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第十五話 レオンハルト・ヴァイザード

「その方法とは、どんな攻撃ですか?」


倒す方法をひらめいた龍夜に対して訊ねた。


「お前の能力を操る。

さっきからちょっと挑戦しててな、ようやく出来るようになった」


龍夜は攻撃をくらいながら、その攻撃をコントロールしようとしていたのだ。


「なら、やってみてください」


相手は水の能力で龍夜を攻撃する。


龍夜はそれをコントロールし、相手に跳ね返した。


だが、相手はそれを回避する。


「確かにコントロール出来ていますね。

ですが、その攻撃は簡単に避ける事が出来ます」


「ならこれはどうだ!」


龍夜は生身の身体であるはずなのに水の能力を発動した。


水は高速で射出され、避けきれないほどの数があった。


「バカな…!」


相手は驚き、龍夜の放った水の攻撃をまともにくらった。


「お前がさっきから使っていた水の能力を身体のなかに蓄えておいたんだ。

それを放出しただけだ」


「…そんなことが出来るとは。

第二の試練はこれで終了です。

力をお返しします」


相手は水の能力を龍夜に返した。


「次で最後の試練となります。

これまでより遥かにつらい試練が待っています。

命を落とすことになるかもしれませんが、それでも行きますか?」


「当たり前だ、死ぬ覚悟ならとっくに出来てる」


龍夜はそう言い残し、奥へ進んだ。




「はぁ、はぁ、はぁ…

ようやく全滅…

あとはリーダーのみね」


綾姫は傷だらけで、立っていることが出来ずその場に座っていた。


「ったく、一撃与えるだけなのにこんなにつらいとは思わなかったわ。

でも、リーダーはもっと強いはず。

龍夜、早く戻ってきてよ」


綾姫は天を見てつぶやいた。


「さすがイレイズブレイド。

俺の部下を全員倒してしまうとは。

まぁ、予想はしていたが。

だから2日も時間をついやして新たな力を手に入れたんだが」


赤い髪の男…ACGのリーダーと思われる人物が綾姫の前に現れた。


「あんたがリーダー?」


綾姫は訊ねた。


「そうだ、俺がACGのリーダー…レオンハルト・ヴァイザードだ。

お前達を殺しに来たんだが、殺す前に話してやる。

俺の目的を」


レオンハルトは丁寧に説明し始めた。


「俺の目的は能力者の絶滅。

なぜ能力者を絶命させるかと言うと、この世界を元の世界に戻すため。

能力者がいなくなればこの世界は平和になる。

今や能力者の犯罪は日常茶飯事。

そいつらを全て殺せば能力者はこの地上にはいなくなる。

新しく能力者が誕生することもない」


「ちょっと待って、新しく能力者が誕生しないってなんで言いきれるの?

能力者はある日突然能力に目覚めるのよ?」


「おや、お前は能力者が誕生する仕組みを理解していないのか?

能力者が誕生したのは今から100年以上前になる。

科学の実験をしていたある男が人体実験をしたのだ。

自分の身体を化け物にするためにね。

その男は実験に成功して能力を手に入れた。

それが初めての能力者だ。

能力者は少量だが、オーラを持っている。

そのオーラが人に接することにより他人に能力を分け与えることが出来た。

だが、すぐに能力に目覚めることはなく、徐々に目覚めていく。

そして、感情と共に能力に目覚めるのだ。

幼い赤子で能力に目覚めた奴は氷室龍夜しかいないが、彼の場合は父親が強い能力者だったからだ。

強い能力者であるほどオーラは多い。

彼は大切に育てられたんだろうな。

片時も離れることなく育てられ、父親の放つオーラによって能力に目覚めた。

つまり、能力者が絶滅すればこの世界に能力者が誕生することはないのだ。

俺は目的が達成できたら死ぬつもりだった。

仲間を含めて全員殺すつもりだったんだ」


「…あんたの話が本当だとしたら、能力に目覚めていない人間もいつかは能力に目覚める可能性がある。

つまり、殺しても殺してもキリがないと思うんだけど?」


「そう、その通りだ。

だから俺は考えた。

たとえ今いる能力者を絶滅させてもオーラに触れていた一般人はやがて能力に目覚めてしまう。

そこで俺は精霊に頼ることにした。

精霊の力を持ってすれば能力に目覚める一般人を救うことが出来る。

俺は違法な方法で精霊を身体に宿した。

そして、その力を仲間に分け与えた。

精霊が放つオーラによって能力に目覚める一般人を阻止できる。

だが、今いる能力者を殺さなければ意味がない。

だから俺は能力者を絶滅させることにした。

仲間を集めるのは簡単だった。

戦いが好きな能力者を倒し、強い力を与えて部下に招き入れるだけだったからな。

俺は集まった仲間に、能力者を絶滅させるように言った。

言うことを聞かない奴は力づくで分からせた」


「あんたは、あんたなりに世界を救おうと考えていたのね。

何が間違ってて、何が正しいのかなんてあたしには良く分からないけど、どんな理由があるにしろ、人を殺すのはダメだと思う」


「それは綺麗事きれいごとと言うのだ。

俺は間違ってなどいない、決して!

