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 シンプルなセットは、やはり着てみてもしっくりときた。カジュアルスタイルは気楽でいい。これを選んでくれた人はジャージで寝ていそうだな、とどうでもいいことを考えた。

 それを脱ぎながら、この試験を早期に終わらせればまた会話のチャンスが訪れるわけだと再認識する。なら印象で決めてもよかろうか。センスと言えど、結局はシルエットであったり色や柄の、見た目の好みが比重を占める。これはないな、と思う物がないではなかった。決して、着替えが面倒になったわけではない。

 そう意固地になったわけではないが、一通り全てを着てみる。最初に言っての通り、サイズが僕に適しているというのは、驚きである。いつの間に測られていたのだろう。記憶にない。御子野瀬さんの持つ書類には、一体何がどの程度載っているのだろうか。そんな果てない思考を繰り広げ、気分が悪くなる。

「どうだい」

 その流れで声を掛けられたため、驚きで肩が跳ねる。

「まあ、そうですね、よいです」

「よいですってなんだよ」御子野瀬さんは頬を緩める。「ある程度絞れたかい?」

「ええ」

 短期決着だった。とはいえ、これでもまごまご着替えていたせいであっという間に一時間半ほどは過ぎている。お腹も空いてきた。

「今回はどのように?」

「うん」言って御子野瀬さんはマネキンの一つに近付いた。「こいつに、合格ないし不合格の札を掛ける。それで、女の子とご対面、ということだな。彼女らは自分が組んだコーディネートに書かれた文字で、一喜一憂」

「ということは」

「今度は、その様を君はその目で見届けることになる」

 空腹を覚えたばかりのお腹に、出すものなんてないのに、何かが喉の奥からせり上がってくるような気配を、感じる。

 勝者と敗者。

 責任。

 選別。

 そんな言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡っていく。

 御子野瀬さんは、下手くそに、笑う。

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