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ニセモノの勇者がホンモノの勇者になる話  作者: 平 来栖
第4章 ステキな秘密兵器
30/118

その1


???「くすくす……それにしても昔の人はよく言ったものね……」

 バンッ



「貴様、もう一度言ってみろ」



 セシリアが机を激しく叩いて立ち上がる

 途端に騎士団長室が重苦しい空気に包まれる。


 対面に座るギアックはバツが悪そうにあさっての方を向くことしかできない。


 今日ギアックは、セシリアに呼び出され昨晩の清掃活動の報告と、ダテンシ撲滅に有効だと思われる武器についてのヒアリングを受けていたのであった。


 普段ならばダテンシ憎しのセシリアの愚痴と、暗器コート制作秘話(自慢話と与太話)を聞くだけの簡単なお仕事だったのだが、ギアックは連日深夜におよぶ清掃活動のおかげか疲労と眠気がピークに達しており、ついうっかり思っていた事が口をついて出てしまっていたのだった。




「もう一度言えと言っている」



 セシリアは短気で執念深く、たとえ舌戦になったとしても主と従者という自分の立場では歯向かうだけムダなだけである。


 ギアックはそう判断すると、やれやれと首をふって先ほどの失言について弁明を始める。



「……別に侮辱したわけじゃありません。ただセシリア様もあの時、活性化したダテンシをご覧になったじゃありませんか? ですから分かるでしょう。このコートに内蔵されている武器じゃダテンシには通用しないってことが」



 ギアックは言い方を少し柔らかく変えて、理解を求める。


 だがセシリアには何のことか分かっていないようで、変わらず怒りの形相でこちらをねめつけているままだった。



(名監督が必ずしも名プレイヤーである必要も無し、か)



「あの時、僕とセシリア様が初めてお会いした時、僕がダテンシを倒した時のことを思い出してください。……ね、あれだけ接近しなきゃ倒せない相手ですよ? ここにある武器、いえ、世界中どこにある武器でも意味がないと思いませんか?」



「どの武器でも意味がない?? 一体どういうことだ?」



 一から十まで全てを説明したら、きっとプライドの高いセシリアのことだ、ヘソを曲げてしまうに違いない。これ以上自分に対する風当たりを強くしたくないギアックとしては、試案のしどころであった。


 そしてギアックはそのさじ加減を考えるため、今から10日前、セシリアに自分の存在が認知されてしまった日、そしてこのミレニムの地でダテンシが初めてダテンシとしての猛威を振るった日の事を思い返してみることにした。

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