37
半になる。
すぐに行動を始めたのは、ムミュールととおこさんだった。何があるのか、真っ直ぐに衣装を調べ始める。いちかちゃん、にぃなちゃん、しきさん、ナナ、くるみちゃんの五人は、各々僕を観察しているようだった。イメージを浮かべているのだろう。どちらが賢明なやり方かはわからないが、とにかく四方八方から仔細に見られるのは恥ずかしかった。
かちゃかちゃとハンガーの音がする。
ナナが移動する。ついで、しきさんも動いた。にぃなちゃんは首を傾げて苦渋の表情。いちかちゃんは妙に楽しそうに僕を見ていて、くるみちゃんはどこかぼんやりしていた。
とおこさんが又野さんに声を掛け、なにかの有無について聞いたようだが詳細は聞こえない。ムミュールは「これ私がほしーい」と、ショッピング気分だった。
それぞれの性格はなんとなく把握したものの、今のところ失格としたやえさん以外はずっと制服姿しか見ていない。当然寝泊りするわけだから、彼女たちも僕と同じように寝巻きくらい持ってきているのだろうが、その時間帯の接触は禁じられている。パジャマなのかジャージなのかも知らず、つまり彼女たちの服のセンスに関しては僕は無知である。
思えばこのまま試験試験の連続で、それこそ本当にきゃっきゃうふふな時間などないのだろうか、と思うと、ちょっとさみしい。男子校で育った僕にしてみれば久方ぶりの女の子との関係がこんな殺伐としたものであるのは、ちょっと我ながら可哀想。あるといいなそういう時間。パジャマ見たいし。
いちかちゃんが動いた。去り際、微笑んで、小さく手を振ってよこす。かーわいい。
くるみちゃんも動いた。にぃなちゃんだけが、ふくろうのように首を傾げ続けて、もはや身体も曲がり始めている。腕を組んで、難しい顔で、斜めに僕を見ている。
「はい」
御子野瀬さんが声を掛ける。全員がこちらを見た。
「時間になったので長嶺くんは退席します」
早いもんだな。
思いつつ、下りる前、小声で、
「大丈夫?」
とにぃなちゃんに声を掛けると、私英語わかりません、とでも言うような顔で、曖昧に頷いた。




