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 くるみちゃんが出て行ってから、それについていくように教室を出た御子野瀬さんは又野さんに少し中断するよう進言したようだった。彼女もそれを受け入れたものらしく、帰ってくると彼は煙草をくわえ、伸びをした。

「女はわかんないよなあ」そんなことをこちらを見ないまま言う。「それともわかるくせに俺たちがわからないふりをしているだけなのか」

「何が言いたいんです?」

「君はいいやつだよ」ふざけた色はない。「ただ時折、そういう側面は誰かを傷付けてしまう。不思議なことにね」

 僕は何とも返事をしなかった。

 自分のたった今行ったものが、正しかったかどうかは判然としない。一番手になれないと諦めている彼女を前にして一度止めた手を再開させることは良心的だったのか。受け取り手によってそんなことは変わるものだと思うが、彼女が泣いたのを見れば、決して良い方向に作用したものとも言い切れない。

 同情と思われたのならば心外だ、と怒れるほど、自分の心の様を理解してはいなかった。本当に同情だったかもしれないとも思うし、しかし同時に別のところでは残すのは命に申し訳がないと全く関係ないことを考えていた気もする。それにそれは、この先の試験がどうであるとか以前に、用意してくれたくるみちゃんにも失礼なことだと改めた気もする。

 ただ、優しさを考え、誠意を伝えようという気持ちに従った一面は確かに存在し、そうならばくるみちゃんが泣いたことはそれを受け止めてくれた結果で、喜ぶべきことなんだよなあ、と呑気な僕もいる。

 確かに、女はわからない。

 しかし同時に、自分の事もわからない。

 そういう不可思議な感情というものに支配されて動いているのは、やはり、不可思議なことだった。

 これは要らないものに相当するのだろうか。排斥すべき形なのだろうか。

 くるみちゃんへの選択はひどく難しいものに色を変えた気がした。落としても、通しても、もはやいい評価というものは頂けないのではないかと考えている自分がいる。

 とはいえともかく今は、これからの三人に視線を向けなければならない。それを考えるのはすべてが終わってからでも遅くない。

 本当に、そうだろうか?

 自問する自分の目を、そっと両手で覆った。

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