表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/16

第十四話 絶対攻撃反射能力の弱点

「さ〜て、どうやってお前をぶっ倒すか…」


龍夜は精霊の祠を護る男の史上最強の能力を相手に苦戦していた。


「あまり時間をかけすぎるとお前の身体はボロボロになるぞ。

水蒸気爆発なんてもってのほかだ。

発動したら、我の能力によってお前に跳ね返り、お前は間違いなく死ぬだろうな」


「わざわざ教えてくれるとは優しいな、お前。

確かにその通りだろうな。

俺が放った能力はコントロールが出来ないだけじゃなく、威力もかなり上がってるみたいだからな。

自分でくらってみて分かったよ」


龍夜はあれから色んな攻撃をしたが、全て跳ね返ってきた。


跳ね返ってきた攻撃は、威力が10倍以上に増幅する。


身を持って体験したから確実な情報だ。


「水蒸気爆発がダメとなると…

あとは何がある…?」


龍夜は考えた。


水を高速で射出しても跳ね返ってきて龍夜の右足を貫通させたし。


敵を凍らせようとしたが、逆に自分が凍ってしまい、自分の能力で氷をなんとか砕き、脱出するはめになったし。


直接ぶん殴ろうとしたが、殴ろうとした拳が跳ね返ってきて自分の顔面をぶん殴ってしまったし。


ありとあらゆる攻撃をやりつくしたが、敵には傷ひとつ与えられないどこか、触れることすら出来なかった。


「我の回りには円形のバリアがある。

絶対攻撃反射のバリアがな。

このバリアが破壊されたら我はただの人間だ。

さぁ、どうやって破壊する?」


男は龍夜を挑発した。


「ホントに破壊できるんだよな?」


龍夜は絶望して、試しに聞いてみた。


「もちろんだ」


男は即答した。


「はぁ、どうしたものか…」


その頃、本部では綾姫の修行が再開されていた。


綾姫の身体にはたくさんの重りがついていて、動きがかなり遅いなかでの実践訓練が行われていた。


「46人の化け物達と戦うにはこれくらい出来なきゃダメだ。

いくら一撃を与えるだけでいいと言っても無傷で勝てるとは思えないからな。

傷をおって、ボロボロになった状態でも戦えないといけない」


総司令官は綾姫の攻撃を軽々かわしながら言った。


「はい!」


綾姫は真剣に修行に取り組んでいる。


ACGが攻めてくるまであと2日。


恭子やさつきや貴志や美由紀は能力向上トレーニングをしていて、徐々にだが確実に強くなっていた。


この戦いでの恭子達は綾姫や龍夜の援護が主な役割だ。


綾姫と龍夜をメインにそれ以外の者は援護。


貴志は近距離能力なので、隠密行動がメインで敵に気付かれないように近づき、攻撃するという役割だ。


それぞれの役割によって修行内容が変わるため、同じ役割同士が集まり、実践訓練を行っている。


攻撃のかなめである綾姫は総司令官が直々(じきじき)に訓練をしているが。


そのおかげで綾姫はすごい速さで強くなっていた。


もともと綾姫には戦いの才能があったらしい。


始めは軽かった重りも今では、考えられないほど重たい。


綾姫が身体中につけている重りは適度に外された。


食事をしているとき等にこまめに重りは外された。


人間は休憩きゅうけいしている間に筋力がつくからだ。


筋肉がつく仕組みとは、筋力トレーニングをすることによって筋肉が破壊され、休憩することにより破壊された筋肉が回復され、太く、大きくなるのだ。


綾姫はこの修行を一日繰り返すことによって、昨日より筋肉がついてたくましくなった。


たくましい女性というのはいかがな者だろうか?


