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破離刃離☆勇者ハリガネⅡ~王国に仕える兵士として生きてきた戦士の俺、何故か王国の反逆者に...~  作者: 田宮 謙二


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ハリガネ=ポップ受刑者


やぁ! みんな!


今作の出番、本当に無いんだよね~!


さて、今日は何を話そうかね~!


そういえば、この王国には錬金術師っていう職業があるんだ。


金属や特殊な薬品を魔力で融合し、新たな物体にして生み出すのが仕事らしいんだよね~。


でも相当な能力が必要だから魔術師の資格がないと就けない職なんだよね~。


給料も相当いいんだろうな~!




~道具屋“オードリー”の従業員、ハリガネの友人ミドル=ヘップバーン~






運命の軍法会議を終え、ハリガネがユズポン軍事刑務所に戻った時には既に日が暮れていた。


「う~ん」。


刑務所に戻ってきたハリガネは、頭を掻きながら机上に広げた地図と睨めっこしていた。


「おうっ!! 何や何やぁ〜!! 死刑にならずに済んだんかいな〜!! 」。


ボックスは明るい表情を浮かべて室内に入ってきた。


「ええ、お陰様で〜」。


ハリガネは照れ臭そうな様子でボックスにそう答えた。


「いやぁ〜!! 驚いたわぁ~!! 話はさっき同僚から聞いたわ〜!! 良かったやんけ〜!! 死なずに済んだなぁ〜!! 」。


ボックスは満面の笑みを浮かべながらハリガネの肩を叩いた。


「ありがとうございます! ボックスさんはこの時間から出勤ですか? 」。


ハリガネは地図を畳みながらボックスにそう問いかけた。


「せやで〜!! しっかし、自分やりおったなぁ~!! ホンマ奇跡的やわぁ〜!! 」。


バンッ!! バンッ!!


ボックスは声を弾ませながらそう言って、ハリガネの背中を強く叩いた。


「痛いっっ!! 痛いですってっ!! ボックスさんっ!! 」。


ボックスに強く叩かれたハリガネは、苦痛で顔を歪ませながらそう苦言を呈した。


「おお!! スマン!! スマン!! しかし、よく死罪を免れたなぁ~!! 」。


「まぁ~、首の皮一枚繋がっただけですけどね~。現に有罪判決を受けたわけですし。あ~あ、俺も晴れて前科者の仲間入りか~」。


「それなんやけど、自分どないすんねん? 陛下に対して再審査請求するんか? 」。


ボックスがそう問いかけると、ハリガネは首を横に振った。


「いえ、ちょっとそういうわけにもいかない事情があって...」。


「事情? 何や? 」。


ボックスがそう言い返した時...。


パァァァァアアアアアアアアン…ッッ!!


