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空き教室に移動させられ、御子野瀬さんの監視のもと何をするでもなくぼんやりと過ごしていると、あっという間に時間となった。彼は一度座を辞し、衣裳部屋へと戻ったらしい。
七通りのコーディネートを施されたマネキンが続々と教室に入ってくる。
なるほど確かにセンスを問うには十分な課題であろう。
御子野瀬さんは全てが揃うと、
「並びは適当で、左からいちかちゃん、にぃなちゃん……、となっているわけではないから、邪推はしないように。パッと見で決めてしまっても良いし、実際に着てみても構わない。今日中であれば制限時間は設けない。好きにしてくれ。俺は一応、同席させてもらうよ」
一番左から順に見ていく。
これは至ってシンプルなコーディネートで、グレーのパーカーに濃紺のスキニーデニム、そして黒のキャップを被っている。無難というか、これと言った特色もないような、まあ街を歩いていれば数人は見かけるよね、というファッション。
その左。これは全くそれとは別で、黒の大き目のポンチョにデニムのサルエルパンツ。マジシャンが被るような大げさなハットに、黒縁の丸めがね。所謂原宿系と言った系統のものだろうか。地域を選べば、まあ、ぎりぎり数人は見かけるような感じ。
次はまさかの、タキシード。パーティなら……。
打って変わって、ブルーのマドラスシャツに白黒のボーダーカーディガンを羽織り、白のカーゴパンツを合わせたもの。肌を焼いた、オラオラ系の方が似合いそうな、ちょっと派手な印象。
隣も大きな分類としては似たようなもので、大きくクロスの入った白シャツにオレンジのチェスターコート、白のステレッチチノ。明らかに過度なサングラスが目に付く。
無難な白のティーシャツにグレーのジャケット、ダークギンガムチェックのスラックス。綺麗目に収まっている。
ややピンクに染まったシャツに北欧系の柄のニットセーター、一番上はトレンチコートで、下は黒のスキニーパンツ。
ふむ。
あえて、邪推はしないでおく。
さて、どうやって決めよう。