話しはこれで終わりだ。

俺は目的のためにお前達を殺す。

言っとくが俺は、部下みたいに弱くはないぞ?」


「上等じゃない、やってやろうじゃない!」


綾姫の身体はボロボロだ。


だが、負けるわけにはいかない。


その想いだけが綾姫を戦わせた。


「お前はどこに足をつけている?」


突如、地震が発生した。


「くっ!」


綾姫は体制を崩してその場に倒れた。


「俺の能力は土。

そして、炎。

俺がここを攻めるまでに手に入れた力だ。

土は元から持っていてな、ついさっき炎の能力を手に入れたばかりだ」


「二つの能力を持っているなんて…!」


「土と炎よ、融合して地上に降り注げ!」


綾姫の頭上から隕石みたいなものがいくつも降ってきた。


「みんな、逃げて!」


綾姫は本部のなかにいる者達に言ったが、逃げ遅れた者が多数。


逃げ遅れた者は見るも無惨に死んでいった。


生き残ったのは綾姫とさつきと恭子を含んだ数名のみ。


「……許さない、絶対に許さない!」


綾姫はぶちギレた。


レオンハルトに向かって突撃して剣を振るうが、あっけなくかわされた。


「お前では俺に勝てない」


レオンハルトは余裕の表情を浮かべて綾姫を攻撃した。


「きゃあああああああ!」


綾姫はレオンハルトの攻撃をまともにくらい、倒れた。


「こいつ、けた外れに強い…!

龍夜、早く来て…」




「お前が水の精霊か?」


龍夜は奥へと進んで行き止まりにたどり着いた。


「その通り、我は水の精霊なり。

お前に最後の試練を受けさせる。

ルールは簡単だ、我に触れればお前の勝ち。

さぁ、かかってこい」


「触れるだけで良いなら簡単さ。

これが一番簡単かもな」


龍夜は背後で水蒸気爆発を発生させて水の精霊に突進した。


「甘い」


水の精霊はピクリとも動かず、突撃してくる龍夜を弾き飛ばした。


「ぐはっ…」


龍夜は口から血を吐き倒れた。


「我は水の能力を使ってお前を攻撃しただけだ。

水蒸気爆発を使って、な」


「水蒸気…爆発っていう…レベルじゃ…ねえぞ……?

俺は…水の…攻撃なら…ダメージは…くらわない…はずだ…」


「我の水の力はお前の力を遥かに凌駕している。

果たして我に触れることが出来るか?」


「……(くそっ、こいつはヤバイぜ…

さっきの一撃で身体の自由がきかない。

ダメージがでかすぎた。

なめてかかったら100%死ぬ…!

美由紀達が危険な目にあっているのがわかる。

感じるんだ、不吉な予感を心で俺は感じている。

俺は美由紀を護ると決めた!

早くこいつの試練を終わらせて、美由紀を助けにいかねえとならねえんだ!)」


「あああああああ!!!」


龍夜は叫び声と共に全能力を解放した。


右手に宿ったマスターアビリターの紋章が激しく輝いた。


まるで、龍夜を応援するかのように。


「…(こいつ、けた外れにパワーアップした…

強い想い…誰かを護りたいという強い想いがここまで人を強くするものなのか…!?」


龍夜は精霊に向かって突撃していく。


精霊は攻撃をしないで龍夜のパンチをくらった。


「お前の勝ちだ、人間よ。

お前の強い想いに負けたよ。

我の力を全て使えばお前を退ける事が出来たが、お前になら我の力を与えても良いかと思い、しなかった。

これで試練は終了だ。

傷を回復してやろう」


精霊は龍夜の肩に触れ、回復させた。


「我が力、お前と共に。

我の力により、瞬間移動をする。

場所は能力者犯罪捜査組織の本部で良いな?」


「ぁあ、頼む」


「承知した。

目を閉じろ」


龍夜は目を閉じた。


「目を開けて良いぞ」


龍夜が目を開けると、綾姫とレオンハルトが戦っている光景が目に入った。


精霊は龍夜の身体のなかに入って、龍夜の力と融合した。


「待たせたな、綾姫」


「龍夜…遅いわよ…

あいつが…リーダー。

他の奴らは…全員倒したわ…

あとは…あいつだけ」


綾姫はそれだけを言って目をつぶった。


「ゆっくり眠れ、綾姫。

あとは俺に任せろ」


「お前が氷室龍夜だな?」


レオンハルトが龍夜に訊ねた。


「ぁあ、そうだ。

悪いが、話をする時間は与えないぜ。

貴様は許さねえ、死んでもらうぞ」


龍夜は精霊の力と融合して強くなった水の能力でレオンハルトの心臓を打ち抜いた。


「がっ!

お前…精霊の…力を」


「ぁあ、ついさっき手に入れてきた。

違法な方法で手に入れた力じゃ、俺には勝てないぜ」


龍夜は話しながらも攻撃の手は休めない。


レオンハルトは蜂の巣みたいに穴だらけになった身体でよろめいた。


「ぐっ!

時間を…与えたのが…裏目にでたか…

ならば…もうこの…世界を…消し飛ばす!」


レオンハルトは全能力を解放して、天空に巨大な隕石を作り出した。


二重能力デュアルアビリティか…?

ヤバイな、全能力をぶつけても打ち消せるかわからない。

あんなのが地上に衝突したら間違いなく地球は破壊される。

綾姫は眠ってるからイレイズブレイドを使えない。

ならば、俺がやるしかない…!」


龍夜は自分の身体を水蒸気爆発で天空に飛ばして巨大な隕石に向かっていった。


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