飛翔し透明を暴力せよ
おそらくは詩です
おれたちは
黒々輝く檻をいまにも引きちぎる、翼をたたんだ大いなる四本あしのけもの
いつだって力ずくだ
飛び出してゆけ!
窓は透きとおっている 透明だ
手が届く おれとお前を隔てるものはきわめつけの透明
息をふきかければあまりにもやわな音がする
おれたちはここから飛び出せ!
見てみろ、道はたった五十メートルだ!
手が届く ほんとうに届きそうで、冷やされた極上のガラスが
荒げた吐息で振動し、さびしさとともに地表へと近づいてゆく
あ!あ!雫となって落ちる声、おれの、
おれたちの!力ずくの駆け足が五十メートルを苦心している!
ほこり立つ、地面からの爆撃、
重力は音のように加速し、すれすれで反転し、
ガラスが粉々にくだけ飛び、おれの目玉にぶっ刺さる
何枚もの超高音振動板たちが脳髄に浸透する!
くそっ透明だ!網膜を焦がす太陽光のきわめつけの透明に
はげしい頭痛と吐気と、そして耐えがたい透明光の膨張音!
手の平らでらせんをかけあがる幼声が、透明光にかき消される!
たすけてくれ!
悲鳴を上げながらおれは命令する!
ドアをぶち割ってまっしぐらに飛んでいくのだ、おれの夢想!
ほこり立つ 地面を踏みならす
きこえる 幼声
薄膜の
分子、原子の
水のはじけた一粒一粒の 点々と、近付く
透明光の反射をおれは駆け足でさかのぼってゆく
薄膜の破片よ渦巻き、おれとおまえを堅くつなぐ輝跡となれ!
あ!あ!
おれは透きとおった窓を飛び出してゆく、大いなるけもの!
水飛沫を全身に浴びながらおまえたちを鷲掴みにするおれの夢想が飛翔する!