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 教室には四人だけが残る。

 御子野瀬さんが教壇に立ち書類を眺めている。

「次の試験は明日の午後一時から開始する。内容は至極簡単。残った三人と長嶺くんの四人で、ディスカッションをしてもらう」

「ディスカッションですか?」

「うん。女の子三人対長嶺くんで、ひとつの議題に対して論じてもらう。この場合、その議題への個人的な賛否は問わない。当てはめられた配役に準じてもらう」

「つまり賛成か反対かは重要ではないわけですか?」にぃなちゃんが聞いた。「どう論じるか、でしょうか」

「そういうことになるね。要するに頭の回転を見るわけだ。次の試験では一人、敗退してもらう」

 それじゃあ、と言って解散の号令を出す。

 御子野瀬さんはしかし教室を出ようとはせず、まるで観察するように教室の隅へ移動し、煙草を吹かし始めた。

 僕は彼の視線が気になって、早々に教室を後にした。


 一人の部屋で悶々と考えながら、ついにあと三人になった事実に対して、胸が重くなるのを感じる。

 もう半分以上も減った。軽い気持ちでやろうと思っていたのに、それは重圧として僕にのしかかる。どんなルートを辿ったとしても最後に一人を残すことに変わりはない。ただ、僕のやり方は合っているのかどうか。それがわからない。

 当然、正解なんてものは存在しないであろうことはわかっている。対人である以上、それぞれの試験会場において別々のやり方が存在するのは、わかっている。でも、それでも、考えてしまうことは仕方あるまい。

 どの女の子もそれぞれに魅力的だった。間違いない事実としてそれは認知している。

 深呼吸をする。

 何遍も考えては結論が出ないことだ。今考えたからと言ってこれと納得できる考えが浮かぶわけではない。

 夕食が配給される。それを無感情のまま食べる。それでも味がすると言うのは、救いだろうか。

 眠れない夜だった。このところ、ここに着てから、まともに睡眠が取れて居ない。

 森閑とした部屋の空気は重く、冷たく、一人で耐えるには辛かった。

 今、不合格が確定している女の子たちは何を思って寝ているだろうか。

 今のところ試験を通過している女の子たちは、どうだろうか。

 試験を見届けている御子野瀬さんは。

 又野さんや、小路さんは。

 僕は。


 ノックの音がした。

 この時間は基本的に部屋からの外出は禁止となっている。はずだ。

 とはいっても、それはあくまでも「部屋の中から鍵を掛ける」という程度の制約に過ぎず、内と外からの両方で施錠を行うわけではない。だから、抜け出すこと自体は簡単なことなのである。

 もう一度、ノックの音がする。

「はい」

 向こうは、返事をしなかった。

 それは躊躇いなのか、確認なのか、判然としないで居たが、

「入ってください」

 そう言うと、ゆっくりと扉が開かれる。

 そこに居たのは。

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