突如、破裂音が室内に響き渡った。


「な、何だっ!? 」。


「な、何やねんっ!? 」。


二人は身構えて辺りを見回していると、何時の間にか壁に光っている黄色い円形の魔法陣が姿を現していた。


「“勇者”君~!! コングラチュレーショ~ン!! 」。


その魔法陣からクラッカーを握っているジューンが現れ、何故かパーティーによく使われる金色の三角帽子を被っており“本日の主役”と書かれたタスキも肩に掛けていた。


「いやぁ~!! これは驚いたっ!! 死刑判決濃厚という圧倒的に不利な状況をまさか覆すとはっ!! いやぁ~!! イッツ!! ミラク~ル! おめでと~!! 」。


ジューンは嬉しそうに被っていた帽子と掛けていたタスキをハリガネに“無理矢理”着用させた。


「...」。


ジューンから祝福を受ける当人のハリガネは露骨に不満げな様子を露わにしていた。


「フンッ!! そいつは、どうも~! あと、ご期待に添えられなくて、すいませんでしたねぇ~! 御両人~! 」。


「...ん? 期待?? 」。


ハリガネが不貞腐れながら吐き捨てたその言葉に、ジューンとボックスは不思議そうにお互いの顔を見合わせていた。


「何しらばっくれてんだよ。昨日、俺の命で楽しそうに有金賭けてたじゃねぇかよ」。


「え...? あっ...!! あぁ~!! 」。


「賭けたっ!! 賭けたわぁ~!! 」。


ハリガネがぶっきらぼうにそう言うと、ジューンとボックスは思い出したように何度も頷いていた。


「当たらなかったけど、ニアピンで俺の勝ちだろぉ~? 彼、死んでないし~! 」。


ジューンは立てた親指を自身の顔に向けて差し、自信満々な表情を浮かべて勝利を主張した。


「何言うてんねんっ!! お互いハズレやっ!! ノーコンッッ!! ノーコンッッ!! ノーコンテストッッ!! 」。


それに対してボックスは不満げな様子で両腕を左右に大きく広げ、ジューンにそう猛抗議をした。


「それで...。今日は何しに来たのさ」。


ハリガネはうんざりしながら帽子を脱いでジューンにそう問いかけた。


「何だぁ~い? その反応はぁ~! もぉ~! つれないなぁ~! 勇者君~! 」。


ジューンはやれやれといった様子で、首を横に振りながら肩をすくめた。


「ようやく軍法会議が終わって疲れてる時に、アンタの顔見たくないんだよね~」。


ハリガネがそう言ってベッドに横たわると、ジューンは露骨に悲しそうな表情を浮かべて自身の顔を両手で覆った。


「しくしく...。僕は勇者君が無罪になって本当に嬉しいから、わざわざ刑務所に潜入してお祝いしに来たのに...グスン」。


「そんなトリッキーな祝い事なんて求めてねぇよっ!! 」。


ハリガネが泣いたふりをするジューンにそう言い返した時、机上に描かれていた魔法陣からトレーに載せられたかつ丼が出てきた。


「あ~! もう飯の時間か...って、あれ?? これ支給してる食事じゃなくて差し入れちゃうか? 」。


「かつ丼の差し入れ...? 」。


ハリガネは眉をひそめ、ベットから起き上がって机の方に近づいた。


トレー上にはかつ丼,お新香,お吸い物,ブラックの缶コーヒー、そして一枚の小さな紙が添えられていた。


ハリガネは添えられている紙を手に取った。


「なになに~? 『命ってのは本当に尊いもんだよね。命って奴ぁ何にも代え難く...。そして、こう...重い。大切なものだ...。“ボス”シャウト=サンより』。なんじゃこりゃあ? 」。


ハリガネがそう言うと、ボックスは文の書かれた紙を後ろから覗き込んだ。


「ユズポン警察署のボスからやないか~! 確か署の取調べはボスが担当しとったな~! 」。


「あれ?? ボックスさんはあの刑事の事を知ってるんですか~? 」。


「おう、知っとるよ~。捜査課のシャウトさんやろ~? あの署の捜査課は結構変わってる人多いからな~。その中でもシャウト刑事は特に有名やで~」。


「手紙といい、かつ丼といい...。何なんだあの人は~? つーか、かつ丼にどんなこだわりがあるんだよっ!! しかも、ブラックコーヒーまで添えてきて、そもそも何なんだよこの手紙はっ!! 」。


「うわぁ~!! またかつ丼~? いいなぁ~!! 腹減ったなぁ~!! 」。


「あ、そう。良かったね」。


腹を摩りながら人差し指をくわえて羨ましがるジューンを横目に、かつ丼を掻き込むハリガネであった。


「え...っ?? 何それっ!? 冷た過ぎっ!! せめて分けてよぉ~!! コーヒーでもいいからさぁ~!! 」。


「しかもコーヒー分けんのかよっ!! 余計嫌だよっ!! 何が悲しくて獄中の狭苦しい空間で野郎と間接キス交わさなきゃいけねぇんだよっ!! 」。


「えぇ~?? 」。


「...それより、本当に何しに来たんだよ? 」。


ハリガネがそう話を切り出した時、ジューンは咳払いをして口を開いた。


「まずはハリガネ君、軍法会議お疲れ様~! 何とか死刑は回避できたみたいだね~! 」。


「絶望的な立場である状況には変わりないけどな」。


ハリガネはジューンにそう返しながら、お新香を口の中に放り込んだ。


「軍法会議を終えて、随分と戻りが遅かったみたいだね~」。


「あの後、軍の方から色々説明とか手続きとかあってね。結局、夜までかかっちゃった。あ~! 疲れた~! 」。


「そうか~。しかし、魔獣狩りを頼むなんて王様も物好きだねぇ~! 判決は“条件付きの国外追放”で王様が依頼した魔獣を狩猟しない限り、王国への入国は勿論の事で友好国への入国も禁じられてしまったというわけか~。それで、出国までの猶予期間はどのくらいなの? 」。


「一週間貰った。その間に色々準備しなくちゃいけない」。


「そうか~。あっ! 地図貰ったんだね~! 」。


ジューンはそう言いながら、机上に畳まれた地図を広げた。


「それで“その魔獣”を狩れる自信は? 」。


「...厳しい戦いになるな」。


ハリガネは険しい表情でジューンの広げた地図を眺めながらそう答えた。


「ふ~ん、それでターゲットの魔獣は? 」。


「竜族魔獣の“アルマンダイト=ガーネット”、生息地はパルメザンチーズ山脈付近」。


「...」。


ハリガネの回答に、ジューンとボックスは目を細めてお互いの顔を見合わせた。


「...ハリガネ君的に、死刑と“そっち”どっちが良かった? 」。


「圧倒的に魔獣狩猟だな。結果的にだけど死刑にならずに済んだし、雑魚の執行人に無防備なまま殺されるくらいなら魔獣に挑んで堂々と戦死した方が本望だよ。やっと戦士のスキルを活かす時がやってきたな。むしろ、ワクワクするよ」。


かつ丼を平らげたハリガネは、そう言葉を返しながら缶コーヒーに口をつけた。


「それに、死ぬ事が前提で現地へ向かうわけじゃない。必ず生きて帰ってやるさ。それが何年後になるかは...分からないけどな」。


ハリガネはそう言葉を付け加えながら缶コーヒーを一気に飲み干した。


「ほう、頼もしいね...」。


ジューンは微笑を浮かべながら小さく頷き、三人はしばらく地図を眺めていた。







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