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トランプが配られる。
じゃんけんをして、しきさんから時計回りに順番を巡らせることになった。
しきさんのカードをにぃなちゃんが。
にぃなちゃんのカードをナナが。
ナナのカードをくるみちゃんが。
くるみちゃんのカードをいちかちゃんが。
いちかちゃんのカードをしきさんが取っていく。
三周回ったところで、一位が決まる。
「あっがりー」
ナナだった。
彼女は手持ちのカードを場に放ると、僕の右隣にどっかと腰を落ち着ける。
そうして着々と勝負がついていき、今度は机上で、時計回りに僕、いちかちゃん、くるみちゃん、しきさん、にぃなちゃん、ナナと席が決まる。
「二回戦も賞品があると良いよね」いちかちゃんがトランプを切りながら言った。「可能な範囲の賞品ってなんだろう?」
「そうだね」しきさんがまっすぐにこちらを見ながら考えている。「手を握る、くらいならセーフじゃないかしら」
「セーフかな?」
にぃなちゃんが不安げに言うと、
「しきちゃんだいたーん」
くるみちゃんがそれを笑い飛ばすように続けた。
「大胆だなんてそんな」しきさんはそれを無表情に見ながら、「そういうのが良いのかなあって思っただけだよ」
「私は賛成」いちかちゃんが隣からこちらに視線を向けてくる。「そろそろスキンシップしてもいいんじゃないかな」
「ナガミネ的にはどうなの?」今度は右側から声が掛かる。「手くらいなんてことないでしょー」
あうふ。
「でもそれって、今後の試験に何か影響が出ないかな」
にぃなちゃんは勝てる気がしないのか、一人否定的に言う。
「どうなの? 長嶺くん」
いちかちゃんの笑みが、今は少し恐ろしい。
「わ」見つめられて、顔が火照る。「わからないけど、手くらいなら……。あ、でも御子野瀬さんにちゃんと確認したほうが良いかな」
「黙っておけばわかんないって」ナナが強気に言う。「まさか監視されてるわけでもあるまいに」
「そんなもんかな」
「されてたらさすがに侵害って言うか、心外?」
「まあ、いいかな」いいよね、こういうの望んでたんだもんね、僕。「いいよ。それを賭けよう。ところで」
全体に向けて声を掛ける。
ここは見逃してはならないポイントである。
「僕が一抜けした場合は?」
女の子たちは顔を見合わせた。
まるで、そんなことありえないと思ってた、とでも言うような表情で。
まさに心外。
「えーっと」いちかちゃんがぐるぐると目を回す。「何が良い?」
「そう言われると困るなあ」
「ナガミネが一抜けだったら、手を繋ぐ相手を選んで良いよ」ナナが、やはり強気に言う。「ナガミネにとっても手を繋ぐことはある程度魅力的でしょ? 解決じゃん」
先ほどの席決めで一番を取れたから、というわけではなく、こういう考えが彼女の生来の気質なのだとはもう知っている。
「わかった」
「恨みっこなしだよ」いちかちゃんも、不敵に笑う。「逆に、長嶺くんに一抜けしてもらいたくなってきた」
「そうなったら、今のところ有利な人が誰かわかるんだもんね」くるみちゃんは、カメレオンというより、仮面のような笑顔で言った。「楽しそうだ」
「じゃあ、私もそれで良いよ」にぃなちゃんは頬を軽く染めながら賛成する。「長嶺さんが勝つか、自分が勝てば良いんだね?」
「お、いいねえ」ナナが楽しそうに笑った。「じゃ、全員で一度ずつ切って、しきに配ってもらおう。それが一番公平な気がする」
異論はなかった。
そしてカードが配られる。




