其ノ手ヲ掴ム [Hand]
視界は紅く染まり...
せめて 温もりよ 消えないで
体温を逃さない様に 其の手を強く握り締めた
瓦礫の雨は止んで 数多の命が散った
...やがて近付く足音...
「今晩和...お嬢さん。
これぞ正に夢物語―――、
《紫電の箱庭》...まさか実在していようとは...
此の眼で見る迄 到底信じられる様なものとは
思えなかったのだが...まぁ良い。
《終わってしまった街》になど、初めから興味など無い...
だが、今際の際に残した財産...
此れは、実に素晴らしい...
思えば此の街は我等の為に生き永らえてきたのだろう...
...さぁ、おいで...
お前が居るべき場所はこちら側だ。」
黒衣の男は細い手を力任せに奪う
不気味な嗤い声が谺する
―――「物語は此処迄なんだ...済まないね...
君にも往くべき場所が在るのだろう? だったらそちらへ向かえば良い...
私かい? 私はずっと此処に居るよ
また続きが聴きたくなったら また此処に来ると良い
それじゃあ、また会う日迄...
御機嫌良う...」
更新時ふっとんでなくなっていたエピローグ部分をどうにか発掘できたので投稿します。
謎のセリフはじまんぐの声で脳内再生していただけるとよりお楽しみいただけます。