綾姫はそんな事を頭の片隅で考えたが、ACGの奴らに殺されるよりはましだと思って、修行を続けた。




「水と氷を同時に放ったらどうだ!」


龍夜は叫び、右手で水の球を、左手で氷の槍を形成し、同時に男に射出した。


だが、綺麗に跳ね返ってくる。


それをかわそうとするが跳ね返ってくるスピードが速すぎたため避けきれず、二つとも直撃した。


「……ダメか…」


龍夜の身体はすでにボロボロになっていた。


「……(何かないのか?

あいつのバリアを破壊する方法。

もうありとあらゆる攻撃はやったが全く効かなかった)」


龍夜は頭の中で考えたが、良い答えは浮かばなかった。


「お前、最強の能力者だな。

ACGって奴らを倒すのに協力してくれよ」


龍夜はダメだめもとで頼んでみた。


「ACGという奴らは全員、違法な方法で精霊様の力を使っている。

正しくは、精霊様のような力を使っている。

精霊様の力を使うことが出来るのは精霊様の試練をクリアした者のみ。

で、話しは戻るが…

偽物の力でも精霊様の10分の1くらいは使えている。

だから、我ではACGという奴らは倒せない。

とてつもない力の前では我のバリアは全く役に立たないからな」


男は丁寧に説明した。


その瞬間、龍夜は不気味に微笑んだ。


「つまり、俺のフルパワーで攻撃すればお前のバリアは破壊できるってことだな?」


「あ…!」


男は自分の口を押さえたが時すでに遅し。


「お前、やっぱり優しいな」


龍夜はバカにしたように男を笑った。


「だが、ヘタをしたらお前が死ぬことになるぞ?

それでもやると言うのか?」


「あいにく、死ぬ覚悟は出来てるんでな。

いちかばちか、俺の力にかけてみる」


龍夜は水蒸気爆発を発生させるために、これまでにない規模で水の球体を作り出した。


「行くぞ!」


龍夜の叫び声と共に巨大な水の球体は一瞬で気化して、とてつもない破壊力の水蒸気爆発を発生させた。


周りに被害が及ばないように水蒸気爆発をコントロールして、男にだけ放った。


その結果、見事にバリアが砕けた。


「俺がバリアを砕いたから、第一の試練はクリアだよな」


「ぁあ、そうだな。

先に進め、次の試練を受けてこい」


「言われなくてもそのつもりだ」


龍夜はほこらの入り口へ入った。


外から見るとかなり小さかったほこらだが、祠の中は、別の空間にワープしたといっても過言じゃないくらい広かった。


「どういう仕組みなんだ?」


龍夜は長い通路を歩きながらつぶやいた。


当然のように返事はない。


やがて、広場のような場所にたどり着いた。


広場の中心に人が立っていた。


「ここが第二の試練の舞台です」


若い女性だった。


「で、何をすれば良いんだ?」


「第二の試練の間、あなたの能力を封印します。

そして、生身の身体で私と戦ってもらいます。

私にダメージを与えることが出来れば合格。

ちなみに私はあなたの持っている能力を使わせてもらいます。

あなたみたいにうまくは使えませんが、生身の人間相手なら出来ます。

それではよろしいですか?

