おもい聖剣
企画に便乗したかっただけなので、童話なのかはよくわかりません。
とある人気絵本をトレースしただけです。
ボクの大好きな勇者のリックが魔王を倒しにいくことになった。
さらわれたお姫様を助けるために。
魔王はすごく強い。
リックなら勝てると信じたいけど、ボクはとっても心配なんだ。
だから、リックの力になりたいのに、非力な妖精であるボクじゃ足手まといになる。
安全な場所からリックの無事を祈ることしかできない。
でも、本当にそうかな?
他にもっとできることってないのかな?
ボクはそう思って一生懸命考えた。
そして、名案を思い付いた。
そうだっ!
リックの助けになるものをあげればいいんだ!
そして、いっぱいほめてもらう!
ボクは、仲間がたくさん住んでいる神林の奥まで飛んできた。
ボクの足元には、地面に刺さっている聖剣がある。
これを引っこ抜くことができれば、リックは必ず魔王を倒してくれるはずっ。
ボクは聖剣にロープをぐるぐる巻き付けて、引っ張ることにした。
よしっ!
うぬぬぬぬぬぬぬぬ!
当然のように聖剣はびくともしない。
そもそもボクひとりの力で抜けるなら、誰でも抜けるかも。
ひとりで頑張るのをすぐに諦めて、助っ人を呼ぶことにした。
〝頼むよ、ミミ。
そんなところで見てないで、手伝って〟
〝仕方ないわね。今度いっぱい遊んでよね〟
同じ妖精のミミに、ボクの背中を引っ張ってもらいもう一度。
うぬぬぬぬぬぬぬぬ!
それでも、聖剣は抜けない。
やっぱり、妖精の力では全然だめなよう。
今度は誰に手伝ってもらおうか。
そうだっ、森の精霊ドライアドのエイミーちゃんに頼もう。
〝エイミーちゃん、ボクの力になって!〟
〝えっ!?………………い、いいよ〟
ボクがロープを、ミミがボクを、エイミーちゃんがミミを引っ張る。
せーのっ!
うぬぬぬぬぬぬぬぬ!
それでも、聖剣は抜けない。
かなりしぶとい。
ここは、切り札を出そうと思う。
〝アリーさん、ボクたちに力を貸してくれませんか?〟
〝うむ。日々の仕事で鍛えたこの腕力を君たちに貸そう〟
大きい蟻のモンスター、アリーさんを加えて再び聖剣を引っ張る。
いつも重いものをせっせと運んでいるアリーさんが加わったんだっ!頑張るぞっ!
うぬぬぬぬぬぬぬぬ!
それでも、やっぱり聖剣は抜けない。
あと少しなはずなんだ。
今度は、森をはしゃぎ回っているフェンリルのハクに力を貸してもらおう。
〝ハク。元気がありあまっているなら、手伝ってよ〟
〝いいよいいよー。アリーを引っ張ればいいんだよねー〟
ハクはとっても強いから、これでいけるっ!
うぬぬぬぬぬぬぬぬ!
やっぱり、聖剣はびくともしない。
みんなに手伝ってもらったのに、ここで諦めるわけにはいかない!
ボクは小さな洞窟の奥でぐーたら寝ているドラゴンのアイズに会いに行った。
〝暇なら手伝ってよっ!今は猫の手も借りたいんだからさっ!〟
〝…………うぅん。……我は眠いのじゃが、仕方ないのぉ〟
引きこもりでもいないよりはマシだよね!
みんなで掛け声を合わせて聖剣を引っ張る。
せーのっ!
うぬぬ…………!
すっぽーーーーーーーんっ!!
地面から抜けた聖剣が空高く舞ったのを、ボクたちは眺めていた。
これで、リックがいっぱい喜んでいっぱい撫でてくれる!
ボクたちは感動でハイタッチしていた。
みんなで力を合わせて聖剣をせっせと運び、リックにプレゼントした。
魔王を倒すために出発の準備をしていたリックは、驚いたようにボクを見てた。
でもすぐに、安心したような笑顔でぎゅっとしてくれた。
それだけで、頑張ったかいがあった。
〝よく頑張ったな〟
〝えへへ。みんなのおかげだよ〟
ボクはえっへんと胸を張って、自信たっぷりなリックを見送った。
おしまい
ありがとうございました。