友達と話が弾むと時間忘れる事ってあるよね
やぁ! みんな!
驚きの前書き登場率だよ!
ところで、みんなはこの物語読んでるから分かると思うけど、ポンズ王国は君主国家なんだよね~。
だから、王国にはポンズ国王がいらっしゃるんだけど、なかなかの変人...ユニークな御方なんだ。
自分の顔にマジックで髭書いたり、下ネタ連発したり、ピコピコハンマーで取り巻きを叩いたり...。
とにかく奇行が目立つんだ~。
あまりにも奇想天外な行動するもんだから、最近の国民支持率は低下気味なんだって~。
~道具屋“オードリー”の従業員、ハリガネの友人ミドル=ヘップバーン~
『ハリボテ=ポップは、“神”としてノンスタンスから畏れられている』。
ジューンの言葉でしばらく三人の間に沈黙が流れていた。
(“奴”がノンスタンスの神? そこまでノンスタンスが畏敬の念を示しているのか...。それは知らなかったな...)。
ハリガネはベッドから上体を起こして両腕を組み、腑に落ちない表情を浮かべて黙っていた。
「ノンスタンスがハリボテ氏を神格化してるっちゅう事か。てか、そのハリボテ氏は今生きてるんかいな? 」。
ボックスは沈黙した中で話を切り出すと、ジューンはゆっくりと首を振りながら口を開いた。
「ハリボテ氏の行方や生死に関しては一切不明のままだ。ハリボテ氏が国外追放処分を受けて王国を去った時とほぼ同じ時期に、ノンスタンスからも姿を消した事が判明しているんだ」。
「...」。
ハリガネは黙ったまま、ジューンの話に耳を傾けていた。
「魔力を操る魔獣や魔族に殺されたとか...。逆にそいつ等を手懐けて世界の裏側かどっかで王として君臨しているとか諸説は色々あるんだが、唯一の手掛かりがあるとすれば隣国であるソイ=ソース共和国の国境を隔てているパルメザンチーズ山脈付近で存在が確認された事だな。これに関しては最近判明した事だ」。
「パルメザンチーズ山脈...? 」。
ハリガネは怪訝な面持ちで聞き返した。
「まぁ、疑問思うのも無理ないわな~。あそこは凶暴な魔獣がうじゃうじゃいるから人がとても住めるような場所じゃないしなぁ~」。
「それもそうだけど、何でアイツがパルメザンチーズ山脈の方へ? 」。
ハリガネが両腕を広げて解せないというジェスチャーをすると、ジューンは肩をすくめた。
「どういう意図かは判明されていない。ただ、山脈を渡ってきたソイ=ソース共和国軍の歩兵小隊が訓練中に防具の肩当を発見したんだ。その肩当にはポンズ王国の紋章とポップ家の紋章が刻印されていた事が確認され、その防具がハリボテ氏の所有物である事が判明したんだ」。
「ほう...。ハリボテ氏の防具がパルメザンチーズ山脈に...」。
ボックスは両腕を組んで険しい表情を浮かべた。
「発見された場所はソイ=ソース国に接したプロセスチーズ高地内で、肩当は後にポンズ王国に回収されて検査された。検証した結果、それからハリボテ氏の血痕が確認できたんだ。これは推測に過ぎないんだが山脈付近で戦闘を繰り広げていた時に何かしらの原因で肩当が外れて、その肩当を魔獣がくわえて高地の方まで運んできたんだろう。ハリボテ氏に関してこのくらいしか分かっていない」。
「ふ~む、現状については謎のままっちゅうことか~」。
ボックスは神妙な表情を浮かながら何度か頷いてそう呟いた。
「まぁ、“奴”がどうなろうと俺には知ったこっちゃないけどね~」。
一方、ハリガネが呑気に欠伸をしながら興味なさげにそう言葉を返すと二人は苦笑した。
「はははっ! 話を戻そうか! 何故、ノンスタンスがハリボテ氏を神格化しているかっていう事なんだけど、ただ支援してるから感謝して神として崇めているわけではないみたいなんだよね~」。
「ほ~ん、王国が国教としているポンズ神を崇める事みたいなもんか? 」。
ボックスがそう問いかけるとジューンは小さく頷いた。
「ハリガネ君がまだ留置場にいた時、デイがあの夜演説していた映像を見てもらったと思うんだけど、ハリボテ氏とノンスタンスは共通している部分が存在していると。それはお互いに王国の君主制社会に不満を持っている事だ」。
(俺は“お前等”の存在に不満を感じていたんだがな...)。
父親のハリボテとノンスタンスに“不満を感じている”ハリガネは、片眉を吊り上げながらジューンの話を聞いていた。
「特に王国は世襲制や社会階級の思想や慣習,伝統を重んじて成り立っている。ハリボテ氏は階級的な特権関係なく適応,潜在能力を活かし競い合わせる事で成長させる実力社会主義を彼等に提唱していたそうだ。自由で民主的社会による対等な生活を求めるノンスタンスは、ハリボテ氏の考えに深く共感して交流していくうちに彼を信頼していったのさ。ハリボテ氏も社会に抗う若者のエネルギーに関心を抱いていたようで、自らも積極的にノンスタンスとしばらく交流を続けていたようだ」。
