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傲慢と虚栄  作者: トリダイスキー
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お年寄りに席を譲る若者

ある時、電車内で席に座っていた若者が、立っていたお年寄りに席を譲りました。

傍から見れば、微笑ましい光景です。


ところがどういうわけか、それは国じゅうをも巻き込むトラブルへと発展してしまいました。

一体何が起こったのでしょう?



実はその若者は、傲慢で虚栄心の強い、偽善家だったのです。

そんな彼の本当の目的は、お年寄りに席を譲ってやる事で感謝させ、加えて周りの人たちに自分を良く見せる事でした。

そしてそのお年寄りが席に座ってくれることで、すんなりと目的は達成されるはずでした。


ところがそのお年寄りの方も、傲慢で虚栄心の強い人間だったのです。

「何だ、年寄り扱いしおって!ワシはまだまだ若いんだ!」

彼は凄い剣幕で怒り出してしまいました。


さあ、こうなっては傲慢で虚栄心の強い若者の方もおさまりません。

「せっかく席を譲ってやろうというのに怒るなんて、なんてジジイだ!

 親切にしたこちらがバカを見た!

 もう二度と年寄りに席を譲ってなどやるものか!!」

見事に計画が失敗してしまった哀れな若者は、自分を辱められたぐらいに被害妄想を抱き、こんな決意を固めてしまいました。

もとより、思いやりによる行動ではなく、自分の利益のみを狙って行った偽善であったため、思い通りに行かなければ、これほどまでに腹を立てるわけです。


そして傲慢で虚栄に満ちた若者は、もちろんそれだけではおさまりません。

相手を自分以上に貶めてやろうと、そのやり取りの一部始終を、自分に都合の良いようしっかり脚色まで加えて、ネットの掲示板に投稿したのです。

するとどうでしょう。

若者を擁護する多くのコメントが寄せられました。

この若者に限らず、この国には傲慢で虚栄心の強い人間が多いため、多くの共感と賛同を得る事ができたわけです。

かくして若者は、かろうじて虚栄心を満足させる事ができました。

気が向いたら別のシチュエーションを書きます。

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