討伐失敗してしまった原因は何だったんだい? 」。


ジューンにそう問いかけたハリガネは、溜息をついて口を開いた。


「まずパルメザンチーズ山脈が敵国の侵攻を防いでくれるメリットがあったにもかかわらず、わざわざ兵を挙げて山脈に突撃していった事自体が悪手だ。実際にソルト国がそれで自滅したわけだし、そもそも当時の戦況を考えると討伐計画なんて立てる必要なかったんだ。そして、ポンズ王国の“アルマンダイト”討伐作戦が“あの事件”の引き金になってしまった」。


うつむき気味にそう答えるハリガネを、二人は黙って見つめていた。




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