「“奴”が政治論を唱えてたなんて、なんか笑けてくるな。それに、“奴”の場合は軍隊で散々傍若無人に振る舞ってきたせいで、最後らへんは王国軍本部の中でも害虫扱いだったみたいだからな。不満も何も自業自得だよ」。
ハリガネは吐き捨てるようにそう言いながら鼻をフンッと鳴らし、二人に隠す気もない様子で父親であるハリボテに対し嫌悪感を露わにしていた。
そんなハリガネの様子を見て、二人は再び苦笑した。
「はははっ!! それでね、ハリボテ氏とノンスタンスとの関りは今から十四年程前である事がノンスタンスの元構成員の証言で確認されたんだ。ハリボテ氏はノンスタンスに対し支援だけでなく剣術や武術を指導し、組織の戦闘能力を向上に協力していたようだ」。
ジューンの話を聞いたハリガネは、眉をひそめながら一層嫌悪感を露わにした。
「はぁ~?? じゃあ、時々部隊から離れてた時は反逆集団であるノンスタンスの様子を見に行ってたってわけかぁ~? 」。
「断定はできないけど、そうだったかもね~」。
ジューンがそう答えると、ハリガネは憤った表情を浮かべながら舌打ちをした。
「かぁ~!! アイツこそ真正の反逆者だなぁ~!! もしかして、ノンスタンスが“奴”をかくまってる可能性もあるんじゃないかぁ~?? 」。
ハリガネがそう言うと、ジューンは首を横に振った。
「先程も話をしたが、王国を去ったとほぼ同じ時期に彼はノンスタンスからも行方をくらましている。ハリボテ氏がノンスタンスからも姿を消した後、そのノンスタンスはデイを中心としてハリボテ氏が提唱する実力主義を武力行使という形でそれを正当化し組織の凶暴化が始まったというわけだ」。
「要はハリボテ氏の教えをノンスタンス側が都合良く解釈したって事か」。
ボックスは腕を組んで何度も頷きながらジューンの話を聞いていた。
「まぁ、ハリボテ氏の思想が正義であるかは俺達には判断できないけどね。だが、消息を絶ったハリボテ氏は“恐戦士”と呼ばれ、国内外で猛威を振るった名戦士である事は間違いない。ノンスタンスはその彼を組織内において武神として神格化させた。そして武力こそが正義であり、進撃こそが自由への道であるという考えが組織内の武闘派に深く浸透していったと考えられる」。
「ノンスタンスの連中は、すがる人間を間違えたな。“奴”はどんな魔獣や悪魔よりもタチが悪いからな~。もしかしたら、アンタの言った通り魔王になってるのかもな~。それはそれで面白いけどさぁ~」。
ハリガネが肩をすくめて皮肉交じりにそう言うと、二人は苦笑した。
「まぁ、ともかくだ。これらの話は、ノンスタンスから離脱した元構成員の供述内容をまとめたものだ。今回の侵攻で身柄を拘束された構成員は、未だに黙秘を続けていて有力な情報が得られていないようでね。それにハリボテ氏の行動に関しても謎が多い。何が目的でパルメザンチーズ山脈付近へ足を運んだのか。ノンスタンスに接触して何をするつもりだったのか...」。
ジューンがそう話すと、ハリガネは溜息をついて呆れた様に首を横に振った。
「...今になって“邪神”の事なんか知りたくもねぇよ! てか、そろそろ帰ってくれよ。話はもう十分聞いたんだから、もういいだろ? 本当に眠いんだからさぁ~! 」。
ハリガネがジューンにそう言った時、暗かった部屋が一気に明るくなった。
「お、もうこんな時間かいな。起床の時間や~」。
ボックスは自身の腕時計を見ながらそう言った。
「ええぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええッッッ!?!? 」。
「あ、ホントだ。時間が経つのは早いね~! じゃあ、ハリガネ君! 今日の裁判頑張ってね~! 」。
ジューンは絶望的な表情を浮かべるハリガネに、笑顔で手を振りながら壁に貼られた魔法陣の中へ消えていった。
「さて、暇つぶしもできたし、そろそろ仕事に戻るわ~! 君も朝から軍法会議やし忙しいで~! 準備しといてな~! 」。
ボックスもハリガネにそう言い残して部屋から去っていった。
(結局眠れなかった...。今日は大事な日だから、ちゃんと寝ておきたかったのに...っっ!! あのオッサンの無駄話に付き合ったばかりに...。許さねえ...ッッ!! 死んだら全力で呪ってやるッッ...!! )。
ハリガネはジューンが魔法陣で通っていった壁を思い切り睨み付けていた。