準備が出来たら私に声をかけてください」


「……(俺の能力をあいつに渡し、俺は能力なしで戦わなきゃならないのか…

自分の能力をどこまで把握出来てるかが重要なポイントだな)」


「準備オッケーだ」


「なら、たった今からあなたの能力を封印します」


龍夜は能力が吸いとられるような感覚がした。


「はい、これであなたは全く能力が使えなくなりました。

それでは始めましょうか」


「始めよう」


龍夜はそう言って女に向かって走り出した。


女は水の弾丸を射出して龍夜を攻撃するが、龍夜は余裕でかわした。


「初心者が使う水の能力じゃ、出来ることはかなり少ない。

それに、攻撃力が低い。

19年も使い続けて来たんだ。

自分の能力ぐらい把握できてる」


龍夜は余裕の表情を浮かべたが、一瞬で青ざめた。


「能力者はどんなに弱い能力でも人間より遥かに高い耐久性を持っている。

生身の人間じゃダメージすら与えられないほどに」


龍夜は能力についての基礎知識を思いだし、声に出した。


「つまり、俺ではお前に傷ひとつ与えることが出来ない…!」


龍夜は走るのをやめた。


「でも、必ず私にダメージを与える方法はあります。

しかし、今のあなたにそれが出来るかはわかりませんが…」


「…ちくしょう、かなり難しい試練ばっかりだな。

まぁ、覚悟はしてたけどな」


能力者を相手に生身の身体で勝つのは不可能に等しい。


剣や斧みたいに武器を使えば傷くらいは与えることが出来るかもしれないが、あいなく龍夜は武器は何も所持していない。


殴っただけじゃ絶対にダメージは与えられない。


龍夜は相手の攻撃をかわしながら考えるが、打開策は見つけられなかった。


「よし、寝る」


龍夜は相手に言った。


「わかりました。

それでは休憩してください」


相手は攻撃をやめてその場に座った。


龍夜はその場に横になり、死んだようにぐっすりと眠った。


翌日…


「ACG、予定より早かったわね」


綾姫は修行をしている時に、見張り役の人間の報告が放送で本部内に伝わって、その報告を聞いてつぶやいた。


「だが、結界がある。

いくら精霊の力を持っていても一日はかかるはずだ」


総司令官は綾姫にそう言って修行を再開しようとした。


その時、バリーンという音が響いた。


「破られちゃったみたいだけど…?」


「……綾姫、頼んだぞ。

龍夜がいないからお前一人が頼りだ。

私達はお前の援護をする」


「はい、じゃあすぐに行ってきます」


綾姫は身体につけている大量の重りを外して、入り口へ向かった。


入り口には30人くらいのACGと思われる奴らがいた。


「ちょっと数が多すぎない?」


綾姫はため息をらした。


「綾、頑張ってね。

あたし達は全力で援護するから」


さつきが綾姫に言った。


「うん、じゃあ行ってくる」


綾姫はACGの集団に向かって走っていく。


走りながら剣を抜き、次々に斬っていく。


本部の能力者は敵の動きを鈍らせるような攻撃を繰り返し、綾姫の援護をした。


そのおかげで、ACGの奴らは次々に精霊の力を失っていく。


やはりイレイズブレイドを持つ綾姫はACGにとって天敵なのだ。


綾姫は傷をおいながらも攻撃を繰り返した。


2時間後には、30人くらいいたACGは2人に減っていた。


「くそっ、こいつ強い」

「あの剣に触れただけで精霊の力が消えてしまうみたいだな」


残った二人はそうつぶやいた。


綾姫は修行により、イレイズブレイドの能力をあげていた。


イレイズブレイドに触れた能力を消す力。


前までは斬らないと能力は打ち消せなかったが。


そして、イレイズブレイドを自在に操ることが出来るようになった。


これにより、剣を敵に向かって投げ、かわされたら空中で方向転換をして敵に向かっていく。


イレイズブレイドに触れていなくても、ある程度の距離なら操ることが出来る。


敵はイレイズブレイドに触れた瞬間に能力が消されるので、絶対にかわさないといけない。


残った二人もなんとか倒せた。


「はぁ、No.12までは倒したわね…

疲れたわ…」


綾姫は剣を鞘におさめてつぶやいた。


「そうね、でも休憩してる時間はないみたいだよ」


すぐさまACGの増援が到着した。


No.11からNo.1。


「No.1がリーダー?」


綾姫はつぶやいた。


「違う、レオンハルト様はここにはいない」


No.1の男が答えた。


「レオンハルト、それがリーダーの名前ね」


「貴様ごときが呼び捨てして良い方ではない!」


休憩する時間はなく、すぐに戦いが再開された。




「はぁ、ようやくわかったぜ。

お前を倒す方法がな」


龍夜は攻撃をくらい、ボロボロになった時にようやくひらめいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