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その29
あれからどれだけの時が経ったかわからない。
目が覚めるとN2は見知らぬ顔に囲まれていた。
「オ、オイ、起きたぞ!」
「……い、生きてんのか!?」
「……なぁそれよりこのツラ……もしかしてコイツ監獄長が言ってた……」
「ああそうさ。間違いないだろう。なんたってーーー」
すると人だかりの中から一人の人物が歩みでできた。
ボーダー柄の服を着た女性だった。
「なんたってこのアイリーン様謹製のロスティスコートを着てんだ。間違いなく彼がN2だよ」
眼鏡を指先でクイとあげながら怪しく微笑むその女性の口元に、N2はなぜか既視感を覚えた。